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宇宙版「子連れ狼」!?『マンダロリアン』が“スター・ウォーズご新規さん”も歓迎の理由とは?

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ライター:#杉山すぴ豊
宇宙版「子連れ狼」!?『マンダロリアン』が“スター・ウォーズご新規さん”も歓迎の理由とは?
『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

『スター・ウォーズ』“ご新規さん”も歓迎の傑作スピンオフ!

『マンダロリアン』は、映画『スター・ウォーズ』シリーズ(1977年~)の世界観をモチーフにした宇宙アクション・ドラマです。スター・ウォーズの権利を持つディズニーが新たに立ち上げた有料動画配信サービス<Disney+>立ち上げの目玉コンテンツとして製作、配信されました(日本ではDisney DELUXEというサービスから配信されています)。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ですから“スター・ウォーズ好き”のために作られたドラマではあるんですが、今までスター・ウォーズを知らなかった人も楽しめる、むしろ新たなスター・ウォーズファンを作るための試みといっても過言ではありません。というのも、映画の本筋とは絡まないところで物語は進んでいくのです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

映画と連動したドラマ・シリーズというのは、割と映画を補填するための役割を担うものです。例えばドラマの内容が映画の前日談だったり、映画に出てくる脇役キャラの外伝話をドラマで受けたり、と。ところが、この『マンダロリアン』は違います。それが証拠に、この『マンダロリアン』の配信が始まったほぼ同時期に映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019年)が公開されましたが、両者はストーリー的に全くつながっていませんから(笑)。

まるで親子!? 時代劇のような設定に燃える銀河渡世アクション!!

ズバリ!『マンダロリアン』は宇宙版「子連れ狼」です。ある銀河系を舞台に、邪悪な銀河帝国とそれに対抗する反乱軍が壮絶な戦いを行い帝国側が劣勢となっている時代です。反乱軍は新銀河共和国を立ち上げ銀河に秩序を取り戻そうとしますが、帝国軍側もまだ生き残っており両陣営が小競り合っています。そうした混乱の時代に、帝国でも共和国でもない、ミステリアスな一団が存在しました。それがマンダロリアンです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

彼らはブラスター(光線銃)の攻撃をものともしない超金属、ベスカー製の甲冑に身をつつんでいる武闘派集団。マンダロリアンは帝国と戦ったこともあり、かといって反乱軍=共和国側というわけでもなく、大戦中にその存在を表舞台から消してしまいました。ただ、一部のマンダロリアンはそのスキルを使って賞金稼ぎ等をして生きており、本編の主人公“マンドー”も、まさにその一人です。なおマンドーとは本名ではなく、他の種族から“マンダロリアン野郎”みたいな感じで呼ばれているわけです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

このマンドーが、ある仕事で“ザ・チャイルド”という妖精と猿をかけあわせたような子ども(よちよち歩きの赤ん坊ぐらい)と出会ったことから、自身の運命が大きく変わります。ザ・チャイルドは、なぜか帝国側が血眼で探している存在。ザ・チャイルドに絆を感じたマンドーは、その子を連れ逃亡の旅に出るのです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

このプロットだけで、十分“子連れ狼”でしょう?(笑)。また、マンドーらマンダロリアンは独特の美学や武士道精神みたいなものを持っており、サムライっぽいんです。当初『マンダロリアン』のビジュアルを観た時は宇宙版西部劇と思ったのですが、時代劇でした(映画『七人の侍』[1954年]そっくりのエピソードもあります)。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ザ・チャイルドの正体は? マンドーの過去になにがあったのか? という全エピソードを通しての謎があるものの、基本は1話完結のスカっとする銀河渡世アクション。各話40分ぐらいの長さなので、サクサク見ることができる。とにかくマンドーがかっこいいし ザ・チャイルドがあざといぐらいキュート。また様々な宇宙人や怪物、ドロイド(ロボット)が闊歩し、宇宙船やメカが飛び交う世界観も楽しい。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

『SW』ファンはもちろん新規ファンも取り込む巧みな設定に脱帽!

