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ふくだももこ監督×俳優・松㟢翔平 特別対談 常識ハズレの家族を描く『おいしい家族』を語る

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ふくだももこ監督×俳優・松㟢翔平 特別対談 常識ハズレの家族を描く『おいしい家族』を語る
ふくだももこ監督(左)、松㟢翔平(右)

 

日本映画界の新鋭、ふくだももこ監督の長編デビュー作となる映画『おいしい家族』が2019年9月20日(金)より公開。松本穂香、板尾創路、浜野謙太ら個性派キャストで一風変わった家族の絆を描く、ユーモラスかつエモーショナルなヒューマンドラマだ。

小説家としても活躍するふくだ監督は大の『テラスハウス』ファンとのことで、テラハの住人であり、BANGER!!!に連載をしている俳優・モデルの松㟢翔平との対談をセッティング! あえて肩書きを絞らない異端な二人に、食事、家族、仕事についてざっくばらんに語っていただいた。

松㟢「メシって音楽とか映画と一緒で、強烈な体験になる」

今回はふくだ監督から、ぜひ松㟢さんと対談したいということで実現しました。

ふくだ:もう『テラスハウス』が好きすぎる。全シーズン2回はみてるし、今は翔平くんが推し!翔平くんは、すでに『おいしい家族』を観ていただいたということで、どうでしたか?

翔平:監督の目の前で難しいですね……(笑)。面白かったです。メシをすごく美味そうに食いますよね。メシって音楽とか映画と一緒で、強烈な体験になることがあるじゃないですか。この作品に出てくるメシのシーンは、その“装置”なのかなと思ったりして。めちゃくちゃ美味しいものを食べると何も考えられなくなる、みたいなことなのではないか? なんてことを難しくブツブツ考えてみたりして(笑)。

ふくだ:そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ(笑)。

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

翔平:特にモトーラ(世理奈)ちゃん。モトーラちゃんとはよく行く店でたまに会うんですけど、「あんな感じでご飯食べる子なんだ」って思いました(笑)。ビックリしました。

ふくだ:あまりモリモリ食べるイメージないですよね。

ふくだ「手で作れて、作る過程が見える食べ物ってええなと思ってたんですよね」

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

映画にはたくさんの食べものが出てきましたが、特に気になった料理は?

翔平:“おはぎ”ですね。僕も昔から食べてるんで。いやまあ、日本人ならみんな食べてると思うんですけど(笑)。母親が急に食卓にバーンと置いたりするんで、なんか思い出しました。

ふくだ:おはぎ食べてた? 好きやった?

翔平:僕、大好きです。

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

ふくだ:どこ出身ですか?

翔平:埼玉です。埼玉って、おはぎをスーパーでものすごくたくさん売ってるので有名なんですよ。お総菜コーナーに必ず置いてあって。食卓によく出てきて、いつでも食べられるものでした。

ふくだ:知らなかった!私、おはぎをメインにした割には、そこまで馴染みがないっていう(笑)。好きやけど、そんなに率先して食べなかったなぁ。おばあちゃんの家に行ったら出てくる、みたいな感じやったから。

翔平:でも、実家を出てからは一度も食べてなくて。だからその感じとかも、エモかったですね。

おはぎを劇中に出そうと思った理由ってあるんですか?

ふくだ:手で作れて、作る過程が見える食べ物がええなと思ってたんですよね。『二郎は鮨の夢を見る』(2011年)という寿司の名店「すきやばし次郎」の二郎さんに密着したドキュメンタリー映画があるんですけど、二郎さんが握った寿司を置いたら、寿司が息をするように“くたっ”てなるんですよ。それを見て「うわ、すげー! これを撮ってみたい」っていう想いもあって。だからまず、ご飯やし、手で作って丸めて、食卓にあってもええし、お仏壇にあってもええしと考えたら、おはぎしかないなと思って。

翔平:そんなに映ってないようなものも、ちゃんと置いてありましたね。緑色の揚げ物が美味そうでした。

ふくだ:アシタバ!撮影地の新島の名産なんです。むっっっちゃおいしかった。

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

翔平:撮影の時って、だいたい“乾いたメシ”を食べることになるじゃないですか、そこらへんはどうだったんですか?

ふくだ:極力したくないです。美術スタッフさんが絶対に作りたてにしてくれたから、普通に役者さんたちも「美味しい!」って食べてくれて。

翔平:だからあんなに本当に食べてるんですね。よくあんなに食べられるな、と思って。自分が今まで経験した撮影だとそんなことはなくて……。

ふくだ:嘘やん。そんなことある?

