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徹底解説! Disney+『ロキ』基本設定&トリビア! スタン・リー御大へのリスペクトや小ネタに隠された伏線も!?

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ライター:#杉山すぴ豊
徹底解説! Disney+『ロキ』基本設定&トリビア! スタン・リー御大へのリスペクトや小ネタに隠された伏線も!?
『ロキ』©2021 Marvel

『ロキ』って、どんなお話?

『ロキ』はディズニープラス×マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)第3弾のドラマ・シリーズ。人気ヴィラン、ロキの奇妙な冒険を描きます。本シリーズがユニークなのは、MCU初の“ヴィランが主人公”ということです。

※注意:記事内で『ロキ』およびMCU作品の内容に触れています

『ロキ』©2021 Marvel

ロキはマーベル・コミックでも人気のヴィランですが、やはりMCUでイケメン英国俳優のトム・ヒドルストンさんが演じて大ブレイクしました。彼が演じていたからこそ、ロキはここまでの人気者になったと思います。

『ロキ』©2021 Marvel

ロキは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)でサノスに殺されてしまいますが、これが彼の運命です。熱狂的なファンを持つロキ様を、MCUはあっさり殺したのです。このシーン、映画館ではすすり泣きが起こりました。しかし!『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)において“2012年のロキ”が四次元キューブを使って逃亡。ここで逃げたロキは『インフィニティ・ウォー』における死の運命を避けることができた。ここから本ドラマへとつながるわけです。

ファンにとっては大ハッピーですが、これは歴史を変えてしまうゆゆしき大問題(笑)。ここで登場するのがTVA=Time Variance Authority=時間変異局という超組織。TVAの使命は、歴史=時間軸を監視し守ること。TVAはロキの身柄を確保します。

『ロキ』©2021 Marvel

このTVAというのはSFによく出てくるタイムパトロールみたいな組織ですが、もっと神がかっています。この宇宙には“タイムキーパー”と呼ばれる3人の神のような存在がいて、彼らは時間・歴史を司る超存在。タイムキーパーたちの命を受け生み出されたのがTVAなのです。タイムキーパーたちの理屈は歴史=時間軸は一つであるべき。従って、ロキによって別の歴史が生まれてしまうということは許されないのです。

『ロキ』©2021 Marvel

ロキのように、歴史の流れを変えてしまう異分子をTVAは「変異体」と呼んでいます。変異体であるロキは当然、TVAによって“削除”されてもいいわけですが、ここである事件が起こります。ロキよりもさらに面倒な変異体が現れて、そいつはTVAの追っ手を虐殺しながら逃亡している。TVAのエージェント、メビウス(オーウェン・ウィルソン)は周囲の反対を押し切って、ロキをこの変異体追跡のパートナーに選びます。というのもこの変異体は、また“別のロキ”だから!!!???

『ロキ』©2021 Marvel

今後のMCUの鍵を握る“マルチバース”とは?

ざっとストーリーを書いてみましたが、けっこう複雑ですよね。タイム・トラベル物というのは、ある程度SF的知識がないとややこしいのです。なので、ストレートなアクション活劇だった前作『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年)ほどわかりやすくはありません。しかし、このドラマはストーリーうんぬんよりも、トム・ヒドルストンさんのロキ様の魅力を楽しむことに重きが置かれています。口から出まかせ、高飛車、けれどちょっと抜けているところもある。でも、かっこいい。愛すべき悪党ロキ様の降臨です!

『ロキ』©2021 Marvel

捜査する側が犯人を追い詰めるために、悪党とバディを組む。80年代の傑作アクション映画『48時間』(1982年)を思い出したりもしました。全体的にコミカルですが、その“別のロキ”の凶行はけっこう残酷。また、タイムキーパーたちが1つの時間軸を守ろうとする理由は、“複数の時間軸が存在すると、複数のマルチバース(多元世界)が生まれ、いずれマルチバース間の戦争になるかもしれない”から、と説明されます。このマルチバースというのは、今後のMCUにおいて重要な要素となります。

『ロキ』©2021 Marvel

『ワンダヴィジョン』(2020年)も最初は単純に楽しいシットコムでしたが、後半から全く違うテイストになったので、この『ロキ』も油断はできませんね(笑)。個人的にすごくスッキリしたのは、第1話で主人公であるロキが、この先自分の身に起こる“はずだった”ことを、TVAの仮想現実で知るシーンです。

