実の孫ニコラが語る「マルセル・パニョルってどんな人?」シルヴァン・ショメ最新作『マルセル&ムッシュ・パニョル』の背景
シルヴァン・ショメ監督最新作『マルセル&ムッシュ・パニョル』
『ベルヴィル・ランデブー』(2002)、『イリュージョニスト』(2010)を手がけたシルヴァン・ショメ監督最新作『マルセル&ムッシュ・パニョル』が、11月6日(金)より全国順次ロードショー。
このたび、本作の主人公マルセル・パニョルのバイオグラフィーと共に、本作のヒストリカル・アドバイザーにして、彼の実の孫でもあるニコラ・パニョルのインタビューが到着。新たに解禁となった場面写真とともに、マルセルの人物像と作品の背景に迫ってみよう。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
仏の国民的作家パニョルが人生を振り返る、事実に基づく物語
フランスで100万人突破の大ヒットを記録した『ベルヴィル・ランデブー』や、フランスの喜劇王ジャック・タチの遺稿を脚色した『イリュージョニスト』などで、アカデミー賞®にノミネートされたアニメーション界の巨匠、シルヴァン・ショメ。待望の最新作『マルセル&ムッシュ・パニョル』は、そんなショメの15年ぶりとなる長編アニメーション作品だ。
フランスの小説家・劇作家・映画監督マルセル・パニョルの生涯をアニメ映画化し、カンヌ国際映画祭やアヌシー国際アニメーション映画祭に正式出品された本作。リアルとファンタジーが融合した、心に沁みるノスタルジック・アニメーションに仕上がっている。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
本作の主人公マルセル・パニョルとは?
リュミエール兄弟によって映画が誕生した1895年、彼らの最初の映画『ラ・シオタ駅への列車の到着』が撮られた南仏のラ・シオタ近くのオーバーニュに生まれたマルセル・パニョル。父母はともに教師で、3歳の頃に両親の仕事の都合でマルセイユに移る。古都エクス=アン=プロヴァンスで文学を学んだ後、英語教師として働きながら劇作家を志す。パリに上京してからは「名誉を売る商人」を皮切りに演劇界に進出し、「トパーズ」で成功を収める。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
転機となったのはトーキー映画との出会いで、そこに可能性を見出したパニョルは映画製作に乗り出す。舞台でも大当たりをとった“マルセイユ三部作”の『マリウス』『ファニー』『セザール』と大ヒットを記録。港町の庶民の日常や家族の情愛、友情を、土地の言葉と生き生きとした会話によって描いたこれらの作品によって、パニョルはその地位を不動のものにする。その頃パニョルは、マルセイユ近郊に自前のスタジオも作っていた。
戦後は、フランスの文化人にとって最大の栄誉となるアカデミー・フランセーズ会員に選出される一方で、幼少時代の記憶を綴った「少年時代の思い出」など自伝的小説の執筆に力を注いだ。プロヴァンスの風景、家族への愛情、失われた時代への郷愁を描いたこれらの作品は広く読まれ、文学者としての評価も確率した。1974年、パリで逝去。享年79。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
本作のヒストリカル・アドバイザーはマルセルの孫!
ニコラ・パニョルが語る祖父マルセルの半生と映画化
――多くの人々は、自伝的小説「父の大手柄」や「母のお屋敷」を通じてマルセル・パニョルを知り、本作を通じて彼の知られざるその後の人生に触れることになりますね。
まさにそれこそが、私の仕事の目的でした。マルセル・パニョルという人物を、彼が生きた時代、そして人生そのものの中に引き戻すことです。彼は単なる少年でも、丘の麓でコーデュロイのズボンを履いている老人でもありませんでした。劇作家・作曲家協会(SACD)の会長であり、アカデミー・フランセーズの会員でもあった人物です。まだ誰も信じていなかった時代にトーキー映画を擁護し、『ラ・ベル・ムーニエール(La Belle Meunière)』でフランス最初期のカラー映画を手がけました。
ドイツ軍への協力を拒み続け、モナコ大公レーニエ3世の顧問も務めました。20世紀初頭のフランスにおける最も偉大な劇作家の一人であり、代表作「トパーズ」ほどの世界的・大衆的成功を他で探そうとすれば、1985年の「シラノ・ド・ベルジュラック」まで遡らなければならないほどです。さらに彼は、小説家、農家、科学者、実業家、プロデューサー、スタジオ経営者、新聞社のオーナーでもありました。これほど多才で驚くべき人生を送ったにもかかわらず、本人が決して前に出ようとせず裏方に徹していたため、その事実はあまり知られていません。彼は真の意味で、影響力を持った陰の立役者だったのです。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
――映画では、彼の幼少期が常にその創造性を導いていたことも印象的に描かれていますね。
祖父の人生があまりにも豊かであったため、単に時系列を追うだけの伝記映画を作るつもりはありませんでした。私とシルヴァンが目指したのは、詩的なアプローチです。企画の根底には、2つの言葉がありました。一つは、福音書の「お前は自分の才能をどう使ったか?」という問い。もう一つは、サン=テグジュペリの「人は、祖国に属するように、自らの幼少期に属している」という言葉です。
かつて自分の中にいた“子ども”は、どれほど大人になった自分の中に生き続け、未知を示してくれるのか――。シルヴァンはその視点から執筆を開始し、出来上がった脚本にはまさにその答えが描かれていました。時に、かつての自分である“子ども”は、知らず知らずのうちに今の自分を導いてくれるものです。多くの人にとってパニョルは“子ども時代を描いた小説家”だからこそ、子ども時代について語ることは不可欠でした。ですが、単に“子どものための映画”を作るのではなく、それを遥かに超えた普遍的な作品を作り上げたかったのです。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
――映画の最初の映像を見たときの反応は?
シルヴァンの自宅で、名優フェルナンデルの孫であるヴァンサン・フェルナンデルと一緒にアニマティック(絵コンテをつなげた動画)全編を観ましたが、感動しました。目に涙を浮かべて席を立ちました。この映画には信じられないほどの感情的な力を詩情があり、とても美しい。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』© 2025 WHAT THE PROD – MEDIAWAN KIDS & FAMILY CINÉMA – BIDIBUL PRODUCTIONS – WALKING THE DOG
――フランスではマルセル・パニョル生誕130周年に合わせて公開されます。ふさわしい贈り物ですね。
当初、フランス公開は没後50周年に当たる2024年の公開を考えていましたが、私は生誕130周年がより好ましいと思っています。なぜなら、この映画はマルセルにとっての“再誕生”そのものだからです。本作によって、これまで隠れていた本物のパニョルが再びスポットライトのもとへ連れ戻されることを、非常に嬉しく思っています。
『マルセル&ムッシュ・パニョル』は11月6日(金)より全国ロードショー