『NEW RELIGION』から染み出す狂気
都市の片隅で悲しみを抱えながら生きる一人の女性を通して、じわじわと不穏が滲み出していく――。
2021年制作の映画『NEW RELIGION』はジャンルや形式にとらわれず、観る者の感覚に静かに訴えかけるインディペンデント・ホラー。日本に先んじて海外の映画祭で注目を集めてきた本作が今年、ついに7月18日(金)より凱旋公開中だ。
『NEW RELIGION』©SHM FILMS
喪失を抱えたデリヘル嬢への奇妙な依頼とは…?
主人公は、不慮の事故で幼い娘を亡くした母、雅(演:瀬戸かほ)。彼女は深い喪失感を抱えたまま、現在はデリヘル嬢として働いている。ある日、雅は怪しい客から奇妙な依頼を受けることに。それは「身体の一部を順番に撮影させてほしい」というものだった。最初は戸惑いながらも応じる雅だが、撮影を重ねるうちに、なぜか亡き娘の“存在”を感じはじめ……。
『NEW RELIGION』©SHM FILMS
印象的なのは、映像と音の静かな迫力。どこか遠くから微かに響くように鳴り続ける音は、無意識下で不安を煽る。映像は淡々と霞のように美しいが、都市の無機質さが孤独を際立たせている。いわゆる“Jホラー”的なものではなく、まるで喪失そのものをじんわりと描いているような、不思議な余韻が漂っている。
『NEW RELIGION』
娘を不慮の事故で失った母親・雅(瀬戸かほ)。
現在はコールガールとして働く彼女は、ある日、「《背骨》の写真を撮らせてほしい」と頼む奇妙な客・岡(岡諭史)と出会う。
岡の言うがままに写真を撮らせる雅だったが、彼女は次第に死んだ娘の霊の存在を感じるようになっていく。
撮影は進み、最後に残されたのは眼球の撮影だった。
監督・脚本・編集・プロデューサー:Keishi Kondo
撮影監督:三品鐘
出演:瀬戸かほ
西園寺流星群 岡諭史 ナカムラルビイ 沼波大樹
| 制作年: | 2021 |
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2025年7月18日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開中