ギィ・ジル監督の初期二作品『海辺の恋』&『オー・パン・クぺ』が、4月18日(土)より公開される。このたび、長編初監督作品『海辺の恋』本編より、アラン・ドロンやジュリエット・グレコも映し出される特別映像が解禁となった。
ギィ・ジル監督の知られざる初長編作品
短編映画『Au biseau des baisers』(1959)をいたく気に入ったフランス映画界の巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルが資金の一部を援助し3年の歳月を経て完成された本作は、「ロカルノ映画祭」で批評家賞を受賞し、当時静かな注目を集めた。揺れ動く若者たちの愛の儚さを描いた自伝的作品である本作は、主演のダニエル・ムースマン、ジュヌヴィエーヴ・テニエに加え、友人役としてギィ・ジル本人も同名の役で出演。さらに、監督の熱意や才能、魅力に惹かれジャン=ピエール・レオ、ジャン=クロード・ブリアリ、アラン・ドロン、ジュリエット・グレコなど時代を象徴する錚々たるスター俳優たちがカメオ出演をしていることも特徴のひとつ。初の長編監督作品にして、モノクロとカラーが交差する実験的かつ挑戦的なスタイルも確立。
夏の海辺で愛を確かめ合うジュヌヴィエーヴと水兵ダニエル。しかしヴァカンスが終われば、彼は港町ブレストへ、彼女はパリへと戻らなければならない。夏の陽射しを浴びたカラフルな想い出が離れがたく、二人は再会を願って手紙を綴り続ける。そこに、アルジェリア戦争から帰還したもう一人の水兵ギィが加わり、三人の想いは静かに交錯していく。夢と現実のあわいを漂うダニエル(ダニエル・ムースマン)、無邪気で愛らしいジュヌヴィエーヴ(ジュヌヴィエーヴ・テニエ)。そして監督自身が、友人「ギィ」として登場する。彼自身の記憶が物語に溶け込むことで、恋愛映画は単なる叙情を超え、記憶と経験が多声的に響き合うポリフォニーとなる。他にもジャン=ピエール・レオ、ジャン=クロード・ブリアリ、アラン・ドロンからジュリエット・グレコら、時代を象徴する俳優たちが、静かに物語を彩っている。波打ち際で消えていく足跡のように、若者たちの愛は儚くも確かに存在した。自由への夢に悩み、パリの誘惑と夏の陽光降り注ぐビーチの間で揺れ動く若者たち…愛の儚さと不在の痛みを鮮烈に刻む。
https://youtu.be/BydlO_SjMpM
特別映像は、これぞフランス映画といえる美しい恋愛劇である本作からの象徴的なシーンの数々。恋人たちの温度感の違い、日常生活で恋や愛について語る人々を映し出した美しい映像が満載だ。さらにアラン・ドロンとジュリエット・グレコによる架空の映画の上映シーンもある。生前はほとんど知られることのなかった監督だが(日本でも知る人ぞ知る監督)、2000年代以降、ラ・ロシェル映画祭やルサス映画祭、シネマテーク・フランセーズなどで回顧上映が相次ぎ再評価の機運が高まった。60年代のフランスから届いた、あまりにも美しい恋と別れ。遠距離恋愛の残酷さ、流れるように過ぎ去る愛、人生から静かにこぼれ落ちていくものたち…。その映像は儚さと甘美さを宿し、消えゆくものの美しさを珠玉の断章のように織り上げていく。
1980年代末、病に倒れエイズを発症し1996年2月3日に57歳で逝去した“忘れ去られたヌーヴェルヴァーグの名匠”ギィ・ジル監督。没後30年を経て待望の日本公開となる。
『海辺の恋』©1965 Films Galilée
『海辺の恋』は4月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国公開