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『ストレンジャー・シングス 未知の世界』双子オタク監督に訊く! 80年代トラウマ映画は『IT/イット』とアレとアレ… 気になるシーズン4は?

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ライター:#小西未来
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』双子オタク監督に訊く! 80年代トラウマ映画は『IT/イット』とアレとアレ… 気になるシーズン4は?
Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3:独占配信中

 

Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3の世界配信がスタートした。1980年代のアメリカの田舎町を舞台に、少年たちと超能力少女が異次元からの侵略者と対峙するSFスリラーは、スティーヴン・スピルバーグやスティーヴン・キング、ジョン・カーペンターらに多大な影響を受けた、懐かしくも新しい作品となっている。

2019年7月4日(木)の配信開始から4日間で4070万人視聴というNetflixの新記録を樹立するなど、『ストレンジャー・シングス』人気がますます高まるなか、クリエイターのザ・ダファー・ブラザーズこと、双子のマット&ロス・ダファー兄弟に取材を敢行。今シーズンに影響を与えた作品や、2人で過ごした子ども時代、今後の展望について語ってもらった。

L→R:ロス・ダファー、小西、マット・ダファー

「子どもの頃にホラー映画を観まくって、怖がることが大好きってことに気づいたんだ!」

―シーズン3では、肉体が乗っ取られるというホラー映画の定番要素が盛り込まれていますね。

ロス・ダファー:うん、オリジナルの『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年)もそうだけれど、ぼくらはフィリップ・カウフマン監督によるリメイク版『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年)の大ファンなんだ。ドナルド・サザーランド主演のこの映画は、知名度こそ低いけれど大傑作だと思う。友達や家族の肉体が何者かに乗っ取られてしまうというアイデアは、常に恐ろしい。友達が本当に友達のままなのかどうかわからないという恐怖を、どうやったら『ストレンジャー・シングス』に取り入れることができるだろうと、ぼくらは考えた。

このシリーズには、もともとパラノイアの要素がある。何が正しくて何が悪いのか分からず、いつも不安に駆られている。“何かに乗っ取られる”という要素は、このシリーズと親和性が高いことに気づいたんだ。

Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3:独占配信中

マット・ダファー:好きな人が邪悪になってしまう、という展開は、最悪の種類の恐怖だよね。『シャイニング』(1980年)を含め、偉大なホラー映画の多くがこのパターンを採用している。

ロス:あと、今回はデヴィッド・クローネンバーグ監督のボディ・ホラー(※肉体の変容や破壊を描く作品)の要素も加えてるんだ。

―主人公の子どもたちはあらゆる危険にさらされますが、あなたたちは子どものころ何に恐怖を感じましたか?

ロス:実は、子どものころにホラー映画を観すぎてしまったせいで、感受性が鈍ってしまったところがある。ただ、TVムービーとして放送された『IT/イット』をたしか1990年に観たんだ。当時はとても幼かったせいで、2人ともトラウマになってしまった。いまだにピエロが怖いよ。

―(笑)。

Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3:独占配信中

ロス『死霊のはらわた』(1981年)を観たのは9歳のとき。コメディの要素もあるんだけど、ぜんぜん笑えなくて、怖くて仕方がなかった。でも、こういったホラー映画を観るうちに“ちょっと待てよ。ぼくらって、怖がるのが大好きなんだ!”って気づいたんだ。それで、その手のホラー映画を片っ端から見るようになった。『エルム街の悪夢』(1984年)とか『遊星からの物体X』(1982年)とか。

マット:うん。親父はホラー映画が嫌いだったし、友達のなかでホラー好きなんていなかったから、自分たちで開拓していく楽しさがあった。部屋を暗くして、『ヘル・レイザー』(1987年)みたいな映画を観て、とにかくびびりまくるっていう子ども時代で。

―(笑)。

Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3:独占配信中

マット:どうして恐怖がぼくらを夢中にさせるのかわからない。考えてみると、そもそもフレディ・クルーガーのことを教えてくれたのは、4歳か5歳のときに世話をしてくれたベビーシッターだったんだ。彼女がどうしてそんなことをしたのか理解に苦しむけれど、幼いぼくらの脳にフレディ・クルーガーという恐ろしいキャラクターが植え付けられてしまった。やがて恐怖がぼくらのなかに深く入りこんで、いつしかそのジャンルのなかで物語を伝えたいと思うようになったというわけ。

ただ、いまではホラー自体には以前ほどの興味はないんだ。ホラーは好きだけれど、それはあくまでも物語が提供できるトーンのひとつに過ぎないと思っている。ぼくはテレビドラマという壮大なキャンパスを愛している。さまざまなトーンを追求しつつ、スケールの大きな物語を紡いでいくことができるから。コメディやロマンス、ドラマを共存させることもできるし、モンスターを登場させたり、アクションシーンを盛り込むこともできる。だから、いまはたったひとつのジャンルに囚われているつもりはないんだ。

「あと2シーズンくらいが限界じゃないかな」

―『ストレンジャー・シングス』は今後どれくらい続く予定ですか?

ロス:現時点ではシーズン4は確定していない。このドラマに関わったみんなが、ぜひとも継続したいと思っているけどね。これまで同様、シーズン3の最後でシーズン4のための導入が描かれる。方向性は決まっているけれど、新たな可能性を取り入れる余地も残してあるんだ。シーズン3のエンディングで示した疑問に答えるだけじゃなくて、可能なかぎり最高のシーズンにすることのほうが大事だと思うから。

Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3:独占配信中

マット:今後は、せいぜいあと2シーズン続けるのが限界じゃないかなと思ってる。だってそれ以上続けたら、登場人物たちがみんなホーキンスから逃げ出してしまうよ(笑)

―あんな危険な街はありませんからね(笑)。

マット:うん。フィクションとはいえ、あれほどのトラブルに遭い続けても主人公たちがホーキンスに暮らし続けるのは、あまりにも非現実的だと思う。それに往年の名ドラマのなかには、ピークを過ぎてしまったにも関わらず、ダラダラと続いてしまったものが少なくない。ぼくらにとっては、いいドラマを作る確信が持てること、そして、興奮できることが継続の条件となる。

その参考にしているのが、クリストファー・ノーラン監督のやりかたなんだ。彼は『ダークナイト』シリーズ(2005年~)を製作するにあたり、興奮できるアイデアが浮かぶまでは続編に契約しなかった。ぼくらも自分たちの意見を貫きたい。そうじゃなければ、不純な動機でドラマを続けていることになってしまうからね。

取材・文:小西未来

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『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

姿を消した少年、人目を忍び行われる数々の実験、破壊的な超常現象、突然現れた少女。すべての不可解な謎をつなぐのは、小さな町に隠された恐ろしい秘密。

制作年: 2016
監督:
出演: