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先入観を捨てたアラフォー洋画クラスタが『映画 すみっコぐらし』を観て辿り着いた結論

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ライター:#BANGER!!! 編集部
先入観を捨てたアラフォー洋画クラスタが『映画 すみっコぐらし』を観て辿り着いた結論
『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

生まれて初めて触れる「すみっコぐらし」という新たな世界線

皆さんは「すみっコぐらし」をご存知だろうか。あの「リラックマ」などで知られるキャラクター企業<サンエックス>さんが展開する、お子さまから若者を中心に絶大な人気を集めるキャラクターである。……“である”などと言ってみたものの、洋画クラスタには何がなんだか分からないというのが正直なところ、である。主にちびっこの琴線に触れるユルかわいいキャラクターと接する機会など、我が人生に一片も無し、なのだ。

とりあえず「すみっコぐらし」については手っ取り早く公式サイトを見ていただくとして、その「すみっコぐらし」が映画化され、現在全国公開中であり、かつ絶賛の嵐が吹き荒れているというのだから興味深い。この時点でいったい何を言っているのかさっぱり分からないという方も少なくないだろう。正直、編集部としても実際に映画を観るまでは全く理解できなかったくらいなので、そのへんは推して知るべしだ。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

絶賛の声が広がる映画『すみっコぐらし』はアラフォー洋画クラスタにも響くのか?

「すみっコぐらし 映画」とSNSで検索していただければ、かなり多くの観客から絶賛されていることが把握できるとは思う。しかし、問題はその絶賛の方向というか、出てくるワードの異様さだ。直接の引用は避けるが、いま話題のアメコミ・ヴィラン映画や日本を代表するサイバーパンク・アニメなど、およそ「すみっコぐらし」のイメージとは結びつかない硬派なタイトルばかり挙がっていて、かつ「号泣した」などという感想が並列で出てくるのだから、もはや局地的に異常な磁場でも発生したんじゃないかと疑いたくなるレベルである。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

ということで、はたして『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』はアラフォー洋画クラスタの心にも響くのか? 実際に鑑賞してみた率直な感想を以下に書き連ねたいと思う。つまらない先入観によって、人生に潤いを与えてくれるかもしれない名作を見逃したくない。そんな想いで挑んだ『すみっコぐらし』単独鑑賞、結論から言えば、なるほど数々のブッ飛んだ感想は当たらずとも遠からずといったところであった。「号泣!」とはまでいかなかったが、それはこちらの背中が煤けているということだろう。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

邪な存在は皆無! どこまでも続く“やさしさの地平線”に吸い込まれる

なにはともあれ、まずは「すみっコぐらし」の設定というか世界観を受け入れないことには始まらない。とはいえ、“しろくま”や“ねこ”“とかげ”などの生き物はまだしも、“とんかつ(の端っこで99%しぼう)”や“ふろしき”“たぴおか”、さらに“おばけ”といった無生物が当たり前のように世界を共有している様子は、例えばペンギン村レベルの許容量では処理が追いつかない。おかげで序盤はなかなかお話に集中することができなかったが、「◯◯の世界に迷い込んでしまう」という展開はアニメ作品には珍しくないし、「ドラえもん」劇場版アニメシリーズなどは毎回そんな感じの展開だった気もする……と、なんとか徐々に脳が受け入れていった。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

まさかの『ポルターガイスト』(1982年)的な状況から絵本/昔話の世界に入り込んでしまうところなどは洋画クラスタもニヤリとさせられるところだし、なんだか『ザスーラ』(2005年)や『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986年)みたいな展開と言えなくもない。「桃太郎」「マッチ売りの少女」「人魚姫」「アラジンと魔法のランプ」「赤ずきんちゃん」という作品ラインナップもかなりボーダーレスだが、すみっコたちが作品から作品へと文字通り縦横無尽に飛び回り、実際かなりエクストリームなお話が繰り広げられる。

正気では理解できないようなシュールなやり取りが当たり前のように頻発する展開には、いつの間にか慣れてしまうので安心して欲しい。また、井ノ原快彦と本上まなみのやさしいナレーションがツッコミを入れたり要所で状況説明をしてくれるため、アタマがこんがらがるということもないはず。とにかく徹底して“やさしい世界”が構築されていくので、ちょっと心が弱っている人などは、ここで涙腺のネジがユルむ可能性は大いにある。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

映画『すみっコぐらし』とは一体なんだったのか? ついに答えに辿り着く

すみっコたちが行く先々では、絵本の世界の住民たちが行く手を阻……まないし、寂しさを募らせるあまり暴走……もしない。しかしやがて、ある絵本のストーリーから衝撃のクライマックスへとなだれ込む! ……と思いきや、そこにも“もうひと波乱”用意してあり、正直まったく予想できないアツさに面食らってしまった。

その、あまりにもピュアかつ普遍的な「離れていても、ずっと仲間だよな」というメッセージを受け止めたとき、ついに気づいてしまった。「あ、これ『ワイスピ』じゃね?」と。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』©2019 日本すみっコぐらし協会映画部

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、ほぼ『ワイルド・スピード』シリーズ(2001年~)だったのである。すみっコたちから「俺たちに上も下もねぇ、あるのはファミリーの愛と絆だけだぜ」というお馴染みのメッセージを受け取ったとき、そのツルリとしたシェイプのすみっコたちがヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサムに見えたことは言うまでもない。続編『すみっコぐらし MEGA MAX』が今から楽しみだ。

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は2019年11月8日(金)より公開中

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『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』

ある日すみっコたちは、お気に入りのおみせ「喫茶すみっコ」の地下室で、古くなった一冊のとびだす絵本をみつける。 絵本を眺めていると、突然しかけが動き出し、絵本に吸い込まれてしまうすみっコたち。 絵本の世界で出会ったのは、どこからきたのか、自分がだれなのかもわからない、ひとりぼっちのひよこ・・・?
「このコのおうちをさがそう!」新しいなかまのために、すみっコたちはひとはだ脱ぐことに。 絵本の世界をめぐる旅の、はじまりはじまり。

制作年: 2019
監督:
声の出演: