墓の下には深い秘密が埋まっている 前半は怪奇ミステリー、後半は呪術バトル!韓国オカルト映画『破墓/パミョ』の振り幅がヤバい
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韓国で約1200万人を動員した『破墓/パミョ』は、“墓に眠る怪異”を描くだけのホラーではない。風水師、葬儀師、若い巫堂たちが一族に災いをもたらす墓の改葬を引き受け、掘り返してはいけなかったものに触れてしまう。土俗的な怪談から始まった物語は、やがて朝鮮半島の歴史に刻まれた傷へとつながり、スケールの大きなオカルト・エンターテインメントへ変貌する。
まず引き込まれるのが、韓国のシャーマニズムや葬送文化を徹底して現実的に見せる演出だ。風水師が土を口に含んで土地の性質を確かめ、葬儀師が棺と遺体を慎重に扱い、巫堂が歌や祈り、激しい動きを交えながら儀式を執り行う。怪異を大げさに見せる前に、彼らが日常的に仕事をこなす姿を積み重ねることで、オカルトが絵空事ではなく、現在の社会に残る文化として立ち上がってくる。
『破墓/パミョ』COPYRIGHT ©2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.
中でも圧巻なのが、巫堂ファリムを演じたキム・ゴウンだ。鮮やかな衣装をまとい、刃物や血、音楽を用いて進められる儀式には、画面を支配するほどの迫力がある。単に霊感の強い人物を演じるのではなく、危険な現場を何度も経験してきた専門家としての落ち着きと凄みをまとわせた。キム・ゴウンは役作りのために実際の巫堂を訪ね、手の動きや身体の震わせ方まで確認したという。その積み重ねが、祈りの言葉やわずかな所作にも説得力を与えている。
チェ・ミンシク演じる風水師サンドクも強烈だ。墓の位置を見ただけで異変を察し、依頼の危険性を直感する。超常現象に振り回される被害者ではなく、土地と向き合ってきた経験を武器に怪異へ踏み込んでいく姿が頼もしい。ユ・ヘジンの葬儀師ヨングン、イ・ドヒョンのボンギルを含めた4人が、それぞれの技能を持ち寄って事態に立ち向かう。その関係性には職業映画やチームものとしての面白さもある。
『破墓/パミョ』COPYRIGHT ©2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.
前半は、墓を移すという行為そのものに不穏さを宿らせた怪奇ミステリーだ。山中にひっそりと置かれた墓、依頼人一族のよそよそしい態度、守らなければならない不可解な条件。掘り進めるほど嫌な予感が膨らみ、土を落とす音や棺が動く音まで恐怖に変わっていく。派手な驚かせ方を連発するのではなく、触れてはいけないものに少しずつ近づく緊張感で観客をつかんで離さない。
そして『破墓/パミョ』が本領を発揮するのは、その怪談が一度終わったかに見えた後だ。物語は静かな因縁話から、より巨大で具体的な脅威との対決へと舵を切る。湿り気を帯びたフォークホラーが、呪術や風水を駆使した豪快な怪異譚へ加速していくのだ。
この後半の変化こそ、本作の大胆さであり魅力でもある。前半と同じ恐怖を繰り返すのではなく、墓の下にさらに深い秘密が埋まっているという構造を、そのままジャンルの変化に結びつけた。一本目の物語を掘り終えたと思った瞬間、さらに下から別の棺が現れるように、映画そのものが新たな姿を見せる。得体の知れないものを遠くから恐れる段階を越え、登場人物たちが持てる知識と技術を総動員して立ち向かう展開には、オカルト版の冒険活劇と呼びたくなる高揚感がある。
『破墓/パミョ』COPYRIGHT ©2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.
同時に、恐怖の範囲も一族の因縁から国家の記憶へと広がっていく。墓を掘り返す行為は、地中に封じられていた朝鮮半島の歴史を掘り起こす行為へ変わる。土地に打ち込まれたもの、長く埋められてきた記憶、現在にも残る過去の傷。個人的な怨念と歴史的な痛みを重ねることで、怪異の正体に物理的な恐ろしさだけではない重みを与えた。
前半と後半の作風が大きく異なるため、二つの作品をつないだように感じるという批評もある。ただ、その振り幅を含めて『破墓/パミョ』は面白い。じっとりと迫る怪談、墓をめぐる謎解き、職人たちのチーム戦、そして歴史を背負った怪物との対決。異なる要素を「掘る」という一本の動作でつなぎ、物語が深部へ進むほど娯楽性もスケールも増していく。
恐怖の正体を最後まで曖昧にして余韻だけを残すのではなく、登場人物たちが怪異と正面から向き合い、積み上げてきた知識を使って突破口を探す。前半の緻密な儀式描写があるからこそ、後半の大胆な展開も単なる勢いにはならない。韓国の土俗信仰を現代的な職業映画として描き、その地下から植民地支配の記憶を掘り出し、最後には力強いエンターテインメントとして決着させる。『破墓/パミョ』は、墓を掘るたびに物語のジャンルと意味が更新されていくオカルト大作だ。
『破墓/パミョ』COPYRIGHT ©2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.