『スター・ウォーズ』のスの字も触れず『マンダロリアン』のこと語ってみましたが、ね、面白そうでしょう?(笑)。今までスター・ウォーズを知らなかった人も楽しめる! というのは、まさにこういうことなんです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

とはいえ“スター・ウォーズ好き”にとっても、とても嬉しくなるような設定がちりばめられています。『スター・ウォーズ』シリーズの世界観の中でのお話ですから、今までの映画に登場したキャラやメカがうまい形で出てくる。そして主人公の2人、マンドーとザ・チャイルドは、『スター・ウォーズ』シリーズにおける屈指の人気キャラ、ボバ・フェットとヨーダを元にしています。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

この2人はダース・ベイダーに次ぐぐらいのスターです。ビジュアル的にもキャッチーだし、グッズも売れる。人気スターでドラマを作ろうというのは正しい選択ですよね。でも、ここで重要なのは、だからといって“ボバ・フェットとヨーダ”の物語にはしなかったことです。そうしてしまったら“映画『スター・ウォーズ』シリーズを観ている人しか楽しめない”ドラマになってしまう。また、映画に気兼ねして設定やキャラ作りに色々と制約が出てくる。なので、キャラクターとして美味しい部分だけで引き継いで、新しいファンもとりこめるような、全く新しいキャラに仕立て直す必要があった。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

マンドーはボバ・フェット同様マンダロリアンの甲冑をきていますから、ルックスが似ている。ザ・チャイルドはヨーダと同族の生き物の幼体だから、あのヨーダがさらにかわいくなったというアレンジにしている。見事なリブートだと思います。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

タイカ・ワイティティらMCU勢も参戦! 人気シリーズに新風を吹き込む

映画『スター・ウォーズ』シリーズは、最終作のタイトルが『スカイウォーカーの夜明け』だったように、スカイウォーカーという銀河の騎士の一族の物語でした。そして、フォースという設定やライトセーバーという武器を使うなどSFっぽい顔つきをしていますが、その本質は剣と魔法のファンタジーだったわけです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

これはこれで心をうつのですが、一方で本筋とは関係ないところで出てくるキャラにも魅力的なキャラが多い。光線銃や宇宙船などSF的なガジェットも捨てがたい。こうした脇役・副産物・プロップを使って、本筋とはまた別の見事なエンターテインメントを作りだせることを証明しました。『マンダロリアン』の成功は、スター・ウォーズがまだまだお宝の山であることを教えてくれたのです。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

マンダロリアンは“他の種族に絶対に素顔を見せない”を信条としていて、主人公マンドーは終始ヘルメットをかぶっています。でも無表情の鉄仮面なのに、ちゃんとマンドーの感情がよくわかる。主人公を演じているペドロ・パスカル(Netflixオリジナルシリーズ『ナルコス』[ 2015年~]や、2020年夏公開予定の『ワンダーウーマン 1984』にも出演!)の演技のうまさでしょう。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

また、ジョン・ファヴローやタイカ・ワイティティといった、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の製作者たちがメインで参加しています。こうした新しい才能が、スター・ウォーズに新たなフォースを与えたのかもしれませんね。僕も今年のハロウィンは、マンドーのコスチュームを狙っています(笑)。

『マンダロリアン』© 2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

文:杉山すぴ豊

『マンダロリアン』シーズン1はDisney DELUXEで独占配信中

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『マンダロリアン』

帝国が崩壊した後の物語。 銀河には中央政府が存在せず、始まったばかりの新共和国の法も銀河の辺境の開拓星には届かない。人々は自分の身は自分で守るしかなく、無法者たちは誰からも干渉されずに独自のルールで生きていた。そんな時代にバウンティハンター(賞金稼ぎ)として生き、苦闘する一匹狼の凄腕ガンファイター、マンダロリアンの姿を描く。

制作年: 2019
監督:
脚本:
出演:
声の出演: