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貧困、DV、若年出産 17歳の少女が直面する過酷な現実 『遠いところ』実の父が“絶縁宣言”する衝撃の本編映像

貧困、DV、若年出産 17歳の少女が直面する過酷な現実 『遠いところ』実の父が“絶縁宣言”する衝撃の本編映像
©2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ
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これは“映画”ではなく“現実”

主人公アオイを演じるのは、昨年『すずめの戸締り』に出演で話題を呼び、本作が映画初主演となる花瀬琴音。東京出身の彼女が、撮影の1ヶ月前から現地で生活し、“沖縄で生まれ育った若者”アオイを体現する。アオイの友人、海音には映画初出演となる石田夢実、夫のマサヤには『衝動』(21)の佐久間祥朗が起用され、花瀬と同様に撮影1ヶ月前から現地入り、沖縄・コザで実際に体感した生活感溢れるリアルな演技を披露している。

監督は、長編デビュー作『アイムクレイジー』(19)で、「第22回富川国際ファンタスティック映画祭」NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた工藤将亮。長編3作目のオリジナル作品『遠いところ』は、4年に渡り沖縄で取材を重ね脚本を執筆、全編沖縄での撮影を敢行した。日本公開に先立ち、「第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭」で最高賞を競うコンペティション部門に日本映画として10年ぶりに正式出品、約8分間のスタンディング・オベーションを受けた。さらに「第23回東京フィルメックス」コンペティション部門・観客賞受賞、「第44回カイロ国際映画祭」インターナショナル・パノラマ部門、「第53回インド国際映画祭(ゴア)」シネマ・オブ・ザ・ワールド部門、「ヨハネスブルグ映画祭」など海外映画祭で高く評価されている。

『遠いところ』©2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ

沖縄のコザを舞台に、幼い息子と夫と3人暮らしをする17歳のアオイが、社会の過酷な現実に直面する姿を描いた本作。新鋭工藤将亮監督が沖縄で長期にわたって取材を重ねて脚本を執筆、連鎖する貧困や家庭内暴力といった理不尽と不条理にもがく若者たちを通し、観る者に問いかける衝撃作だ。

主人公のアオイを演じる花瀬琴音は、「お金のために、自分自身の心身や大切なものを犠牲にしながら貧困と戦い、必死に生きている方が全世界に沢山いると思います。どんな環境でも、一生懸命に必死で生きる人間の強さに、学ぶところが沢山ありました。同世代の方にも映画を通して、苦しい環境の中で生きるために必死に頑張る姿を見て、何か感じていただけることがあればと思い作品と向き合ってきました」と本作に臨んだ気持ちを振り返る。

「キャバクラでもなんでも働いてちゃんと稼ぎなさい」

今回解禁となったのは、生活費を借りるためにやって来たアオイに対して実の父親が“絶縁宣言”する衝撃的な本編映像。仕事にも行かず酒に溺れる夫マサヤ。アオイは幼い息子、健吾との生活費を稼ぐために年齢を偽ってキャバクラで働いていたが、警察のガサ入れで仕事を失い、収入源を断たれてしまう。

映像は、お金に困ったアオイが、おばぁ(吉田妙子)に相談し、二人で実の父親(宇野祥平)の元を訪れる場面だ。いざという時のための“へそくり”もマサヤに奪われ、さらには暴力を振るわれた彼女の顔や腕には痛々しい傷痕が生々しく残っている。「これで最後ど。おとう(お父さん)もそんな何回も渡せんからや」とお金を手渡した父は、「キャバクラでもなんでも働いてちゃんと稼ぎなさい」と我が子を突き放す。

お金を受け取ってもお礼も言わないアオイに「母親にそっくりだ」とあきれ果てた体で手を伸ばす父を払いのけた彼女は息子の健吾を抱えて立ち去ろうとする。「じゅんにわじわじする(本当にいらいらする)」と言葉をこぼした父は、「こないだやー(お前)の母親から連絡きて、九州の拘置所にいるってよ。親子そろって金欲しがってからにや。もう二度と来るなよや」と娘に絶縁を宣言する。アオイがキャバクラで働いている間健吾の面倒を見てくれていたおばぁも、「ちゃんと子供のこと、考えないとね。健吾もあんたみたいになってしまう」と厳しい言葉でアオイを責める。

目の前には働かない夫と幼い息子、生活費を稼ぐための仕事もない、厳しい現実から逃れることができず、頼れる人いない。ただ「普通に生きたい」と願うアオイが最後に選んだ未来とは…。本作が描くのは、沖縄の局地的な社会問題ではなく、日本中のどこでも今まさに起こっている問題である。

『遠いところ』は全国劇場で絶賛公開中

©2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ

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