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戦争映画ではない、平和のための映画 西島秀俊&佐々木蔵之介、『空母いぶき』を語る

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ライター:#BANGER!!! 編集部
戦争映画ではない、平和のための映画 西島秀俊&佐々木蔵之介、『空母いぶき』を語る
『空母いぶき』©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ
西島秀俊演じる秋津艦長の不敵な笑みと、佐々木蔵之介演じる新波副長の人間味あふれるリアルな怒号。戦闘の描写や政府の様子がその生々しさに拍車をかける『空母いぶき』。「独特な雰囲気だった」と言う撮影現場の様子などを聞いた。

朝から晩まで暗いセットのなかで緊張感を持続させた、独特な雰囲気の撮影現場

『空母いぶき』©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

―若松監督の現場で「特徴的だな」と感じるところはありましたか?

西島:僕は今回初めて若松監督とご一緒したので、ほかの作品ではどうなのかはわかりませんが、今回に関して言えば、ワンシーンを撮り終わって「じゃあ、ちょっと休んでいてください」というのは一切なくて、「はい、次。はい、動いて」と。

昼休憩以外はセットから一切出ることがなかったので、それはほかの現場にはないことだなと感じました。緊張感を朝から晩まで持続させるっていうのは、若松組のすごさだなと思いましたね。

佐々木:本当にそういう環境に置いてくださっていましたね。一方で、役に関しての意見もすごく受け入れてくださって……新波という役を考えたときに、例えば、秋津の命令で敵機を撃墜してしまって、乗っていたパイロットが海に落ちてしまった。それを捜索せよと言ったときに、僕は「死体回収」ではなく、なんとか命を助けたいと思ったんですね。諦めてはいけないと。そういうお話をしたら、プロデューサーと監督が「佐々木さんがそう思うのなら、『諦めるな』っていうセリフを入れましょう」っておっしゃってくださったり……。

いぶきが魚雷の標的になったときに、瀬戸艦長(演:玉木宏)の護衛艦『はつゆき』が盾になりましたが、最初は「死傷者が出た」という情報を聞き、「何だと!?」というセリフだったんですね。でも「新波は彼らのことを家族だと思っているので、『死傷者は誰だ?』と思うだろう」と言ったら、じゃあ隊員の名前を聞くセリフにしましょうと。

そうやって、自分たちが思ったことを現場で実際に取り入れてくださったのはすごく助かりましたね。自分でも再確認しながら役を作ることができたような気がします。

『空母いぶき』©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

―朝から晩までの緊張感が続く現場ということですが、どんな雰囲気だったのでしょう?

西島:CIC(戦闘指揮所)という暗い一室にひたすら籠って、ひたすら戦闘し続けるという状態で。セットがいっぱいいっぱいに作ってあるので、スタジオから出ないと暗いんですよね(笑)。

佐々木:戦況は悪化するばっかりだからね(笑)。元から悪いけど、どんどん悪化するばっかりで(笑)。

西島:もう、最後まで行かないとメシの話もできない(笑)。

佐々木:できないできない(笑)。そういう感じでしたねえ。

西島:独特な雰囲気の現場でしたね。

佐々木:CICから艦橋(かんきょう)に出たら、外が見えてちょっとは違う雰囲気のはずなんですけど、グリーンバックですからね(笑)。

西島:そうですね(笑)。

佐々木:橋でもあんまり変わらないんだよね(笑)。

西島:でもほら、爆発とかしたら、ちょっと明るくなったりするじゃないですか。

佐々木:ちょっとね(笑)。

西島:僕らはずっとモニターを見てるだけですからね。

佐々木:だからこそ、出来上がりを見てすごいなと思ったよね(笑)。

西島:いや、ほんとそうですよね。

佐々木:「僕は髙嶋さん(髙嶋 政宏=潜水艦『はやしお』艦長・滝隆信役)とこんなふうに話してたんだ」とか、「こんな関西弁の船(イージス艦『いそかぜ』)があったんだ、こっちの関西弁は楽しそうだな」とか(笑)。出来上がりを見て驚きましたね。

見終わったあとに「平和」について真剣に考えるきっかけとなるような作品

『空母いぶき』©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

―改めて、完成した作品を観てどのように感じましたか?

西島:撮影に入る前に監督とプロデューサーに「これは平和のための映画です」と聞いていて。だからこそ参加したんですが、そのことを全面に押し出すような作品になってほしくないなと思っていたんです。

そうしてできあがった作品を見ると……危機的状況に陥るなか、ストーリーのために足を引っ張るような人物も出てこず、政府もマスコミも一般国民も、それぞれの立場で自分が直面している状況に立ち向かうことで、厳しい局面を打開していく。

手に汗握るエンターテインメントでありながら、見終わったあとに「平和」というものについて真剣に考えるような、素晴らしい作品だったなあと思いました。そういった作品に参加できたことをいち俳優として誇りに思い、感謝しています。

佐々木:事件の発端から解決までの24時間、自衛官、政府、マスコミ、コンビニの店長に至るまで、それぞれの立場で平和について考えている。それが押し付けがましくなく、エンターテインメントとして見ることができました。

西島さんがおっしゃったように、この映画に参加するときに、監督とプロデューサーが「これは戦争映画ではなくて、平和のための映画なんだ」とお話しされていて、本当にその通りになったなと思いました。

劇場を出て「いま平和なのは、裏で頑張ってくれている人がいるのかもしれない」といったような、なにかひとつのきっかけになればいいなと思います。

西島:本当にリアルな戦争、そして平和の映画が生まれました。戦闘シーンもとにかくすごいです。手に汗握るエンターテインメントである、素晴らしい映画です。ぜひ劇場に足をお運びください。

取材・文/とみたまい

互いに「演じている本人にも通じる質」を感じた 西島秀俊&佐々木蔵之介『空母いぶき』

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『空母いぶき』は2019年5月24日(金)全国ロードショー

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『空母いぶき』

戦後、日本最大の危機。命がけの任務にあたる自衛官たち。究極の選択を迫られる政府。事態に直面するニュースメディア。日常を生きる国民たち。この国が保ち続けた平和を終わらせないために、それぞれの戦いが今、始まる。

制作年: 2019
監督:
出演: