少女時代ユナは「善良さや人間性も魅力」悪魔憑依系ラブコメ『プリティ・クレイジー』監督が語る制作秘話
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』
イ・サングン監督インタビュー
大ヒット作『EXIT イグジット』(2019年)のイ・サングン監督が再びイム・ユナとタッグを組んだ『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』が、6月19日(金)から全国公開を迎える。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
本作は昼はパン職人、夜は悪魔の2つの顔を持つ女性ソンジと、彼女を取り巻く人々が織りなす奇想天外なストーリー。公開を前に、イ・サングン監督にオンラインでインタビューした。
イ・サングン監督 Image Courtesy of CJ ENM Co., Ltd.
「イム・ユナさんと仕事をすることは、他の選択の余地がないほどでした」
――監督にとっては『EXIT イグジット』以来の長編映画になりますが、本作の脚本は『EXIT』より前に執筆されていたそうですね。“昼と夜で別人格になってしまうヒロイン”という本作のアイデアはどこから生まれ、どんなところからインスピレーションを得たのでしょうか。
本作は、私が学校(筆者注:韓国芸術総合学校大学院)を卒業して、デビュー作として準備していた作品です。住んでいるマンションの近くを夜によく散歩していたんですが、歩きながらふと、マンションや家の周辺で起こることを映画にしてみようという考えが心に浮かび、それからマンションの隣人たちをよく観察するようになりました。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
エレベーターで出会ういろんな人々が、昼と夜で違う姿を見せることがあるじゃないですか。酔っ払っていたり、昼はスーツ姿の人がジャージに着替えて外に出てきたり。そういった隣人たちの多様な姿を見ながら、彼らに何か秘密があったら面白いことが起こりそうだと思って、シナリオを書き始めました。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
――『EXIT』に続き「少女時代」のイム・ユナさんが主演を務めましたが、どのような経緯で彼女をキャスティングしたのでしょうか。また、ユナさんの俳優としての魅力はどこにあると思いますか。
ユナさんについてはいい思い出がたくさんありますし、私と呼吸も合いました。『EXIT』の撮影が終わってからもまた一緒に仕事をしたいと強く思っていましたね。本作のソンジ役にはユナさんがぴったりだと思い、シナリオもユナさんを想定して修正したので、オファーを受けてくださった時はとても嬉しかったです。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
ユナさんの俳優としての魅力については私よりも観客の皆さんの方がよくご存じでしょうが、私は仕事仲間として善良さや人間性も魅力だと感じますし、彼女がプロとして長いあいだ業界で成し遂げてきたことも彼女の努力や誠実さがあってこそだと思っています。彼女と仕事をすることには、他の選択の余地がないほどでした。
撮影メイキング:『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
「一番難しかったのは、漢江のシーン。あらゆる準備を整えました」
――アン・ボヒョンさん、ソン・ドンイルさんのキャスティングの理由についても教えていただけますか。アン・ボヒョンさんは本作の演技で青龍映画賞の新人男優賞を受賞しましたが、彼の演技で特に印象に残ったシーンを教えてください。
アン・ボヒョンさんは当時、映画よりドラマによく出演されていました。ドラマを見ながら、彼の「オタクっぽい魅力」やワンちゃんのような雰囲気がギルグをうまく表現できるのではないかと感じたんです。内面の少年っぽさが表に出てくればさらに面白いな、と。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
本作は、彼がこれまでしてきた演技とまるで違うものなので、本人も初めは難しいと言っていましたが、撮影が進むにつれて楽しんでいたようです。特に印象に残っているのは終盤のあるシーンの撮影です。ボヒョンさんが突然泣き出して、みんな「どうしたんだろう?」と驚いたんですが、それだけ感情が高まったんですね。映画をご覧いただければ分かると思いますが、ボヒョンさんがギルグと完全にシンクロした瞬間だったのではないかと思います。
ソン・ドンイルさんは代わりがいない俳優です。彼の温かい演技や瞬発力はこの映画の力になると思いましたので、参加してくださったことに感謝しています。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
――ユナさんが漢江(ハンガン)に飛び込むシーンなど、俳優たちが体を張って演技するシーンが印象的でした。撮影中のエピソードがあればお聞きしたいです。
漢江のシーンは一番難しい撮影でした。もしNGが出れば衣装も着替えないといけないし、髪も乾かさないといけないし、時間がかかりますから。ですから1回で終わらせるつもりで、水中にスキューバダイバーを待機させ、シャワーブースがある車両を用意して、あらゆる準備を整えました。それでも事故が起きる危険もありましたし、緊張しましたね。
キャストの2人は怖がっていたんですが、いざユナさんが飛び込んだらボヒョンさんも続いて飛び込んでいきました。幸い1度でOKになりましたが、やはりそのシーンが一番記憶に残っています。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
「アクションに関しては“師匠”の顔色をうかがうしかない(笑)」
――本作の製作会社はカン・ヘジョン氏とリュ・スンワン監督の<FILMMAKERS R&K>です。イ監督はリュ・スンワン監督の『史上最強スパイMr.タチマワリ! 爆笑世界珍道中』(2008年)に演出部のスタッフとして参加され、リュ監督との関係は深いと思いますが、彼から受けた影響はありますか? また、本作のアクションシーンなどの撮影においてリュ監督の助言はあったのでしょうか。
リュ・スンワン監督は師匠のような存在です。現場でどう動くべきか、映画を作るにあたってどのようにアプローチするかなど、学んだことは多かったです。それに仕事に対する情熱、勤勉さ、映画を作り出す情熱も学びました。
リュ監督のアクションは世界レベルだと思いますので、(自分の映画でアクションを取り入れる時は)当然顔色をうかがいました(笑)。ただ、本作にはリュ監督の映画のようなアクションは似合わないと思いましたし、リュ監督もアクションは減らしてもいいんじゃないかとおっしゃったので、少し減らした経緯があります。ともかくアクションに関しては、師匠の顔色をうかがうしかないですね(笑)。
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
――次回作の構想はありますか? 可能な範囲で教えてください。
構想しているシナリオはいくつかありますが、その中に近く動き出しそうなものがあります。いい作品になるんじゃないかな。面白い映画を撮りますので、期待していてください。
――日本の観客に本作をどのように観てほしいですか? 最後にメッセージもお願いします。
観客の皆さんにどう受け止めてほしいか、言うのはちょっと難しいですね……。ともかく、エアコンの効いた涼しい映画館で作品を楽しんでください、と申し上げたいです。そして映画を観て生まれた感情を持ち帰っていただけたらと願っています。
7月に日本に遊びに行く予定があるのですが、その時まだこの映画が映画館にかかっていたら、観に行ってみようと思います。
撮影メイキング:『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』©2025 CJ ENM Co., Ltd., FILMMAKERS R&K ALL RIGHTS RESERVED
取材・文:芳賀 恵
『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』は6月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー