今こそ沼りたい「フランス発」SFアニメ映画4選!バンド・デシネ×日本アニメの傑作『マーズ・エクスプレス』公開記念
例年、日本の興行収入ランキングの上位をアニメーション映画が占めるとおり、2025年も多くの日本アニメが映画業界を盛り上げた。その人気は国内のみならずグローバルにファンを獲得し、日本アニメの勢いは年々増している。
そして来年1月、伝説の日本アニメの系譜に挑む“フランス生まれ”の異色SFアニメーション映画『マーズ・エクスプレス』が公開。――ということで、日本のファンにも是非おすすめしたい本作の公開を記念し、スタイリッシュで独特な世界観で多くの人を虜にする<フランス産SFアニメーション映画>を厳選して4作ご紹介したい。
『マーズ・エクスプレス』© Everybody on Deck – Je Suis Bien Content – EV.L prod – Plume Finance – France 3 Cinéma – Shine Conseils – Gebeka Films – Amopix
『マーズ・エクスプレス』
2026年1月30日(金)より全国公開
20年以上にわたり宇宙で活動をつづけている実在の火星探査機<マーズ・エクスプレス>の名を冠した、最新の宇宙研究に基づいたディストピア・サスペンス。これが長編デビュー作となるフランスの新鋭ジェレミー・ペラン監督が、太陽系の惑星の中で地球に最も環境が似ていると言われている火星を舞台に、“人間とロボット”が共存するリアルな未来をオリジナルストーリーで描き、第76回カンヌ国際映画祭でも大きく話題を集めた。
『マーズ・エクスプレス』© Everybody on Deck – Je Suis Bien Content – EV.L prod – Plume Finance – France 3 Cinéma – Shine Conseils – Gebeka Films – Amopix
ときは23世紀――西暦2200年。地球での仕事を終え、活動拠点である火星に戻ってきた私立探偵アリーヌ。「行方不明になっている大学生の娘を探してほしい」という男の依頼を受けて、アンドロイドの相棒カルロスと共に捜索を開始する。調査の過程で火星の首都ノクティスの暗部に足を踏み入れていく二人を待ち受けていたのは、腐敗した街の裏側、強大な権力を持つ企業の陰謀、そして人間とロボットが共存する社会の根幹を揺るがす事態だった。
『マーズ・エクスプレス』© Everybody on Deck – Je Suis Bien Content – EV.L prod – Plume Finance – France 3 Cinéma – Shine Conseils – Gebeka Films – Amopix
世界中の映画祭を席巻! 日本語吹替版にも要注目
本作はアヌシー国際アニメーション映画祭2023長編コンペティション部門に選出され、さらにアニメ界のアカデミー賞と呼ばれる第52回アニー賞では長編インディペンデント作品賞ノミネートを果たすなど、文字通り世界のアニメーション界を賑わせた。日本語吹き替え版では、主人公の私立探偵アリーヌ役を佐古真弓、相棒カルロス役を安元洋貴、大企業の代表ロイジャッカー役を内田夕夜、天才ハッカーのロベルタ役を三瓶由布子が演じている。
『マーズ・エクスプレス』© Everybody on Deck – Je Suis Bien Content – EV.L prod – Plume Finance – France 3 Cinéma – Shine Conseils – Gebeka Films – Amopix
世界中のクリエイターに影響を与えた日本のSFアニメーションから着想を得た世界観と、フランス独自のスタイリッシュな映像表現が融合した『マーズ・エクスプレス』。両者の化学反応が生み出す、唯一無二の映像体験に引き込まれること間違いなしだ。
『マーズ・エクスプレス』© Everybody on Deck – Je Suis Bien Content – EV.L prod – Plume Finance – France 3 Cinéma – Shine Conseils – Gebeka Films – Amopix
2026年1月30日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
『ファンタスティック・プラネット』(1973年)
世界中のクリエイターに多大な影響を与えた、カルトSFアニメの金字塔。大人向けの長編アニメがほとんど作られていなかった1970~1980年代のフランスで、独創的な作品を生み出したルネ・ラルーの長編監督第1作。日本でも1985年の劇場初公開以来カルト的な人気を誇り、たびたび行われるリバイバル上映でも満席回が続出している本作は、作品誕生から半世紀を超えた今なお新たなファンを獲得し続けている。
『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films
地球ではないどこかの惑星。その星には真っ青な肌に赤い目をした巨人ドラーグ族と、彼らから虫けらのように虐げられている人類オム族が住んでいた。ある日、ドラーグ人の知事の娘ティバは、ドラーグ人の子どもたちにいじめられ母を亡くしたオム族の赤ん坊を拾う。ティバは赤ん坊をテールと名付け、ペットとして飼うことになるが……。
フレンチSFのパイオニアであるステファン・ウルの原作「Oms en série」をもとに、ブラックユーモア溢れる幻想的な画風の漫画家ローラン・トポールが約4年の歳月をかけて原画デッサンを描き、<切り絵アニメーション>という手法で鬼才ルネ・ラルーが1973年に映画化。そのあまりに独創的でファンタジックな世界観で瞬く間に批評家・観客たちを魅了し、アニメーション作品として史上初めて第26回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。
『ルネッサンス』(2006年)
近未来のパリを舞台に、ある誘拐事件を追う警部が人類の未来を左右する巨大な陰謀に巻き込まれていく姿を、モーションキャプチャ技術を駆使し、コントラストの効いたモノクロアニメーションで描いたフランス・イギリス・ルクセンブルク合作の斬新なSFアクション。アヌシー国際アニメーション映画祭2006長編部門グランプリ受賞。
監督は、短編アニメーション映画『Maaz』(1999年)が世界各地の映画祭で30を越える賞を受賞するなど高く評価され、カルト的人気を誇るクリスチャン・ボルクマン。主人公カラス警部の声を『007』シリーズのダニエル・クレイグが演じた。
2054年のパリ。巨大企業アヴァロン社の研究員イローナが誘拐されるという事件が発生。捜索を命じられたカラス警部は、彼女が不老不死についての研究をしていた事や他の人物からも追われていることを知る。
『アヴリルと奇妙な世界』(2015年)
世界のアニメシーンに新風を吹き込んだフランス発ヌーベルSFファンタジー。世界各地の映画祭にノミネートされ、第39回アヌシー国際アニメーション映画祭では長編部門グランプリを受賞。フランスの漫画家ジャック・タルディの作品に基づいたビジュアルと手に汗握るスリリングな演出で、ノスタルジックかつ壮大で独創的なスチームパンクの世界を描く。
声優には『エディット・ピアフ 愛の讃歌』のマリオン・コティヤール、『髪結いの亭主』のジャン・ロシュフォール、『息子のまなざし』のオリヴィエ・グルメら豪華キャストが集結。『アデル ファラオと復活の秘薬』の原作者ジャック・タルディがビジュアル総監督を務めた。
ナポレオン5世が支配する1941年のパリでは、70年もの間、優秀な科学者たちが次々と失踪したために産業革命は起こらず、街は蒸気機関だけが頼りとなっていた。そんなパリで暮らす孤独な少女アヴリルと飼い猫ダーウィンは、消息を絶った科学者の両親と祖父ポップスを捜す旅に出るが……。