『ロキ』©2021 Marvel

ロキに芽生えた“善”の心を異なる時間軸から描く

実は、ロキが本当にヴィランらしかったのは『アベンジャーズ』(2012年)までです。続く『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年/日本公開2014年) では育ての母フリッガの死、『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017年) では育ての父オーディンとの別れ&ソーと共にアスガルドのために戦う……と、少しづつ善の面が出てきた。そうした心情の変化があって、『インフィニティ・ウォー』ではソーを庇いサノスに殺されるのです。

『ロキ』©2021 Marvel

「東京コミコン2018」でトム・ヒドルストンさんが来日した際、「ソーを助けるため命を落とした時に、ロキはヴィランからヒーローになったと思う」と言っていました。そう、ロキはヒーローとして死んだわけです。ところが、このドラマ『ロキ』に登場するのは2012年の『アベンジャーズ』時のロキですから、ヴィランのままだったわけです。

けれど第1話で、ロキがヒーローになるために経験すべきことをTVAで見せつけられ、彼の心境に大きな影響が出るのです。つまり、この時から『ロキ』のロキは、『インフィニティ・ウォー』後のロキに近いキャラ、というわけですね。もう一つ、第2話でポロっとロキが言います。「本当の悪人はいないし、本当のヒーローもいない」と。これは、まさにマーベル・ヒーロー&ヴィランの生みの親、故スタン・リー氏が言っていた言葉です。

伏線盛りだくさん!?『ロキ』にまつわるトリビアあれこれ

『ロキ』は、ロキを半分ヒーロー/半分ヴィランとして描いていくのでしょう。とはいえロキは裏切りの王子ですから、この先なにをしでかすかわからない。そういう意味でも、この先の展開が全く読めない楽しさがあります。

『ロキ』©2021 Marvel

さて、ここでいくつかトリビアを。

TVAの要職、ラヴォナ・レクサス・レンスレイヤー。マーベル・コミックでは、この人物は“征服者カーン”という時空を超えて暴れまわるスーパーヴィランと縁のあるキャラです。そして、この征服者カーンは、2022年公開予定の『アントマン』の新作『Ant-man And The Wasp Quantumania(原題)』に登場する予定です。

『ロキ』©2021 Marvel

第1話で「ロキがD.B.クーパーだった」という設定になっていますが、D.B.クーパーというのは、1971年にアメリカで本当に起こった未解決ハイジャック事件の犯人です。

『ロキ』©2021 Marvel

第2話に登場した、ロックスカート(Roxxcart)というスーパーマーケット。英文字のつづりから、これはロクソンという企業グループが作ったスーパーだと思われますが、ロクソンはマーベル・コミックに登場する企業。『アイアンマン3』(2013年)にはロクソン石油が登場しました。

『ロキ』©2021 Marvel

この先も色々な歴史ネタ、マーベル・ネタが出てくるでしょう。『ロキ』は毎週水曜日配信ですが、北欧神話で木曜日はソーを称える日です。兄のソーより一歩前を行く男という、ロキなりのこだわりなのかもしれませんね。

『ロキ』©2021 Marvel

文:杉山すぴ豊

『ロキ』はディズニープラスで2021年6月9日より毎週水曜日16時から独占配信中

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『ロキ』

ロキがMCUで最後に現れた『エンドゲーム』では、アイアンマンたちが訪れた過去の世界で捕縛されていた彼が偶然に四次元キューブを手に入れると、即座に悪用しその場から逃げ出した――。

アベンジャーズたちから逃げ出したロキは、時空を歪めた罪により、“世界の時間”を監視するTVAという謎の組織に拘束されてしまう。自由の身になるために、自分が改編してしまった現実を元に戻し、世界の時間を修復しなければならない――。

ミッションにはロキの“他人に化け、嘘で他人を翻弄する能力”が必要だと語るTVAエージェントのメビウスとタッグを組み、タイムトラベルで実際に起きた重大な事件の“歴史”を変え、“世界の時間”を修復する様々な任務に渋々挑むことに……。

制作年: 2021
出演: