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大ブームで映画化も? こいつら全員奇人! 殺人と混乱と狂気のNetflixドキュメンタリー『タイガーキング』

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ライター:#傭兵ペンギン
大ブームで映画化も? こいつら全員奇人! 殺人と混乱と狂気のNetflixドキュメンタリー『タイガーキング』
Netflixオリジナルドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』独占配信中

新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機が広がる中、またたく間にアメリカで大ブームとなったのが、Netflixの新作ドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』だ。

邦題からは、なんとなく動物愛護関連のドキュメンタリーかと思うかもしれないが、確かに動物は絡んでくるものの、その焦点は動物を食い物にしている小さなコミュニティの人間たちを巡るもの。原題『Tiger King: Murder, Mayhem and Madness(タイガーキング:殺人と混乱と狂気)』のほうが的を射ている、人間の愚かさと醜さを存分に味わえるドキュメンタリーなのだ。

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「トラ好きは人を裏切るクソ野郎だ」

このドキュメンタリーが追うのは、大型ネコ科動物を主に扱う私設動物園の経営者“タイガーキング”ことジョー・エキゾチック(本名はジョゼフ・マルドナド=パッセージ)と、その同業者や関係者たち。

まず大前提としてアメリカは、虎の個人での飼育が禁止はされておらず、世界中にいる野生の虎よりも多くの虎がこういった動物園や個人によって所有されているという。なかなかにおかしな状況なのだ。

Netflixオリジナルドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』独占配信中

ジョーはそうした中で、動物園でトラを繁殖させ売買を行って利益を上げているのだが、彼は動物愛護を訴える私設動物園経営者キャロル・バスキンを殺害する計画を立て、その罪で収監されている……といったところから始まり、なぜ彼が同業者の殺害を計画するに至ったかを描くドキュメンタリー。

ジョーは序盤のエピソードでは、その名の通り(?)自分のグッズやCDを動物園で売ったりするかなりエキゾチックな人物。目立ちたがり屋で銃が好きなアメリカの変なおじさんという感じで、コミカルな感じさえもするのだが、だんだんとその異常さが見えてくる。

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じゃあ、そのターゲットとなるキャロル・バスキンが単なる被害者なのかとおもいきや、そもそも動物愛護を訴えながらも動物園で利益を得ているというやや矛盾した人物で、彼女のおかしいところも次々と描かれていき、資産家だった元夫を殺害したのではないかという恐ろしい疑惑も浮かんでくる。

そして、ジョーを擁護する側に回る同業者のドク・アルトルはテレビ番組にも出演する有名人で、ジョーが影響を受けている人物。処女を集めて従業員にしハーレムを築いているという異常さのある人物で、何度か告訴されているもののまだ捕まっていないという狡猾な男だ。

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もうこの三人で結構お腹いっぱいになってくるのだが、おかしな連中がまだまだ登場する、なにかとマシマシなドキュメンタリー。冒頭でジョーの友人が「トラ好きは人を裏切るクソ野郎だ」と語るのだが、このシリーズの面白いところを端的に表した名言。本当にクソ野郎同士が揉めていくお話で、なによりその発言をしたやつもなかなか怪しい裏切り者なのが苦笑いしてしまうポイント。

まるで『ブレイキング・バッド』みたい!? だけど現実であることを突きつけてくる

ジョーはヤバイやつと手を組みながら、自分の顔を売るために大統領選挙や知事選に立候補したりするも、徐々にドツボにはまって追い詰められることに。決して犯罪王になったりするわけではないのだけど、コミカルだったものがだんだん笑えない話になっていく雰囲気は、どこか大ヒットドラマ『ブレイキング・バッド』(2008~2013年)のような雰囲気さえ感じさせる。

Netflixオリジナルドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』独占配信中

実際、『ブレイキング・バッド』のスピンオフで同じくNetflixの『ベター・コール・ソウル』(2015年~)に出演するトニー・ダルトンも、自身が演じるラロ・サラマンカとグスタボ・“ガス”・フリングの麻薬カルテルにおける対立関係や、ラロが主人公のジミーを裏社会へと引きずり込んでいくところに似ているとインタビューで語っていた。

だけど困ったことに、これはフィクションではなくアメリカで現実に起こっていることなのだと考えると、アメリカの闇を感じさせる。さらに、本作の大ヒットを受けて追加されたエピソードでは、『コミ・カレ!!』(2009年~)などでおなじみの俳優・コメディアンのジョエル・マクヘイルが、ドキュメンタリーに出演していた面々に「その後どうしているか」をインタビューしている。

当然ながら自宅待機中のオンライン・インタビューなのだが、かっちり編集されて映画っぽさすら感じたドキュメンタリーと比べて、現実なんだから当たり前なんだけど現実味があって、なんかエグさを感じてしまう。ドキュメンタリー本編は観ているけど、追加エピソードをまだ見ていない人がいたら、こちらも必見だ。

Netflixオリジナルドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』独占配信中

もしかしたら映画化もあるかも!?

実は、このジョー・エキゾチックを巡る事件はドキュメンタリーが公開される前からアメリカでは話題となっていて、2016年版『ゴースト・バスターズ』に出演したケイト・マッキノンが製作総指揮&キャロル・バスキン役を務めるかたちでドラマ化計画が進んでいた。

さらに、俳優のロブ・ロウが自らジョー・エキゾチックに扮した写真をアップし、プロデューサーのライアン・マーフィーと共に映像化を手掛けることを発表している(似合ってはいるものの、ロブ・ロウ自身がジョー・エキゾチックを演じるかは不明)。

他にもジャレッド・レトがSNSにコスプレの写真を上げたりと役者たちの中でもファンが増えている様子。まだ、今後がどうなるかわかりませんがかなりの話題作ということで、本当に映像化されるとしたら主役争いは加熱しそう。

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というわけで、今後の展開も要注目なドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』。決して公平な描写がされているとは思えないものだし、従業員の腕が噛みちぎられる映像もあったりとなかなかヘヴィな内容だが、ぜひ今のうちにチェックしてみて!

文:傭兵ペンギン

『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』はNetflixで独占配信中

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『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』

猛獣に魅せられた男女の常軌を逸した行動と、本当にあった殺人依頼。私設動物園の園長が犯した罪を軸に、トラの繁殖にまつわる知られざる裏の世界を映しだす。

制作年: 2020
監督: