【祝】3月18日はリュック・ベッソン監督67歳の誕生日! 鬼才が描く「孤独と美」を巡る映画5選

【祝】3月18日はリュック・ベッソン監督67歳の誕生日! 鬼才が描く「孤独と美」を巡る映画5選
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3月18日はフランスが生んだ鬼才、リュック・ベッソン監督の誕生日です。1980年代、当時のフランス映画界にスタイリッシュな映像表現という新しい風を持ち込んで以来、独自の美学と「孤独な魂」への優しい眼差しをスクリーンに焼き付けてきました。

そこで今回は、初期の名作から2020年代の最新作まで、その足跡を辿る5つの物語を選んでみました。彼の誕生日に合わせて、その多才な作家性に触れるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

はみ出し者たちが放つ、一瞬の輝き

『グラン・ブルー完全版』(1988年)
監督:リュック・ベッソン
出演:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノ ほか

【あらすじ】
舞台は陽光降り注ぐシチリア島からギリシャ。素潜りでどこまで深く潜れるかを競う「フリーダイビング」に命を懸けるジャックと、その旧友でありライバルのエンゾ。ジャックは人間よりもイルカと心を通わせるような、繊細でどこか浮世離れした青年です。一方、エンゾは豪放闊達な野心家としてジャックを競技の世界へ誘います。そんなジャックに恋をしたジョアンナは、海の世界へ引き込まれていく彼を地上に繋ぎ止めようと苦悩し……。

【おすすめポイント】
実在のダイバー、ジャック・マイヨールをモデルにした物語です。全編を彩る「青」の映像美と、エリック・セラによる幻想的な音楽。この二つが溶け合うことで、観る者はまるで深い海の底を漂っているかのような錯覚に陥るかもしれません。ジャック・マイヨールという男が抱く、海との一体化への願い。それは単なるスポーツへの情熱というよりも、魂の居場所を求める切実な旅のようにも見えます。決して分かりやすいハッピーエンドではありませんが、自分だけの「純粋な場所」を追い求めるその姿は、多くの人の心に静かな波紋を広げ続けてきました。

『レオン』(1994年)
監督:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ダニー・アイエロ ほか

【あらすじ】
ニューヨークの片隅で、プロの殺し屋として孤独に生きる男、レオン。彼の唯一の友は、一鉢の観葉植物だけでした。そんな彼の隣室で、ある日、悪徳麻薬捜査官スタンによる一家惨殺事件が起こります。家族を失い、生き残った12歳の少女マチルダは、復讐のためにレオンに弟子入りを志願します。奇妙な同居生活の中で、孤独だった二人の心は次第に寄り添い、確かな絆が芽生えていきますが……。

【おすすめポイント】
殺し屋と少女という、本来相容れない二人の切なくも儚い物語として、今なお多くのファンを魅了する作品です。ジャン・レノ演じるレオンの、強面の裏に隠された子供のような純粋さと、当時新人だったナタリー・ポートマンの、背伸びをしながらも危うい繊細さ。この二人の対比が、切ない美しさを際立たせています。また、ゲイリー・オールドマンが演じる狂気に満ちた悪役の存在感が、二人の穏やかな時間の脆さを強調し、ラストシーンの衝撃をより深いものにしています。

『フィフス・エレメント』(1997年)
監督:リュック・ベッソン
出演:ブルース・ウィリス、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム ほか

【あらすじ】
23世紀、地球には危機が迫っていました。宇宙から迫りくる巨大な悪の生命体を倒すには、4つの要素を象った石と、謎の「第5の要素(フィフス・エレメント)」が必要。未来のニューヨークでタクシー運転手として暮らす元特殊部隊員のコーベンは、空から降ってきた謎の赤い髪の少女リールーを拾います。言葉が通じない彼女こそが地球を救う鍵で……。

【おすすめポイント】
リュック・ベッソン監督が10代の頃から温めていたアイデアを具現化したという、彼の想像力が爆発したSF大作です。ジャン=ポール・ゴルチエが手掛けた独創的な衣装や、色鮮やかな未来都市のビジュアルは、公開から時を経てもなお、独自の輝きを放っています。物語自体は王道のエンターテインメントですが、随所に散りばめられたユーモアと、「愛こそが世界を救う第5の要素である」というシンプルで力強いメッセージが心地よく響きます。

『LUCY/ルーシー』(2014年)
監督:リュック・ベッソン
出演:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク ほか

【あらすじ】
台北のホテルで、マフィアの闇取引に巻き込まれた平凡な女性ルーシー。彼女は体内に新種の麻薬が入った袋を埋め込まれ、運び屋として利用されてしまいます。しかし、袋が体内で破れたことで謎の物質が流出し、彼女の脳は驚異的な覚醒を始めます。通常の人間は脳の10%しか活用できていないと言われますが、彼女の脳は20%、30%と覚醒を進め、ついには超人的な能力を発揮するようになり……。

【おすすめポイント】
「脳の潜在能力を100%活用できたら何が起きるのか」という知的好奇心を刺激するテーマを、スピーディーなアクション映画として昇華させた意欲作です。スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーが、感情を失っていく代わりに圧倒的な力を手にしていく姿は、どこか冷徹でありながらも神秘的です。科学的な考察と、ベッソンらしいスタイリッシュな映像表現が融合し、中盤からは哲学的な深みさえ感じさせる展開へと加速していきます。

『DOGMAN ドッグマン』(2023年)

監督:リュック・ベッソン
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジョージョー・T・ギッブス、クリストファー・デナム ほか
【あらすじ】
ある夜、十数匹の犬をトラックに乗せた女装の男ダグラスが警察に連行されてきます。車椅子に乗り、傷ついた彼が警察署で語り始めたのは、凄惨な半生でした。子供の頃、暴力的な父親によって犬小屋に閉じ込められて育ったダグラス。彼にとって、犬たちだけが唯一の家族であり、自分を裏切らない友人でした。犬たちと心を通わせる特殊な能力を身につけた彼は、社会の隅っこで、時に法を犯しながらも犬たちと共に生きる道を選び……。

【おすすめポイント】
近年のベッソン作品の中でも、初期の作品群が持っていた「社会からはみ出した者の純粋さ」が色濃く反映された一作です。虐げられた人間がいかにして尊厳を保ち、愛を見出していくのか。その過程は残酷でありながら、犬たちとの絆を通じて不思議な温かさも感じさせます。エンターテインメントとしての仕掛けも健在ですが、最後には「愛されない者がどう生きるか」という切実な問いが心に残ります。

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