32歳の坂本龍一が見つめた“東京の音” 幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版

32歳の坂本龍一が見つめた“東京の音” 幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版
『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』©Elizabeth Lennard

1985年の制作から40年の時を経て、4Kレストアされた坂本龍一の幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版が、2026年1月16日(金)より公開される。このたび、本予告が解禁となった。

世界的音楽家・坂本龍一、幻のドキュメンタリー

「フランスのテレビ番組のためにドキュメント・フィルムを撮らせてほしい」。1983年、デヴィッド・シルヴィアンのレコーディングに立ち会うため、ベルリンに滞在していた坂本龍一のもとを訪れた監督、エリザベス・レナードはこう告げた。

それから1984年5月。坂本が4枚目のソロアルバム『音楽図鑑』を制作し始めた頃、東京でわずか1週間という短期間で撮影が行われた。レナード監督を含めた5名のフランス人スタッフは、日本という国を、東京という街を、そして坂本龍一という音楽家を記録した。完成後の1985年にはロッテルダム、ロカルノ、サンパウロなどの国際映画祭で上映、日本では同年6月9日に「第1回東京国際映画祭」で上映された。1986年、フランスでテレビ放映されたのち、発売されたVHSとDVDも長らく入手困難な状況が続いていたが、近年になり倉庫に眠っていた16mmフィルムが発見され、修復を経てデジタル化が実現。今年1月17日、坂本の誕生日に開催された「坂本龍一|Birthday Premium Night 2025」で特別上映が行われた際には、チケットがわずか2時間で完売した。

この60分余りの映像には、坂本の貴重なインタビューやスタジオでのレコーディング風景に加え、彼が出演したCM、YMOの散開コンサート、大島渚監督『戦場のメリークリスマス』(83)の印象的な一場面などが収められている。渋谷スクランブル交差点、新宿アルタ、原宿の竹の子族……80年代の息づくような東京の景色とともに映し出されるのは、幼少期の記憶、変わりゆく文化と社会、創作のプロセス、そして自らが追い求める音楽について語る、当時32歳の坂本の姿だ。育った街に耳を澄まし、時代の流れを感じながら、彼はどのような未来を見つめていたのか——今もなお人々の心に生き続ける世界的音楽家・坂本龍一、若き日のポートレートを通して<東京の⾳>を体感できる幻のドキュメンタリーが、約40年の時を経てついに劇場公開を迎える。

本予告は、エリザベス・レナード監督が日本で購入したという、当時流通していたスペースガンにも似た“音の鳴るおもちゃのカメラ”を渡された坂本が興味深そうにもてあそぶ即興的なシーンから始まり、1984年5月・当時32歳だった坂本の姿を、東京、そして街に溢れる<音>とともに映し出す。

当時の日本と音楽の関係について、坂本は「音楽というのは非日常的な時間のために作られたと思うんだけども、現在の日本のように至る所に音楽があるということは、裏を返せば“非日常的な時間が日常的に続いている”というふうに言えるんじゃないかな」と語る。

そして制作の只中であった『音楽図鑑』をオンキョー・ハウスのスタジオでレコーディングする場面では、Fairlight CMIデジタルシンセサイザーを使ってサンプルやループを作り出し、それらがモニター上で視覚化される様子も披露。また、演奏シーンも豊富に収められ、『音楽図鑑』に収録されている「M.A.Y. IN THE BACKYARD」や、1988年に日本人として初めてオリジナル作曲賞を受賞した、映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence(メリー・クリスマス ミスター・ローレンス)」をピアノで奏でる姿、そしてYMOの散開コンサートの映像や、当時の妻であった矢野顕子と坂本が自宅のグランドピアノで「東風」を連弾するシーンが映し出される。街頭ビジョン、家電量販店、改札、電車、祭のお囃子、パチンコ屋、ストリートで踊る人々……さまざまな東京を背景にした坂本龍一、そして彼が見つめた<東京の音>を感じることのできる映像となっている。

『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版は2026年1月16日(金)より全国公開

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