ユゴーの詩でラップバトル!? 『テノール! 人生はハーモニー』ユニークなオペラレッスンシーン公開

ユゴーの詩でラップバトル!? 『テノール! 人生はハーモニー』ユニークなオペラレッスンシーン公開
『テノール! 人生はハーモニー』© 2021 FIRSTEP – DARKA MOVIES – STUDIOCANAL – C8 FILMS
1 2

オペラが引き合わせた“運命の出会い”

パリ、オペラ座・ガルニエ宮。スシの出前でやってきたラップ好きのフリーターの青年アントワーヌが披露したオペラの歌真似がまさかの超美声!?アントワーヌに才能を見出した一流オペラ教師マリーは彼を猛スカウト。次第にオペラに興味を持ちはじめ“オペラ座とは住む世界が違う”と思いながらも、内緒でマリーとふたりのオペラ猛レッスンを始めるが——

主人公である青年アントワーヌを演じるのは、大人気オーディション番組「THE VOICE」でそのカリスマ性を爆発させて準優勝した、ビートボクサー・MB14。劇中すべてのオペラ歌唱にも挑戦し、アントワーヌさながらに「蝶々夫人」「椿姫」「トゥーランドット」などオペラの名曲を歌い上げ、天才的な歌の才能を惜しみなく披露する。世界的なテノール歌手のロベルト・アラーニャも本人役で出演し華を添える。

ヴィクトル・ユゴーで即興ラップ!?

映像は、マリーからの猛スカウトによりオペラをイチから学ぶことになったアントワーヌのために、彼女が考えたユニークなレッスンの様子を捉えたもの。アントワーヌがマリーの自宅で基礎的な呼吸法の訓練をしていると、マリーは突然「ヴィクトル・ユゴーは好き?」と切り出す。マリーは詩集を開き「明日、夜明けとともに」の一節を読み始める。次の節をアントワーヌはラップ風に読みあげるとマリーもラップで応じ、息もピッタリなふたりは次第にノリノリになっていく。マリーは「ラップも呼吸が大事でしょ?」とアントワーヌに語りかけ、彼も「ラップバトルだ。先生はいい線いってる」と満足気だ。マリーは、これまで我流でラップに打ち込んできたアントワーヌの気分を盛り上げるためのレッスン術も心得ていたのだ。

このシーンでラップを刻むアントワーヌは、マリーのパートでさりげなくヒューマンビートボックスを披露しており、演じているMB14自身の魅力を最大限に活かした遊び心に満ちたシーンとなっている。

『テノール! 人生はハーモニー』© 2021 FIRSTEP – DARKA MOVIES – STUDIOCANAL – C8 FILMS

「MB14の才能とカリスマ性は一目瞭然だった」

MB14は現在、スーザン・ボイルなどを輩出し、お笑い芸人とにかく明るい安村の出場でも話題になっているイギリスの大人気オーディション番組「Britain’s Got Talent2023」に出場中。予選ではループステーションを使ったパフォーマンスで並外れた音楽センスと見事な歌声を披露。出場者にとって最高の栄誉ともいわれるゴールデンブザーを獲得し、審査員のサイモン・コーウェルらから絶賛された。順調に準々決勝に駒を進めており、今後の番組の行方にも注目したいところ。

本作が単独初監督となるクロード・ジディ・ジュニア監督は、このワンシーンでも圧倒的な才能の片りんを見せるMB14の起用について、「この映画を準備していた2016年、この頃誰もが『THE VOICE』に釘付けになっていた。MB14がクーリオの『Gangsta’s Paradise』のループ演奏を披露したのを見たとき、プロデューサーのラファエル・ベノリエルと僕は“うわぁ、これはヤバい!”とメールし合ったんだ。MB14の才能とカリスマ性は一目瞭然だった」と語る。さらに、「彼は最初から僕らが求めるすべての必須条件を満たしていたけど、心配要素もあった。でも、初めて話した時から、MB14は歌手になるずっと前からいつも演技をすることを夢見ていたことを知った。撮影の間も演技への理解力が常に正確だから、僕は監督として彼の演技の精度と彼がもたらす新鮮さの両方を捉えようと努めたんだ」と振り返っている。

『テノール! 人生はハーモニー』は6月9日(金)より公開

『テノール! 人生はハーモニー』© 2021 FIRSTEP – DARKA MOVIES – STUDIOCANAL – C8 FILMS

1 2
Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook