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史上最高製作費ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』 Amazonプライム・ビデオで観る前の基本解説!

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ライター:#杉山すぴ豊
史上最高製作費ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』 Amazonプライム・ビデオで観る前の基本解説!
『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

もう観た?『LOTR:力の指輪』

2022年、3年ぶりに開催されたサンディエゴ・コミコンで最もプロモーションに力を入れていたのが『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』でした。会場近くの建物に巨大な広告がいくつも掲出されており、入場時に配るIDパスにもすべてこの作品のビジュアルが刷り込まれていました。Amazonプライムが本作にかける意気込みを感じます。

米サンディエゴにて筆者撮影

このドラマシリーズは、映画でも大ヒットした「ロード・オブ・ザ・リング」(以下「LOTR」)をベースにしていますが、「①:あの映画の続編ではない」「②:あの映画と同じ原作をドラマ化したものではない」のです。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

大雑把に説明すると、「LOTR」はJ・R・R・トールキンという作家が1954年に執筆し始めた同名のファンタジー小説が原作です(翻訳書のタイトルは「指輪物語」)。これをピーター・ジャクソンがイライジャ・ウッドやオーランド・ブルーム出演で三部作で映画化し大成功しました。

実は、この「LOTR」はトールキンが1937年に発表した「ホビットの冒険」の続編でもあり、これまたピーター・ジャクソンによって映画『ホビット』として三部作になりました(つまり続編の「LOTR」の方が先に映画化されたのです)。

「LOTR」「ホビット」サーガ基本の㋖解説

「LOTR」も「ホビット」も、妖精や魔物が住む架空の地球“中つ国(ミドル・アース)”が主な舞台。そして中つ国の“第三紀”と呼ばれる時代のお話という設定になっています。トールキンは、この第三紀に至るまでの中つ国の歴史を描いた物語の構想も持っていたようですが、前2作のようにまとまった形にはならなかった。トールキンの死後、遺族は断片的に見つかったトールキンの原稿―いくつかの設定やアイデア、物語―を編集して、「シルマリルの物語」として発表しました。

新版 シルマリルの物語

ドラマ『力の指輪』は、まさにトールキンが書こうとしていた「LOTR」や「ホビット」の事件が起こる第三紀より前の中つ国を描いています。完全な原作がない代わりに、トールキンの残した設定等を活かしたオリジナル作品として作り上げたのです。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

舞台設定は、ズバリ“第二紀”。第三紀よりも数千年前の時代です。というわけで、このドラマは小説「LOTR」「ホビット」の前日譚(プリクエル)なのですが、映画版のスタッフ、ピーター・ジャクソンは関わっていません。したがってお話し的にはつながっていますが、映画とはまた別の座組で作られたドラマなのです。なので過去の映画版を観ていなくても全く問題ありません。

ただ、以下の「LOTR」の基礎知識はざっと押さえておくといいでしょう。

・主な舞台は中つ国を中心とする大昔の(架空の)地球。

・長寿で美しいエルフ族、人間、高度な鍛冶や工芸技能を持つドワーフ族、温厚だが勇敢な小人族ホビットや魔法使い、ドラゴン、悪魔などの魔物がいる世界。

・かつて力を持つ指輪が作られ、エルフに3つ、ドワーフに7つ、人間に9つ与えられた。

・しかし邪悪なる冥王サウロンが、すべての指輪を凌駕する絶大なパワーを持つ指輪を作り世界を破滅に導こうとした。

・エルフ、人間、ドワーフは手を組みサウロンに挑む。なんとかサウロンを抑え込もうとしたが、あと一歩のところで失敗。サウロンから指輪を斬り落とせたものの、サウロンは姿をくらまし指輪は行方不明に。

・サウロンは蘇り、今一度世界を征服しようとする。そのためにはあの指輪が必要だ。しかし、あの指輪は偶然にもホビット族のフロドが手にすることになった。

・サウロンに指輪を渡してはならぬ。指輪を破壊するにはこの指輪が作られた火の山に捨てるしかない。こうしてフロドはエルフ、人間、ドワーフ、魔法使いガンドルフらと指輪を捨てに行く冒険の旅に出る。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

