『キムズビデオ』ついに日本上陸
世界最高のレアビデオ・コレクションの数奇な運命を追うドキュメンタリー 『キムズビデオ』が、8月8日(金)より全国公開中。世界中でウワサになっていた本作に早くから注目していた映画ファンにとっては、まさに待望の日本上陸だ。
本作は、1980年代からアメリカ・ニューヨークのイーストビレッジ(※“ニューヨークのボヘミア”と呼ばれ、カウンターカルチャー運動の中心地)に実在したレンタルビデオショップ<キムズビデオ>の、55,000本にものぼる唯一無二のレアビデオ・コレクションの行方を追ったドキュメンタリー映画である。
『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023
90年代、レンタルビデオ文化の終焉
都内でも<SHIBUYA TSUTAYA>が2024年の全面リニューアルに伴いレンタルを廃止し、あの貴重なVHSコレクションは行方知れずのままだ。渋谷区といえば、かつて笹塚や幡ヶ谷などにもVHSレンタル店があった。まだサブスク浸透前、未DVD化の貴重な作品を観ることができる貴重な場所だったが、いずれも2010年代に入ってシャッターを降ろしてしまった。ある店では、観たい作品名を告げるとバックヤードから(ガシャガシャとVHSの山が崩れる音とともに)ビデオを掘り出してきてくれたものだが、あの体験も今となっては夢だったのではないかとすら思う。
『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023
NYのキムズビデオは90年代半ばに閉店したが、実際に訪れたことがある日本人は多くないだろう。しかし、同店のことを一切知らなくても、VHSに親しんだ世代でもサブスク世代でも、この奇跡的な店の“終焉後”の顛末を捉えた本作は、ぐぐっと前のめりで鑑賞せざるを得ない。単なる記録映像を超えて“映画”になった、ソフト時代の夢とあふれんばかりの映画愛が詰まった作品だ。
『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023
『キムズビデオ』
出演:キム・ヨンマン (主人公)
ショーン・プライス・ウィリアムズ (キムズビデオ元従業員)
アレックス・ロス・ペリー (キムズビデオ元従業員)
ディエゴ・ムラーカ (この地区の自治体の警察署長)
エンリコ・ティロッタ (キムズビデオの管理人/ミュージシャン)
ヴィットリオ・ズカルビ (かつてのサレーミ市長 2008~2012)
ジュゼッペ・ジャンマリナーロ (マフィアとの繋がりが疑われる謎の人物)
レオパルド・ファルコ (マフィア撲滅委員会 会長)
ドミニコ・ヴェヌーティ (サレーミ市長)
監督・編集:アシュレイ・セイビン、デイヴィッド・レッドモン
撮影:デイヴィッド・レッドモン
音楽:エンリコ・ティロッタ
録音:デイヴィッド・レッドモン、マチュー・デボルド
| 制作年: | 2023 |
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2025年8月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイト シネクイントほか全国順次公開中