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今年2月に逝去した俳優トム・ヌーナン出演シーン解禁!主人公を恐怖の世界へと誘う白髪老人を怪演『ハウス・オブ・ザ・デビル』

今年2月に逝去した俳優トム・ヌーナン出演シーン解禁!主人公を恐怖の世界へと誘う白髪老人を怪演『ハウス・オブ・ザ・デビル』
『ハウス・オブ・ザ・デビル』© 2008 MPI MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED.

16mmフィルムが刻むざらついた質感、80年代ホラーへの偏愛に満ちた演出、そして後の「Xシリーズ」へとつながる独自の美学の萌芽——。現代ホラー映画界の中心を担うタイ・ウェスト監督の輝かしいキャリアの原点にして、世界中で熱狂的支持を集め続ける“異形の傑作”『ハウス・オブ・ザ・デビル』が、3月27日(金)より全国公開中。このたび、『ロボコップ2』悪役俳優と知られており、惜しまれながら2月14日に逝去した俳優・トム・ヌーナンの出演シーンが解禁となった。

皆既月食の影が空を覆うとき、“究極の邪悪”が解き放たれる

1980年代のアメリカでは、「サタニック・パニック」と呼ばれる悪魔崇拝をめぐる前代未聞の集団ヒステリーが社会を席巻した。子どもの頃に儀式に参加させられ虐待を受けた、という証言が全土で噴出し、マスコミから司法、ついにはFBIまでが動く大騒動へと発展したという過去がある…。本作は、そんな不穏な時代のアメリカ北東部を舞台に、全編16mmフィルムで撮影されており、セット、衣装、フォントデザイン、カメラワークに至るまで徹底して当時の空気を再現し、80年代スラッシャーへの愛情を詰め込んだ一作。

監督は、A24初のシリーズ化作品「Xシリーズ」で世界的ヒットを飛ばしたタイ・ウェスト。デビュー作直後から業界の注目を集め、『キャビン・フィーバー2』の監督に大抜擢されるも、制作側との対立から望まぬ形で公開される苦い経験を味わう。ハリウッドから距離を置き、自らの原点に立ち返って撮り上げた本作は、「トライベッカ映画祭」や「スクリームフェスト」で絶賛され、じわじわと時間をかけて禍々しい恐怖の雰囲気を醸成していく独自の演出スタイルを確立した出世作となった。次回作には、チャールズ・ディケンズの古典的名作『クリスマス・キャロル』を、ジョニー・デップ主演で映画化する『Ebenezer: A Christmas Carol(原題)』が控えている。

主人公サマンサを演じるジョスリン・ドナヒューは、本作を機に“80年代ホラーの正統的継承者”として高い評価を獲得し、『インシディアス 第2章』『ドクター・スリープ』など話題作へ進出。サマンサの友人メーガン役には、後に『レディ・バード』『バービー』で世界的監督となるグレタ・ガーウィグが出演し、彼女のキャリアの出発点でもある“マンブルコア映画”の流れを汲んだ自然体の魅力を発揮している。さらに、長身と独特の声質で唯一無二の存在感を放つ個性派怪優トム・ヌーナンと、アンディ・ウォーホルとのコラボレーションで知られるアート映画界の伝説メアリー・ウォロノフが、怪しいアルバイトの依頼人・ウルマン夫妻を演じ、ただならぬ存在感で物語に不穏な影を落とす。

本作には、惜しまれながら2月14日に逝去した俳優・トム・ヌーナンが出演していることでも知られている。トマス・ハリス原作の『刑事グラハム/凍りついた欲望』の殺人鬼フランシス・ダラハイド役や、『ロボコップ2』の悪役・ケイン役で注目を集め、約196cmという長身で静かな威圧感を放ちながらも、繊細な表現力でハリウッドでも唯一無二の地位を築き、怪優と謡われていた。

日本公開を記念して出演シーンが公開され、主人公・サマンサを恐怖の世界へと誘う白髪老人・ウルマンという役で登場するトム・ヌーナンの怪演が確認することが出来る。ブラックスーツと黒ネクタイを着用して、主人公を惨劇が起こる豪邸へと招き入れる老人が現れるが、なんと握手する手のみを出演させるというカメラワークに驚きを感じるはず。しばらくするとカメラがパンアップをして、長身・白髪老人という姿と、喪服のような恰好で不気味さを増幅させる。BGM無しで屋敷の生活音を際立させながら、引っ越したばかりで天文学好きにぴったりな街だと語る老人に、若き日のグレタ・ガーウィグ演じるメーガンが「教師か何かですか?」「天文学者ですか?」と尋ねるも、「厳密には違う」という意味深な答えだけが返ってくる。サマンサを別の部屋へと連れていくシーンで映像が終わるが、このあと起こる出来事は、新聞の広告を見て訪問してきたサマンサに向けて、本当の依頼である「老いた母親の世話を頼みたい。一晩400ドルという高額報酬を提示」という事柄を、物静かに伝えていく…。

皆既月食の影が空を覆うとき、“究極の邪悪”が解き放たれる。このキャッチコピーが示す事実とは?強烈なインパクトを残す、怪優の緊迫感を感じていただきたい。

『ハウス・オブ・ザ・デビル』© 2008 MPI MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED.

<コメント>

氏家譲寿(ナマニク/映画評論・文筆家)
タイ・ウェストは時代を「引用」しない、物語にふさわしい時代を選ぶ。サタニック・パニックを描くなら80年代しかない、ただそれだけの話だ。退屈の一歩手前に観客を追い込み、じわじわと積み上げた緊張を一気に解放する。悪魔崇拝に震えたあの時代。誰もが信じた恐怖がこの映画に宿っている。

篠崎誠(映画監督・立教大学現代心理学部映像身体学科教授)
冒頭のテロップで不穏な空気が流れ、得体の知れない緊張感が観客を包みこむ。ボタンの掛け違いのような違和感とジワジワと迫る不安を静かに描くと見せかけ、突如ある場面で予測不可能な衝撃が襲いかかる。驚いた!こうなると何が起こってもおかしくないと身構えるこちらの予想をさらに超える展開。さすがタイ・ウェスト!

末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)
“マンブルゴアの至宝であり、『X エックス』シリーズのタイ・ウェスト監督の初期怪作が遂に日本で劇場公開…これは近年日本ホラー界の最大の僥倖であると言い切る!無垢な80年代の田舎町を舞台に、若者達の日常的な会話で紡ぐ作劇により、ローファイなニュアンスを醸成、只の懐古趣味に留まらない必然としてのレトロ性でじわじわと”オカルト映画”の輪郭を浮かび上がらせ、しかしそれを現代的想像力で大胆に壊して行くモダンさ。観ないという選択肢は…無い!”

高橋ヨシキ(アートディレクター/映画評論家/サタニスト)
『ハウス・オブ・ザ・デビル』はビジュアル的にも内容的にも、特定の時代性をなぞった「パスティーシュ映画」の頂点である。これほど誠実に、真正面からパスティーシュに取り組んだ映画は他にないし、そのことで本作は逆説的にパスティーシュを遥かに超えることに成功したのだ。

人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
タイトルインでノックアウト!本当に2009年に撮った!?と疑うほど完璧なクラシック。タイ・ウエストのバック・トゥ・80sはこの時点で完成していた。スローバーンだけど全く飽きないストーリーテリングと惹かれるキャラクター性は、大好きな『インキーパーズ』にも通ずる。ようやく日の目を見た初期傑作を是非その目に焼き付けよう!

『ハウス・オブ・ザ・デビル』© 2008 MPI MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED.

『ハウス・オブ・ザ・デビル』は全国公開中

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