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カンヌ受賞の名匠たちが紡ぐ社会階級の現実と希望『君の見る世界をなぞる』ほかローラン・カンテ×ロバン・カンピヨの名作5選

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ライター:#BANGER!!! 編集部
カンヌ受賞の名匠たちが紡ぐ社会階級の現実と希望『君の見る世界をなぞる』ほかローラン・カンテ×ロバン・カンピヨの名作5選
『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

第78回カンヌ国際映画祭で監督週間のオープニング作品に選出された『君の見る世界をなぞる』が、8月21日(金)より全国順次公開を迎える。

昨年4月に惜しまれながらこの世を去ったフランスの名匠ローラン・カンテが企画し、学生時代からの盟友であり現代フランス映画界の重要人物であるロバン・カンピヨがその遺志を継いで完成させた本作。このたび日本公開を記念し、二人が共同で制作した4作品と併せて一挙に紹介したい。

『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

『君の見る世界をなぞる』
8月21日(金)全国順次公開

『パリ20区、僕たちのクラス』(08)でパルム・ドールに輝いたローラン・カンテが長年温めてきた企画を、彼の逝去後、盟友であり『BPM ビート・パー・ミニット』(17)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したロバン・カンピヨが遺志を受け継ぎ完成させた青春映画。

『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

南仏の裕福な家庭で育った16歳のエンゾは、学校に馴染めず、建築現場で見習いとして働いている。そこで出会ったウクライナ出身の青年ヴラドに憧れを抱き、惹かれていくが、彼は兵役のため戦争へと向かわなければならない。満ち足りた生活を送る家族への反発、進むべき道のわからない将来への不安、そして親しい人が奪われる戦争の現実。自分の感情を制御できぬまま、エンゾが過ごす夏は、静かに形を変えていく。

『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

“自分とは何者か”を探し続ける思春期の心の機微

元競泳選手である新人俳優エロワ・ポユが主人公エンゾの心の揺らぎを繊細に演じ、エンゾの両親役で『シチリアーノ 裏切りの美学』(19)のピエルフランチェスコ・ファヴィーノと、『天使が見た夢』(99)のエロディ・ブシェーズが共演。エンゾが淡い憧れを抱く労働者ヴラド役には、実際に建築現場で働いていたアマチュア俳優マクシム・スリヴィンスキーを起用した。

『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

フランスの名門映画学校の級友で、多くの作品で協働してきたローラン・カンテとロバン・カンピヨふたりの視線が交差した本作。不安定な思春期の心の機敏を、南フランスの柔らかな光に包まれた美しい映像で捉えながら、フランスの階級社会の断絶や戦争の影、不安と閉塞感が漂う現代を背景に、“自分とは何者か”を探し続ける若者の姿を鮮やかに映し出し、美しくもほろ苦い余韻を残す。若者への鋭い理解に定評のあるふたりの名匠から、いまを生きる我々に送られる温かい眼差しと力強いメッセージに注目だ。

『君の見る世界をなぞる』©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi

ローラン・カンテ&ロバン・カンピヨが手がけた名作たち

『タイム・アウト』(2001年)

監督・脚本:ローラン・カンテ/脚本:ロバン・カンピヨ

1993年のジャン=クロード・ロマンによる実際の事件を基に、男性と仕事との関係に焦点を当てたサスペンス。批評家の絶賛が相次ぎ国際的にも大きな注目を集め、ヴェネツィア国際映画祭でドン・キホーテ賞を受賞したほか多数の映画祭でもノミネートされた。

『アデル、ブルーは熱い色』(13)のオーレリアン・ルコワンが演じる主人公のヴィンセントが、仕事を解雇された真実を妻や家族に告げることができず、嘘の網を張り巡らせて自分の状況を隠しつづけ、だんだんと嘘がエスカレートしていく物語。現在ネットフリックスにて、『ジェイ・ケリー』のアダム・サンドラーと、『憐れみの3章』のウィレム・デフォーが共演しスコット・クーパーが監督・脚本を務めリメイクに挑む。

コンサルタントのヴァンサンは解雇された事実を周囲に隠し、ジュネーヴで新しい仕事を見つけたと嘘をつく。彼は昼も夜も、路上やパーキングで過ごしながら、仕事や生活についての嘘に信憑性を与えるべく苦心している。家族や友人に嘘をつくこと、今やそれが彼の仕事となってしまったのだった。

『南へ向かう女たち』(2005年)

監督・脚本:ローラン・カンテ/脚本:ロバン・カンピヨ

1970年代のハイチを舞台に、お金を持て余した富裕層の白人女性たちが、現地のやさしい黒人青年と肉体的にも精神的にも戯れるひとときのバカンスを描きながら、 独裁政権下のハイチの厳しい現実と人種間/階級間にある断絶を浮き彫りにする。『愛の嵐』(74)で広く知られ、『さざなみ』(15)でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)に輝いたシャーロット・ランプリングが主演を務める。

80年代初頭のハイチ。数ドルのお金と食事を引き換えに魅力と優しさを女に与える若い男たち。18歳にもならない美しい少年レグバの優しさとセックスに溺れた2人の中年アメリカ女性は、毎年彼を訪ねてハイチまでやってくる。やがてその情事がそれぞれの人生を狂わせることに……

『パリ20区、僕たちのクラス』(2010年)

監督・脚本・編集:ローラン・カンテ/脚本:ロバン・カンピヨ

生い立ちも出身国もさまざまな24人の生徒と1人の国語教師の交流を通じ、フランスの教育現場を赤裸々に描いた作品。実体験を基にした原作小説「教室へ」の著者フランソワ・ベゴドー自身が教師役を演じ、演技経験のない24人の子供たちのリアルな芝居が注目を集め、第61回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。移民や問題児の多い中学校を舞台に、傷つき反発し合いながらも、信頼を深めていく生徒たちの姿をドキュメンタリータッチで描く。

中学校のフランス語教師として働くフランソワは、手ごわい生徒たちを迎える新学期にむけて準備中。アフリカ、東南アジア、アラブ系など多種多様な人種を抱えるフランソワのクラスは決して一筋縄ではいかないものだった。そしていよいよ新学期が始まり……。

『フォックスファイア 少女たちの告白/ガールズ・ギャング・ストーリー』(2012年)

監督・脚本:ローラン・カンテ/脚本:ロバン・カンピヨ

米国の人気作家ジョイス・キャロル・オーツの「フォックスファイア」を、米国ロケ&米国人キャスト共演で映画化に臨んだ、少女たちが起こした革命を追うヒューマンドラマ。男性優位社会によって女性の尊厳がないがしろにされている状態に反抗するために、10代の少女たちで結社した「フォックスファイア」の活動が、コミカルな悪ふざけから危険行為に発展していく様子を描きながら、人種差別、同性愛、階級間の恨みなど社会問題も内包する。

1955年、ニューヨーク州郊外の小さな町。女性が差別される世相の中、それを認めたくない高校生レッグスは、マディ、リタ、ラナら4人の級友を率いて、男性社会や資本主義に抵抗する少女だけの組織「フォックスファイア」を結成。当初は目的に沿った活動をしたが、組織は活動資金を得るために犯罪にまで手を染める。ついに組織は警察に逮捕され、レッグスは矯正施設に送られるが、町に帰ってきた彼女はさらに大胆な行動へ……。

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