ハリウッド仕様の大胆アレンジ! ブルーレイには豪華特典付き
話は逸れるが、「失敗作」と評される映画は現場の混乱が原因であることが多い。超大作を成功させるスティーヴン・スピルバーグやルッソ兄弟、ジェームズ・ガンあたりは、本人の才能はもちろん世渡り上手でもあるのだろう。
『魔界帝国の女神』に一つ苦言を呈するならば、日本公開時は登場キャラクターを日本での呼称に戻すべきだった。全て海外の呼称のまま公開されたのでインターネットもない当時は気づけなかったが、
・クッパの手下の恐竜人間たち「グンバ」はクリボー
・悲惨な運命を辿るパンク風のストリートミュージシャン「トード」はキノピオ
・マリオと捕食し合うようなキスをキメる豊満な女性「ビッグ・バーサ」は巨大プクプク
と知っておけば、その大胆なアレンジをもっと楽しめたはずだ。
荒廃した街並み、退化させられて爬虫類や猿にされる結構グロテスクな設定、クッパと泥風呂で戯れるエロい愛人、「もう一発殴ってくれ。たまらなかったぜ」とプクプクを強烈に口説くマリオ……。ゲーム原作としてだけでなく、ディストピア映画としても注目すべき作品だ。
いま観るとCGのクオリティは微妙に感じるかもしれないが、“1993年”の背景を知った上で観賞すれば、いかにインパクトのある作品だったかがわかるだろう。
長らく黒歴史扱いされた本作も、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットもあってか、ここにきてブルーレイが飛ぶように売れているらしい。現在購入できるブルーレイには当時の蔵出し秘話が載った冊子が付属している。任天堂の山内社長の粋なエピソードなど貴重な裏話がたくさん書かれているので必読だ。
まだまだ興収記録を伸ばし続ける『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だが、あえて友達や恋人を家に招いて『スーパー・マリオ 魔界帝国の女神』を鑑賞してはいかがだろうか? きっとスマッシュブラザーズ以上の大乱闘になるはずだ。
文:デッドプー太郎
『スーパー・マリオ 魔界帝国の女神』字幕版/地上波吹替版はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年8月放送
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』4Kレストア版は2023年9月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
『スーパー・マリオ 魔界帝国の女神』字幕版/地上波吹替版
6500万年前、巨大隕石の落下によって恐竜世界と人間世界が引き裂かれた。絶滅したと思われていた恐竜は地下で進化し、独自の世界を作り上げていた――。そして現代のニューヨーク。ブルックリンで配管工を営むマリオとルイージの兄弟は、地下の下水路で化石発掘を行うデイジーと知り合う。
監督:ロッキー・モートン アナベル・ヤンケル
出演:ボブ・ホスキンス ジョン・レグイザモ
デニス・ホッパー サマンサ・マシス
制作年: | 1993 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年8月放送