異なる環境で育った20代の3人のろう者 “ありのままの自分”で生きようと模索する、若者たちの青春群像劇『私たちの話し方』
香港の俊英アダム・ウォン監督が、ろう者のアイデンティティの確立という社会的テーマを青春ドラマとして描く『私たちの話し方』が、3月27日(金)より公開される。このたび、メイキング映像「ろうのグラデーション」と「三人の物語」が解禁となった。
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ろう者の社会を描いた作品は多くあるが、本作では、ろう者、難聴者の間のグラデーションも描いている。ろう者、難聴者はひとりひとりが聴力の度合いが異なり、手話のみ、人工内耳、補聴器などによる口話(発話と読唇)、口話と手話の両方を使うなど、人それぞれ。主人公のひとり、ソフィーは3歳で高熱が原因で失聴し10歳で人工内耳の手術を受ける。娘を社会に適応させたい母の強い要望により、手話を使わず、ろう文化に一切触れず、口話で“普通”を目指して暮らしてきた。やがて彼女は人工内耳アンバサダー同士のアランと出会い、さらに彼の幼馴染である手話話者のジーソンと知り合う。3人の出会いは、それぞれの人生を大きく変えていくことに。
ソフィーを演じるのは、聴者のジョン・シュッイン。現在公開中の『正義廻廊』にも出演しているジョン・シュッインは、ラジオDJ出身で俳優業以外に作詞家としても活躍するなど、多彩な才能を発揮している。彼女にはろう者の友達が多く、ろう文化には関心があり、手話も勉強していた。ソフィーは人工内耳が故障して、聴きづらくなったと同時に、手話と口話を使うアラン、手話話者のジーソンと交流することで、手話という新たな言葉を知る喜びに目覚めていく。難聴者としての葛藤と、ろう文化との出会いを通じて揺れ動く心情を繊細に演じ切った本作の演技により、ジョン・シュッインは中華圏を代表する映画賞である「第61回金馬奨」で最優秀主演女優賞を受賞。香港の一俳優から、中華圏を代表する若手俳優として一目置かれる存在になったと言える。
メイキング映像「ろうのグラデーション」では、ろう者へのリサーチの様子、主演俳優3人のそれぞれの役の捉え方、そしてジョン・シュッインの金馬奨での感動の受賞スピーチも含まれる。
メイキング映像「三人の物語」の中では、ソフィーの話し方について「私はろう者のアクセントとは呼びません。声のトーンや抑揚や人それぞれ違うものだからです。ソフィーならどう話すかという私なりの解釈です」と語っている。さらに演技未経験で中等度難聴の当事者マルコ・ンの起用や演技ワークショップの様子なども収録。主役3人を中心に本作が作り上げられていく過程が描かる。
なお、本作のアダム・ウォン監督が、公開にあわせて香港から来日することが決定した。3月28日(土)には、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺にて舞台挨拶とQ&Aを行う。
『私たちの話し方』© 2024 One Cool Film Production Limited, Lee Hysan Foundation. All Rights Reserved.
『私たちの話し方』は3月27日(金)より、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開