「LOTR」が画期的だったのは、従来のファンタジーが<秘宝を探しに行く>という話だったのに対し、<秘宝を捨てに行く>物語なんですね。そして今回のドラマ『力の指輪』は、「そもそも指輪たちはどのように作られたのか?」「サウロンはいかにして生まれたのか?」的な部分をじっくり描きます。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

映画作品とのリンクも楽しい超豪華ドラマシリーズ

※本作の内容に若干触れています。ご注意ください。

このレビューを書いている時点で『力の指輪』は第6話まで配信されています。シーズン1は全8話で、いよいよクライマックス間近。ちなみに第5話までは、4つのストーリーが並行して描かれます。

1:兄をサウロンに殺され、その意志を継ぎサウロンと戦うことを決意するエルフの女戦士ガラドリエルと漂流者ハルブランドの物語。
2:隕石とともに降ってきた謎の男と出会うハーフット族(映画に登場したホビット族のルーツ)のノーリの物語。
3:ガラドリエルの親友エルロンドと、ドワーフの王ドゥリン4世の物語。
4:人間との恋に落ちたエルフの戦士アロンディルの物語。

これらが今後どのようにつながっていくのかが見どころです。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

そして第6話でガラドリエルとアロンディルの運命が交わり、アクション&アクション! 邪悪なオーク軍団(ゾンビ×鬼)とのエピック・バトル! そうそう、こういうのが観たかった!(笑)。

先ほど映画を知らなくても楽しめると言いましたが、映画版『LOTR』とのリンクも楽しい。例えば、このドラマでキーとなるエルフの女戦士ガラドリエル( 演:モーフィッド・クラーク)と、エルフの高官エルロンド(演:ロバート・アラマヨ)は映画版で、それぞれケイト・ブランシェットとヒューゴ・ウィーヴィングが演じた役の“若き日”の姿。エルフは超・長寿なのです。また映画にも出てきた悪鬼バルログも、あのイメージで出てきますよ。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

映画『LOTR』『ホビット』はホビット視点で語られるため、どこか牧歌的なファンタジー感があったのですが、このドラマは(今のところ)女戦士ガラドリエルが主役なので、ヒロイック・ファンタジー色があります。そして映画同様、オーク族という邪悪な魔人軍団が出てきますが、ここでも凶暴っぷりは健在です。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

本作は破格の予算をかけた“最も高額なドラマ・シリーズ”らしく、シーズン5までのトータル製作費が30億ドル(1ドル145円として約4350億円!!)というすごすぎるドラマ。衣装・美術・セット・ロケの豪華さにうっとりするし、モンスターたちのVFXも迫力がある(オオカミとか怖すぎます)。これが毎週家庭で楽しめるわけで、なんて豪華な時間の過ごし方でしょうか!?

それにしても、ガラドリエルの凛々しくかっこいいこと! 甲冑姿もとても美しい。ホットトイズあたりでフィギュア化して欲しいものです(笑)。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』© Amazon Studios

文:杉山すぴ豊

Amazonオリジナル『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』独占配信中

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『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』

なじみのある人物と新しい人物が登場し、中つ国に再び現れる悪に立ち向かう。深い霧ふり山脈から、エルフの都、リンドンの雄大な森まで、そして島の王国ヌーメノールから地図の果てまで、これらの王国や登場人物たちが、彼らがいなくなった後もずっと続く伝説を作り出す。

監督:J・A・バヨナ
原作:J・R・R・トールキン
脚本:J・D・ペイン パトリック・マッケイ ジェニファー・ハッチソン
テーマ曲:ハワード・ショア

出演:モーフィッド・クラーク ロバート・アラマヨ イスマエル・クルス・コルドバ
   チャールズ・エドワーズ ベンジャミン・ウォーカー シンシア・アダイ=ロビンソン
   ロイド・オーウェン トリスタン・グラヴェル エマ・ホーヴァス
   マキシム・バルドリー レオン・ワダム ナザニン・ボニアディ
   チャーリー・ヴィッカーズ タイロー・ムハフィディン マルケラ・カヴェナー
   メーガン・リチャーズ ディラン・スミス サラ・ズワンゴバニ
   レニー・ヘンリー オウェイン・アーサー ソフィア・ノムヴェテ

制作年: 2022