韓国アニメの「検閲を恐れない姿勢&海外戦略」とは?“キリスト”アニメ『キング・オブ・キングス』監督が語る
「世界一有名なヒーロー」の物語を、韓国アニメスタジオが映画化した『キング・オブ・キングス』が3月27日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開を迎える。
このたび、イエス・キリストが洗礼を受ける神秘的な本編映像が解禁。あわせて韓国アニメの世界展開と本作の記録的ヒットを冷静に分析する監督コメントが到着した。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
文豪ディケンズが我が子に綴った「キリストの物語」
本作は、「クリスマス・キャロル」で知られる英国の文豪チャールズ・ディケンズが、子どもたちのために執筆し、没後64年を経た1934年まで出版が禁じられていた幻の作品「The Life of Our Lord(私たちの主の生涯)」にインスピレーションを得て製作されたアニメーション映画。製作・監督・脚本を務めたチャン・ソンホ率いる韓国のMOFAC STUDIOが30年以上のノウハウを注ぎ込み、10年の製作期間をかけてイエスの誕生から復活までを描く特別な物語を完成させた。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
アジアやヨーロッパ、アフリカなど90カ国以上もの国で公開され、北米では興行収入6000万ドルを突破した本作。『パラサイト 半地下の家族』(5384万ドル)を上回り、北米で公開された韓国映画としては最高の歴代収入を記録し、一大ブームを巻き起こした。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
韓国映画でありながら、英語版の声優には超豪華キャストが集結。チャールズ・ディケンズ役には『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)のケネス・ブラナー、妻キャサリン・ディケンズ役には『キル・ビル』(03)のユマ・サーマン。そして、イエス・キリスト役には『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザック、その他にもマーク・ハミルやピアース・ブロスナン、フォレスト・ウィテカー、ベン・キングズレーといった実力派キャストたちが名を連ねている。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
イエス・キリストが洗礼を受ける神秘的な本編映像解禁
文豪ディケンズの愛息子ウォルターが、イエス・キリストの人生を辿りながら、“信じること”の大切さに気付いていくアドベンチャーファンタジー映画『キング・オブ・キングス』。このたび解禁されたのは、聖書の中でも有名な出来事のひとつ、イエス・キリストが神の子としての洗礼を受ける神秘的な本編映像だ。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
夕陽が差し込む川辺で、「(私の後にくる)そのお方は聖霊と火で洗礼をお授けになる」と人々に説く男・ヨハネ。彼の演説を熱心に聞き入る群衆に、ゆっくり近づいていくイエス。その姿を見た人々は感嘆の声を漏らし、演説をしていたヨハネはイエスの姿を見るなり「このお方こそ、世の罪を取り除く神の子羊。私が予言していたお方だ!」と高らかに宣言する。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
深い敬意と謙遜をもってイエスを迎えるヨハネに対し、イエスは穏やかに「洗礼を授かりたい」「これが我が父の頼みだ」と告げ、川へと身を沈める。洗礼を終え、川から上がったその瞬間、天にまばゆい光が満ちていき神の声が響き渡る――このシーンは、聖書の中でも特に重要な出来事として知られる、ヨルダン川のほとりで洗礼者・ヨハネがイエスに洗礼を授ける瞬間を描いた象徴的なシーンだ。その様子を見守るウォルターが目を輝かせてしまうほど、イエスの神々しさが伝わる、暖かな光と優しい音楽に包まれた神秘的な映像となっている。
ビジネス的戦略から見る韓国映画の世界的ヒットの裏側
イエス・キリストについて「過度に神格化せず、人間的なあたたかさや現実味が伝わるように描きたかった」と、写実的で美しい映像表現に挑戦したこだわりを明かすのは、監督のチャン・ソンホ。韓国国内のアニメーション市場の広がりには限界があると判断し、製作段階から北米市場を第一ターゲットに見据えていたようだ。さらに、韓国VFX業界の先駆者として数々の映画やドラマに参加してきた経験から、実写映画では独自性の差別化が難しいと判断し、アニメーションを初監督作品に選んだという。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
幾層にも重なったビジネス的戦略で構想されながらも、10年もの月日をかけて製作された本作について「キリスト教圏で、イエス・キリストの物語を描いたこの作品が受け入れられるのか不安でした。実は、制作エネルギーの90%を資金調達に費やしたと言っても過言ではありません」と苦労を明かす。しかし、のちに世界90カ国以上もの国で公開され、北米では韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の興行収入を上回り、さらに観客満足度調査“シネマスコア”では、史上128本目となる「A+評価」を獲得した。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
これを受けて監督は、「エンドクレジットを見るまで韓国映画だと気づかなかったという声が多かったことに安堵しました」と喜びを語る。こうした韓国アニメ映画の世界的大ヒットについて、「韓国は民主化に至るまで激動の時代を経験してきました。その過程で培われた反骨精神や抵抗の意識が、表現においても検閲を恐れず、多様な題材に挑戦する姿勢につながっているのではないでしょうか。韓国国内の市場が小さい分、必然的に海外へ目を向けることになりますし、そのことに抵抗感もないのです」と分析している。
『キング・オブ・キングス』©2025 MOFAC Animation Studios LLC.
戦略的で大胆な挑戦のもと、イエス・キリストの壮大な人生を紡ぐ映画『キング・オブ・キングス』の美しいアニメーションを、ぜひ劇場で堪能しよう。
『キング・オブ・キングス』は3月27日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
『キング・オブ・キングス』
イギリスの人気作家チャールズ・ディケンズ(声:ケネス・ブラナー)は、自作の朗読劇「クリスマス・キャロル」の舞台を5歳の末息子ウォルターのいたずらで台なしにされ、親子の関係がこじれてしまう。妻キャサリン(声:ユマ・サーマン)のアドバイスを受けたディケンズは、我が子のために執筆した特別な物語「王の中の王」をウォルターに読み聞かせることにした。それは二千年前、ベツレヘムで生まれたイエス・キリスト(声:オスカー・アイザック)の壮大な人生を描いたものだった。12歳で〝神の子〟としての使命を自覚し、30歳で洗礼を受け、弟子たちの目の前で多くの奇跡を起こし、人々に愛と赦しを説き続けるイエス。信仰が広まる一方、「神への冒涜だ」と敵意を募らせる者たちもいた。やがて最後の晩餐で自らの死と復活を預言したイエスは、十字架刑という試練の道へと歩んでいく。
製作・監督・編集:チャン・ソンホ
脚本:チャン・ソンホ、ロブ・エドワーズ、ジェイミー・トーマソン
声の出演:ケネス・ブラナー、ユマ・サーマン、ローマン・グリフィン・デイヴィス、オスカー・アイザック、ピアース・ブロスナン、フォレスト・ウィテカー、ベン・キングズレー
| 制作年: | 2025 |
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2026年3月27日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー