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掲載日:2026年10月10日(2026年10月10日時点の情報)文=BANGER!!!編集部
※本記事の情報は2026年10月10日時点の情報です。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
十年たっても、あの四人が横に並ぶと胸のあたりが落ち着かなくなる。懐かしいからというより、終わったはずの物語が自分の中でまだ終わっていなかったと気づかされるからだ。
『トッケビ10周年旅行~一緒にいるから輝く時間~』は、ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』の10周年を記念した旅番組だ。コン・ユ、イ・ドンウク、キム・ゴウン、ユ・インナ。主要キャストの四人が揃って、江陵へ小さな旅に出る。U-NEXTの独占配信で、見放題の対象。7月に全4回が配信され、いまは最初から最後まで出揃っている。初回登録の人は31日間の無料トライアルで観られる。
出発点を防波堤に置いた人は、わかっている
旅は、思い出の防波堤から始まるという。この一点を知っただけで、作り手はファンの気持ちをわかっていると私は思った。
ドラマの第1話を覚えているだろうか。誕生日の海辺で、ひとりケーキのろうそくを吹き消したチ・ウンタクの前に、蕎麦の花束を持ったキム・シンが現れる。赤いマフラーと、灰色の海。939年を生きてきた男と、「トッケビの花嫁」を名乗る少女が初めて言葉を交わした場所が、江陵・注文津の防波堤だった。放送のあと、あの突堤は花束とマフラーを手にした人が順番を待つ場所になった。ドラマの一場面が、現実の地図に印をつけてしまったわけだ。江陵は韓国の東海岸の町で、ソウルから見れば半島を横切った向こう側になる。わざわざそこまで行く、という距離も旅番組には大事だ。
そこへ、演じた本人たちが戻る。今度はキム・シンとウンタクの顔をしていない。コン・ユとキム・ゴウンとして、同じコンクリートの上に立つ。何を覚えていて、何を忘れているのか。役の衣装を脱いだ俳優が、役の記憶が染みついた場所に立ったとき、どんな顔になるのか。再会を売りにした番組は数あるけれど、最初の一歩をここに置いた構成は、それだけで再生する理由になる。
四人のあいだを流れた十年
『トッケビ』が特別だったのは、恋が二組あり、そのうえ男二人の同居がもう一本の柱になっていたからだ。脚本のキム・ウンスクは、不滅の命を終わらせたいトッケビと、記憶を失った死神を同じ家に住まわせ、食卓や家のことで延々と張り合わせた。重い宿命を背負った二人が、どうでもいいことで言い争う。あの軽さがあったから、終盤の別れがあれほどこたえた。
旅番組でも、その呼吸は生きているようだ。配信開始時の紹介によれば、コン・ユとイ・ドンウクは“お兄さんコンビ”として並び、イ・ドンウクとユ・インナは掛け合いを見せる。死神とサニーを演じたこの二人は、『トッケビ』のあと別のドラマでも恋人役で再共演した間柄だ。遠慮のないやりとりには年季が入っている。
四人という数もいい。コン・ユとキム・ゴウンの二人だけなら、番組は主役カップルの思い出話になっただろう。イ・ドンウクとユ・インナがいることで、あのドラマのもう半分、もう一組の恋と男二人の奇妙な友情までが同じ画面に戻ってくる。『トッケビ』は四人の物語だった。そのことを、記念番組の人選がきちんと覚えている。
そして旅の最後に、キム・ゴウンが涙を見せるという。何に対する涙なのかは、ここには書かない。私自身、観る前から決めつけたくない。ただ、当時20代半ばだった彼女が、その後『ユミの細胞たち』や映画『破墓/パミョ』を経て韓国を代表する俳優の一人になった歳月を思えば、あの現場が彼女にとってどういう場所だったのかは想像がつく。年上の三人に囲まれた末っ子が、十年後に同じ三人と旅をする。泣くなというほうが無理だろう。
事件は何も起きない
弱点ははっきりしている。
これは旅番組で、ドラマの続編ではない。キム・シンもウンタクも出てこない。画面にいるのは、役を演じ終えて久しい四人の俳優だ。あの物語のその後が観られると期待して再生すると、肩透かしを食う。
もう一つ。本編を観ていない人には、ほとんど意味を持たない番組だと思う。防波堤がなぜ特別なのか。四人が並ぶだけで、なぜ空気が変わるのか。理由はすべて全16話のドラマの側にあって、旅番組はそれを説明してはくれないはずだ。未見の人に勧めるなら、順番は本編が先になる。
俳優の素顔に興味がない人、物語だけを愛している人にも勧めない。作品は作品として閉じておきたいという気持ちは、私にもよくわかる。
それでも推すのは、同じ作品を演じた俳優たちが、十年後に全員で振り返る機会がそう何度もあるものではないからだ。四人とも主演を張る立場になり、予定を合わせるだけでも大仕事のはず。記念の年に全員が同じ旅に出たという事実が、あのドラマが当人たちにとっても通過点で終わらなかったことを語っている。私はそう受け取った。
3連休の半日を、四人に預ける
全4回。7月4日、5日、11日、12日と2週に分けて配信された分が、いまはまとめて観られる。配信当時は次の回を待つ時間があったが、連休なら一息に最後まで行ける。1日で観終えてもいいし、3日に分けて少しずつでもいい。ただ私なら、防波堤から最後の涙まで途切れさせずに観る。旅は、帰り道まで含めて一本の線だから。
観るべき人は決まっている。あのドラマに、週末を何度も明け渡した人。コン・ユの長いコート姿に、いまだに弱い人。イ・ドンウクの死神が帽子をかぶるたびに笑っていた人。それから、韓国ドラマに入ったきっかけが『トッケビ』だったという人。あなたの入口になった四人が、いまどんな顔で笑っているのかを確かめる時間になる。
U-NEXTの月額は2,189円(税込)。初回登録の人は31日間の無料トライアルが使え、期間内に解約すれば料金は発生しない。『トッケビ10周年旅行』は独占配信で、見放題に入っている。
雨の日も初雪の日も、あのドラマでは誰かが誰かを待っていた。十年待った側としては、4回分の再会くらい受け取っていいだろう。
※本記事は2026年10月10日時点の情報です。配信状況・料金・配信期間は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。