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クマが粉食ってラリパッパ(実話)! 容赦ない残酷描写に思わず笑顔『コカイン・ベア』は映画史に爪痕を残すアニマルパニック

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クマが粉食ってラリパッパ(実話)! 容赦ない残酷描写に思わず笑顔『コカイン・ベア』は映画史に爪痕を残すアニマルパニック
『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS
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B級パニックとは一線を画す高クオリティなクマ

『コカイン・ベア』は、嬉しいことに徹底的にラリったクマを楽しむように作られており、ストーリーらしいストーリーは存在しない。剥製にされてしまった実際の事件のクマの復讐、とでも言わんばかりである。

『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

さらにはドラッグを扱っている映画にありがちな、ドラッグ撲滅啓発メッセージも皆無。それどころか、80年代にナンシー・レーガンがブチ上げたドラッグ撲滅キャンペーン“Just Say No(ただNOと言う)”を小馬鹿にするパロディも入れ込んでいる。

故に本作の見所は、やたらと精巧なクマの描写となる。これは従来のアニマルパニック映画と比較すると常軌を逸しているほどのデキ。それもそのはず、クマの特殊効果およびCGは毎度おなじみ<WetaFX>の手腕なのだ。しかし、このクマ、あくまで”精巧”であってリアルではない。“コカインでラリったクマを擬人化”したものと言えばわかりやすいか。妙に可愛くて応援したくなるのだ。それに反して、暴力描写がやたらリアルなのも嬉しいところ。

『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

このリアルと擬人化という相反する表現の最頂点が救急車とクマの追いかけっこシーンなのだが、もはやこれはアニマルパニック、いやホラー映画史上に残る名場面ではなかろうか。このときのBGM、デペッシュ・モードの「Just Can’t Get Enough(満足できない)」なのも味わい深い。

ちなみに、この場面でひときわ“酷い目に遭う”レンジャー役のマーゴ・マーティンデイルは当初、かなり難色を示したらしい。そりゃ映画の中と言えども、71歳にしてズタボロにされるのは厳しかったのだろう。しかし、バンクス監督の説得により最後には首を縦に振ったという。

『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

まさかの大ヒットで続編か? パクり映画も続々

バンクスは自身も俳優として数多くのホラー映画に出演してきた。その経験からかゴア描写に対してはこだわりがあるようで、本作の残酷表現について、こう述べている。

「私にとって、血糊はトラウマを楽しくする調味料。もしだれかが生爪を剥がすだけだったら、オエってなるよね。ストレートでリアルなトラウマ表現は楽しめない。でも、血糊やあり得ない残酷さをもって過剰に演出することで、劇的なエンターテインメントにできる」

生真面目なバンクス監督は、実際にクマに殺害された人々の写真を見たり、クマに関する文献を漁ったりとかなり研究し、「どうすれば面白さを残しつつ、クマの実際を観てもらえるか?」を追い込んでいったという。ラリったクマが人を襲うだけの映画なのに、ここまで徹底的にプロダクションするとは、もはや正気の沙汰ではない。

『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

しかし、その努力の甲斐あって本国では、3,000万~3,500万ドルの製作予算に対して8,900万ドル以上の興行収入を記録しており、「すわ、続編か!?」と思うほどの結果を残した。そして当たり前のように『コカイン・シャーク』だの『コカイン・ピューマ』だの、パクり映画が続々登場している。

本作はバンクスの言葉を借りれば、“劇場で他の観客と共に笑いながら観る”懐かしい雰囲気を持った作品だ。ここは一つ、劇場に足を運んで、奇妙な一体感を味わってみてはいかがだろうか?

『コカイン・ベア』©2022 UNIVERSAL STUDIOS

文:氏家譲寿(ナマニク)

『コカイン・ベア』は2023年9月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開

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『コカイン・ベア』

1985年、米ジョージア州の田舎町で暮らす少女・ディーディーは母親に内緒で友達のヘンリーと“秘密の滝”を目指し探検に出かける。意気揚々と森の中を散策する二人だったが、突然、背後から不気味な唸り声が聞こえてくる...。恐る恐る振り返ると、そこには巨大なクマの姿が!まさかの出会いに立ち尽くす二人だが、クマの様子がどこかおかしい。なんと、そのクマは森の中で行方不明になったコカインを食べて狂暴化した<コカイン・ベア>だったのだ!コカイン・ベアから必死に逃げる子供たち。そこに娘たちを探す母親、森林公園のレンジャー、コカイン回収を目論むギャングと彼らを追う警察までもが森に集まり、一大騒動が幕を開ける! 果たして彼らは“最狂のクマ”から逃れ、森を脱出することができるのか―!?

監督:エリザベス・バンクス
脚本:ジミー・ウォーデン

出演:ケリー・ラッセル オシェア・ジャクソン・Jr
   オールデン・エアエンライク イザイア・ウィットロック・Jr
   クリストファー・ヒヴュ マーゴ・マーティンデイル レイ・リオッタ

制作年: 2022