翔平:カピカピだなって思ったりはします。美味しそうに“映って”いたらいいということもありますもんね。

ふくだ:現場によって全然違うんですね。でも、それはやっぱりイヤやなぁ。こないだ観た映画も作品自体は好きなんやけど、キーになってる食卓のシーンに出てくる料理が乾いていて。そういうのが見えるのがもったいなくて、最近は特に、自分の現場やったら絶対に作りたてを出してもらうようにしますね。

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

翔平:別に映画のテーマにメシが関係なくても?

ふくだ:なくても。絶対そこにこだわってくれる人に頼むし、やってもらうようにしてますね。

翔平:黒澤明監督がちゃんと薬箪笥に薬を入れておくのと一緒ですね。

ふくだ:そうそう、ほんまそう。リアリティーは細部に宿る!

松㟢「『テラスハウス』は皆で食事できるのが楽しい。一人で食べるのはつまらない」

監督はお料理はされますか?

ふくだ:自分の好きなものしか作らないから、うどんを駆使していろんなものを作ります。それこそ翔平くん、めっちゃ料理上手ですよね。

翔平:レシピは軽く見るんですけど、ごちゃごちゃやってるんで、二度と作れないんですよね。

ふくだ:ちなみに得意料理は?

翔平:最近はカレーにハマってて。豆カレーを作っています。

―映画では畳の上で食卓を囲んでいますが日本の原風景ですね。

ふくだ:そうですね。原風景やし、理想でもある。豪華な料理が並んで、みんなでワイワイして。基本的にそこは楽しく描きたいなって思いますね。人が集まってご飯を食べるって、別に会話がなくても同じことをしてるっていうのがすごく大事だなと思って。

翔平:あの量でいろんな種類の料理を出せる家庭って、もうほとんどないじゃないですか。

ふくだ:そうかもしれないね~。

『おいしい家族』©2019「おいしい家族」製作委員会

翔平:撮影現場で朝早かったりすると、みんなで雑魚寝しているところにああいうメシが出てきたりして、ソーセージ炒めたのとトマトをざく切りにしただけみたいな。ああいうの結構、テンションが上がるんですよね。そういうメシって今はなくなったし、やっぱり単品でとか、ちょっと付け合わせがあるぐらいの感じになってきて、みんなでワーって食べることないし。

ふくだ:みんなで食べると楽しいよね。

翔平:それぞれが白米を持って、適当に好きなおかずを取って食べるみたいな感じはアガりますよね。

ふくだ:わかる!実家ではどうでした?

翔平:父親はずっと働いてたし、自分も帰りが遅かったりしたので、一人で食べることも多かったですね。だから憧れるっていうか。僕、『サマーウォーズ』(細田守監督:2009年)がマジで好きで。

ふくだ:私も好き。

翔平:多分、ああいう家族に対してコンプレックスがあるんですよ。実際に見たことがないので。

ふくだ:私のおばあちゃん家に来たらあんな感じやで、親戚多いし。サマーウォーズくらい親戚が多い。

翔平:最高ですね、憧れます。

ふくだ:でも、自分の家ではそれぞれ小分けのお皿に乗ってたから、私も憧れる。『テラスハウス』では、みんなで料理して食べるやん。あれは、みんなでご飯の時間合わせるの?

翔平:「今日は何時に帰ってくるの?」って聞いて、じゃあそのタイミングでご飯食べようか、みたいな。けっこう適当ですね。

ふくだ:楽しい? 人とご飯食べるの。

翔平:やっぱり楽しいですよ、『テラスハウス』はそれが一番楽しくて。一人で食べるのは本当につまらないじゃないですか。

―料理は翔平さんが作ることが多い?

翔平:いやいや、みんなで交代で作ってるんです。(奥山)春花ちゃんとかも作るし。

ふくだ:知らなかった!

翔平:何となく「明日は私が作りたい」とか、「俺あれが作りたいんだよね」って言ったりして。

突然父が母になる!?『おいしい家族』ふくだ監督が松㟢翔平もうらやむ離島での撮影秘話と、松本穂香ほかの出演者エピソードを語る(2/3)

「人生短いんやし、好きなことはやった方がいい」ふくだ監督(『おいしい家族』)と、テラハ出演の松㟢翔平の共通点(3/3)

<2/3に続く>

『おいしい家族』2019年9月20日(金)より全国ロードショー

取材途中にそうめん専門店「そそそ」でランチタイム!劇中でもそうめんが印象的に描かれています。

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『おいしい家族』

銀座で働く橙花は、夫と別居中。仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味。
母の三回忌に故郷の離島へ帰ると、実家では父が、亡き母の服を着ておいしいごはんを作って待っていた。
唖然とする橙花の前には見知らぬ居候が続々と登場し、みんなで食卓を囲む羽目に…。

制作年: 2019
監督:
出演: