中村倫也が原作漫画まんま! ドラマ『珈琲いかがでしょう』 ワルなパツキン倫也、弟分・磯村勇斗との因縁にも注目!!

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ライター:SYO
中村倫也が原作漫画まんま! ドラマ『珈琲いかがでしょう』 ワルなパツキン倫也、弟分・磯村勇斗との因縁にも注目!!
『珈琲いかがでしょう』©「珈琲いかがでしょう」製作委員会

原作の主人公が中村倫也そのもの!?

ドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京)は、中村倫也のキャリアを見ていくなかで特別な作品になる――。彼のいちファンとして、確信めいた“予感”があった。まだ放送が始まる前、制作発表のニュースを見た段階のことだ。その理由は2つある。

『珈琲いかがでしょう』©「珈琲いかがでしょう」製作委員会

ひとつ目は、一部のファンにとって、この実写化が念願だったこと。コナリミサト氏の同名原作漫画を読んでいただければわかる通り、主人公・青山のビジュアルは中村にそっくり。あまりに似すぎていて、ファンの間では実写化待望論も出るほどに話題を呼んでいた。むしろ、同じコナリ氏原作の「凪のお暇」の実写ドラマへの中村の出演が発表された際、「そっち!?」と思ったファンも多かったのではないか(結果的に、ビジュアルは大きく異なる『凪のお暇』[2019年]のゴン役もものにしてしまい、中村の演技力の高さがさらに浮き彫りになった)。そういうわけで、今回の「中村主演で『珈琲いかがでしょう』実写化」は待ちに待った企画だったのだ。

 

ふたつ目は、今回彼が演じる青山は、「一人二役」と言ってもいいほどに“過去”と“現在”で乖離があるということ。2021年5月3日(月)に放送された第5話から本格的に描かれ始めたが、青山はいまでこそ移動珈琲店の温厚な店主だが、過去は狂犬のごとき野蛮で危険な人物だった。いかにして彼が“珈琲屋さん”になったのか、その謎が視聴者を引き付けるとともに、中村の3パターンの演技――①「過去」②「現在(外向け:穏やか)」③「現在(内向け:チョイ悪)」を楽しめる仕掛けになっているのだ。

「ワルい中村倫也」欲求を満たしてくれるキャラクター造形

ファン目線でいうと、中村は近年、ドラマでは『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』『美食探偵 明智五郎』『この恋あたためますか』(すべて2020年)、映画では『サイレント・トーキョー』(2020年)『ファーストラヴ』(2021年)『騙し絵の牙』(2020年)等々、“できる”男やセレブ感漂うキャラクターが続いていた。これらは彼の得意なゾーンであろうし、「視聴者・観客が求めるイメージ」ともいえるだろうが、ファン心理としては『孤狼の血』(2017年)や『愚行録』(2016年)、『闇金ウシジマくん Season3』(2016年)『伊藤くん A to E』(2017年、2018年)で見せてきたような狂気のキャラクターを待ち望んでいた部分もあったのではないか。

特に『孤狼の血』での「相手の耳をかみちぎり、目を剥いて吠える」演技は強烈で、あれ以来「荒々しい中村倫也」に飢えていたファンにとっては、『珈琲いかがでしょう』の青山は、多少マイルドな味付けとはいえ、空腹感を満たしてくれるものといえるように思う。派手な金髪で異彩を放ち、近寄りがたい雰囲気をほとばしらせる無頼漢。ビジュアル的な「新しさ」も加わり、「安定感」漂う爽やかな表情とのダブルパンチを見舞う――。要は、ファンのコア/ライトの深度によらず、中村倫也の“総合力”を堪能できる内容になっているのだ。

なお、②③に関してだが、過去と現在でパキッと分けるのではなく、絡んできたチンピラを一瞬で制圧したり、昔の仲間に「うるせぇ」と乾いた笑いを浮かべながら返したりと、時折“過去の闇”が覗くグラデーションの演技・演出が心憎い。過去から完全に脱却したわけではなく、心の内にいまも残っている――こうした“苦味”が、磯村勇斗演じる弟分との因縁にリンクし、本作を爽やかなほっこりドラマに終わらせない。「人生に疲れた人を食事で癒す」というのは「ご飯映画・ドラマ」の王道だが、本作はその部分をカバーしつつ(脚本・監督に『かもめ食堂』[2005年]の荻上直子を起用している点が流石だ)、青山個人の人生にも踏み込んでゆく。

