大ヒット海ドラ俳優＆制作陣が集結！ Huluオリジナル『THE HEAD』Season1＆2の見どころ“心理戦”をスリラー目線で解説

絶妙な距離感と密室殺人が生み出す「疑心暗鬼」

そんなSeason１の構成は、ヨハンが生存者マギーに聞き取りをしながら基地で起こったことを調査する現在パートと、基地で起こった惨劇を描く過去パートが交互に描かれ、その合間に某キャラクターの回想パートが挿入されるというもの。肝心の過去パートはいちばん近くの基地までは300キロ、無線は故障、外は極寒の極夜というどうにもならない密室劇として進行し、犯人も動機も何もかも不明のまま連続殺人が勃発する。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season１ ©Hulu Japan

研究所の10人は殺人が起こるまでの数ヶ月前からよく知る間柄で、人によっては何年も共に過ごしてきた善良な人々によるチームだ。恋愛関係になっている人々もいるし、なかば家族のように仲が良い。しかしながら研究所に来る前のことはあまりよく知らなかったりする。この絶妙な距離感と密室殺人が生み出すのは「疑心暗鬼」だ。最初の斬首殺人が起こった直後から、「犯人はこの中にいる！」状態がスタートするが、いやいや同じく南極基地を舞台にした『遊星からの物体X』（1982年）みたいに、“外から来た何か”かもしれない。

突発的な犯行か？ 計画的な犯行か？ 動機は私怨？ 仕事上でのいざこざ？ 何もかも信じることができない状況下で努めて冷静に振る舞おうとする者もいれば、当たり前にパニックを起こす者も。些細な言動が疑惑に結びつき、それまで築き上げた信頼関係が一気に崩壊していく様が恐ろしい。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season１ ©Hulu Japan

海ドラ好きなら見覚えあり!? 世界各国から個性派キャスト集結

そんな極限状態の心理合戦を織りなすキャスト陣は、日本から参加の山下智久をはじめ世界各国から集められている。クセの強い生物学者アーサーを演じているジョン・リンチは、殺人マシーンが大暴れする伝説のSFバイオレンス映画『ハードウェア』（1990年）や『X-ファイル』のスカリーことジリアン・アンダーソン主演でイギリス本国のみならず評価が高い『THE FALL 警視ステラ・ギブソン』（2013～2016年）などで有名な個性派。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season１ ©Hulu Japan

また、海外ドラマファン的には、世界中で大ヒットしたスペインの強盗ドラマ『ペーパー・ハウス』（2017年～）で強盗団の指揮官“教授”を演じたアルバロ・モルテが基地内の調理師ラモン役というのも嬉しい。“教授”にあった有り余る知性を抜き取ったような役で、モルテの演技力の幅広さが垣間見れたりする。

Huluオリジナル『THE HEAD』Season１ ©Hulu Japan

スタッフも腕利き揃いで、エミー賞を受賞した『HOMELAND／ホームランド』（2011～2020年）の製作総指揮を務めたラン・テレムが本作でも製作総指揮を務めているというところだけで観たくなる海外ドラマファンは多いはず。さらに脚本家としてデビッド・パストールとアレックス・パストールがクレジットされているのも注目で、彼ら兄弟はベン・アフレックとマット・デイモンのコンビが製作総指揮を務めたSFサスペンスドラマ『インコーポレイテッド』（2016年～2017年）のクリエイター。最近では大ヒット映画『バード・ボックス』（2018年）のスピンオフ『バード・ボックス　バルセロナ』（2023年）の監督を務めている新進気鋭のコンビなのだ。