「DC映画“最大級”の失敗作」とネタにされ主演俳優も自虐するポンコツ映画『グリーン・ランタン』は何がダメだったのか
映画『スーパーマン』の“アイツ”に高まる注目
今年7月に公開され大ヒット中の映画『スーパーマン』。ジェームズ・ガンが監督を務めたこの新スーパーマン映画には、ネイサン・フィリオン演じるグリーン・ランタン(ガイ・ガードナー)が登場し、DCユニバースの新章「Gods and Monsters」の幕開けを飾った。
『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI
粗野で自己中、そして演じた俳優自身から“イヤな奴”とまで評されるガイ・ガードナーだが、良くも悪くも新規ファンにグリーン・ランタンの存在を印象づけたことは間違いない。しかし、そこでどうしても思い出してしまうのが2011年、ライアン・レイノルズ主演で公開された映画『グリーン・ランタン』だ。
同作は今のところグリーン・ランタン唯一の単独映画なのだが、同時にDC映画史における最大級の失敗作として知られている。マーベルの『デッドプール』シリーズを成功させたレイノルズ主演にも関わらず、一体なぜ酷評されているのだろうか?
『グリーン・ランタン』© Warner Bros. Entertainment Inc.
2011年『グリーン・ランタン』の興収と評価
マーティン・キャンベル監督(『007/カジノ・ロワイヤル』ほか)のもと、レイノルズが主人公ハル・ジョーダン役を務めた『グリーン・ランタン』は、DCコミックスの看板ヒーローの一人をソロで映画化する壮大な企画だった。製作費は約2億ドル、キャストにはブレイク・ライヴリー(※映画公開翌年にレイノルズと結婚)、ピーター・サースガード、マーク・ストロングらが名を連ねた。
しかし、世界興行収入は約2億2,000万ドルにとどまり、マーケティング費用を含めると赤字に近い結果に。批評家からは酷評され、某レビューサイトでは支持率26%という低評価を叩き出している。
『グリーン・ランタン』
なぜ失敗した? 批評と観客の反応
同作が失敗に終わった主な要因としては、まず脚本の弱さとトーンの不一致が挙げられる。ユーモアとシリアスのバランスを欠いたことで物語の軸が曖昧になり、それが観客の感情移入を妨げることに。過剰なCG表現も批判の的となり、特に完全にCGで描かれたスーツは「不自然」で「没入感を損なう」という声が多かった。
『グリーン・ランタン』
また、原作ファンからはグリーンランタン・コァ(部隊)の神話的背景が十分に描かれなかったことなど、コミックに対する理解が浅くファンの期待を裏切ったという声も。加えて、最強の敵であり恐怖の化身パララックスが単に怪しいスモーク状のヴィランのように描かれたため、物語上の脅威としての説得力を欠いているという声もあったようだ。
『グリーン・ランタン』