妻を“薬物で支配した”戦慄の長期犯行
ドイツ西部アーヘンで、想像を絶する家庭内犯罪が裁かれた。
被告は61歳のフェルナンド・P。裁判所が認定したのは、2018~2024年にわたり妻を薬で昏睡させ、繰り返し性的暴行を加え、さらにその映像をネットにアップし共有していたという。背筋が凍るような犯行だ。
暴行・撮影・共有…捜査のきっかけは「ネット上の動画」
裁判所によれば、フェルナンドは自宅で妻に無断で鎮静剤を投与し、意識を奪ったうえで暴行。しかも、その様子をチャットグループやインターネット上に自らアップロードしており、34件の録画・画像によるプライバシー侵害が認定された。被害者は何年もの間、昏睡状態で暴行されていたため気づくことができなかったという。
警察が動き出したのは、被告が投稿していた動画に関する通報が寄せられたことがきっかけだった。家庭内で密かに行われていた犯行は、皮肉にも加害者自身の禍々しい二次加害行為によって露見したのだ。
「加重レイプ」「危険な身体傷害」ほかにより懲役8年6か月
被害者のプライバシー保護のため、審理の多くは非公開。しかし、妻の代理人弁護士は「彼女は本当に声を取り戻した。自分の気持ちを語ることができた」と語り、被害者が法廷で自らの経験を証言したことの意義を強調している。
裁判所はフェルナンドに対し、「加重レイプ」「危険な身体傷害」「性的強要・性的暴行」「私生活の最も親密な領域の侵害(録画・拡散)」などの罪で<懲役8年6か月>を言い渡した。一部の容疑は無罪となったが、詳細は非公開。判決は控訴可能だ。
フランスで起こった「ペリコ事件」との不気味な共通点
ドイツ国内では、本件がフランスの「ドミニク・ペリコ事件(2024年)」を想起させるとして大きく報じられた。ペリコが妻ジゼルを薬で昏睡させ、“数十人の男を招き入れて”集団レイプさせていたという衝撃的事件で、ジゼルが匿名を捨てて公判に立ったことは世界的な反響を呼んだ。今回のアーヘン事件も、「信頼関係を悪用した薬物犯罪」という点で深い共通性を持つ。
ドイツ連邦刑事庁(BKA)は、薬物による昏睡と性暴力の被害者はほぼ女性であり、加害者は配偶者・パートナー・家族など、信頼関係にある人物が多いと警告している。家庭という“安全なはずの場所”が、最も逃げ場のない犯罪の舞台となる現実が浮き彫りになった。
許されざる性暴力事件を描いた実録映画作品
『アンビリーバブル たった1つの真実』(Netflix)
若い女性によるレイプ被害の訴えを作り話として片付ける警察。 だが数年後、酷似した手口の事件が続き、2人の女刑事が捜査に乗り出す。 実話に着想を得たシリーズ。
『警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件』(Netflix)
2000年、東京でひとりの英国人女性が姿を消した。警察の執念の捜査がやがて、何百人もの被害者を毒牙にかけたとされる犯人の卑劣な犯罪を浮き彫りにしてゆく
『プロセッション -救済への行進-』(Netflix)
子供の頃にカトリック教会の聖職者から性的虐待を受けた6人の男性。自分たちのトラウマ体験に基づいた映画制作を通して、支え合いながら前に進む力を得ていく。