『珈琲いかがでしょう』©「珈琲いかがでしょう」製作委員会

たとえば『るろうに剣心』(2012~2020年)では緋村抜刀斎(最強の暗殺者:過去)と緋村剣心(心優しい流浪人:現在)という二面性を佐藤健が見事に演じていたが、『珈琲いかがでしょう』で中村が挑んだ役どころも、近い構造といえる。過去をどう清算し、いまを生きていくのか。青山がいち店主の領域を超えて困っている客たちに手を差し伸べるのも、贖罪の一環といえるだろう。

『珈琲いかがでしょう』©「珈琲いかがでしょう」製作委員会

豪華共演陣、「セリフで刺す」原作の魅力、実写ドラマならではの変換

その客たちを演じるキャストが、実力者ぞろいなのも本作の魅力。夏帆を筆頭に、貫地谷しほり、山田杏奈、臼田あさ美、戸次重幸、滝藤賢一、野間口徹といった多彩な面々がゲストとして登場する。本作は基本的には「客の悩みを解決する」1話完結のドラマに、中村と磯村がメインの「青山の過去を描く」全体を通した物語が絡む構造になっており、さらに1回の放送(約50分)で2エピソードという飽きない&集中力が持続しやすい設計になっているのも、重要なポイントといえそうだ。中村と演技達者な役者たちの絡みを気軽に楽しめて、『ヤクザと家族 The Family』(2021年)で“裏主人公”と呼ぶべき活躍ぶりを見せた急先鋒、磯村との演技対決はじっくり追いかけることができる(ちなみに動画配信サービスParaviでは、本編のおまけ的な『珈琲“もう一杯”いかがでしょう』も展開)。

そしてまた、個々のエピソードで見逃せないのが、“コナリテイスト”とでもいうべきエグ味だ。彼女が描く物語は、「凪のお暇」「ひとりで飲めるもん!」「黄昏てマイルーム」等々、一貫して「他者の悪意にさらされる人々」にフォーカスを当てている。絵柄こそふんわりした可愛らしいものだが、中身を紐解いていくと相当シビアだ。「珈琲いかがでしょう」にも、社内で不当に扱われたり、他者に媚びたり或いは妬んだりと、人間の厭らしさが克明にあぶりだされている。おのぼりさんの少女を男たちに襲わせようとする芸術家崩れを描いたエピソードや、DV彼氏に悩む女性の内面をえぐったエピソードなど、なかなか強烈。そしてそこには、彼女らしい「セリフで刺す」攻撃性が潜んでいる。

これをそのまま実写の形で立体化してしまうと、お茶の間に流すテレビドラマとしては生々しすぎるものになりかねない。そこで力を発揮しているのが、『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは、』(2017年)『リラックマとカオルさん』(脚本:2019年)など、人生の悲喜こもごもを温かなまなざしで包み込む作風を持った荻上監督だ。特にトランスジェンダーの主人公を描いた『彼らが本気で編むときは、』では、他者の不寛容と理解者たちの愛を絶妙な配分で描いていた。シリアスとコミカルのバランス感覚が長けた彼女の手腕によって、我々の生活に接地しながらもべとつかない、リアルとフィクションのちょうどいい距離感を見つけられたのではないだろうか。もちろん、中村の演技の貢献度も果てしないだろう。ビジュアル面だけでなく、「変換」という意味でも、非常に心地よい実写化といえる。

さながら、珈琲とミルクの関係のよう――。『珈琲いかがでしょう』は、苦味と甘味が黄金比で混ざり合った至福の一杯なのだ。

文:SYO

『珈琲いかがでしょう』はテレビ東京にて毎週月曜夜11時6分より放送中
『珈琲いかがでしょう』公式ビジュアルBOOKは2021年5月24日(月)発売

『珈琲いかがでしょう』公式ビジュアルBOOK 2021年5月24日(月)発売

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『珈琲いかがでしょう』

いい香りに誘われて向かったその先に待っていたのは、素敵な移動珈琲屋さん。店主が淹れる珈琲は、一杯一杯、丁寧に、誠実に、心を込めて淹れられ、なんだか気持ちがほんのりほぐれるような、そんな味。そのお店はあなたの街にもやってくるかも……?

制作年: 2021
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • ドラマ
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