市川準監督作品『トニ-滝谷 4Kリマスター版』が、3月27日(金)より公開される。このたび、4Kリマスター版の予告編が解禁となった。
坂本龍一の旋律とともに蘇る“孤独”の名作
本作は、『BU・SU』(87)、『つぐみ』(90)、『東京夜曲』(97)などを手がけた市川準監督が、長年にわたり愛読してきた村上春樹作品の中でも、映画化への思いを温め続けてきた短編小説「レキシントンの幽霊」所収の「トニー滝谷」を、念願かなって映像化した作品だ。トニー滝谷という名の、孤独な人生を歩む男性を主人公に、愛する女性と巡り合えた幸福なひととき、そしてその後に訪れる喪失を、静かに描き出す。
『トニ-滝谷 4Kリマスター版』©CONTENTS POTENTIAL Inc.
イッセー尾形は、主人公・トニー滝谷と、彼の父である滝谷省三郎の一人二役を演じ、宮沢りえは、トニーの妻・A子と、妻の死後に彼の前に現れる女性・B子という二役を演じている。また、本編のナレーションは西島秀俊が担当。坂本龍一が手がけた音楽は、ピアノを基調とした密やかな旋律で、作品全体に漂う孤独感を繊細に表現している。空気に色がついているかのような独特の色調と、静謐で美しい画作りが絶賛された本作は、「第57回ロカルノ国際映画祭」にて、審査員特別賞、国際批評家連盟賞、ヤング審査員賞をトリプル受賞するなど、国内外で高い評価を獲得した。
4Kリマスター版の制作にあたっては、市川監督の信頼を受け、ポストプロダクション全般を任されていた撮影監督・広川泰士の指示のもと、白黒とカラーの間ある中間色を再現するためのグレーディング作業を重ね、唯一無二の透明感を湛えた映像世界が完成。また音響面では、本作を含め長年にわたり市川作品を支えてきた録音技師・橋本泰夫が、サウンドエディターの野村みきとともに、オリジナル音源をベースに、4K版に対応した音作りを施している。
戦後の東京。孤独な幼少期を送り、成長したトニー滝谷はデザイン会社に就職し、イラストレーターとして黙々と働く日々を送っていた。ある日、彼は偶然出会った女性・A子と結婚し、長く続いていた孤独な時間は終わりを迎える。明るく優しいA子は、衣服を買い集めることに強い執着を持っていたが、トニーはその癖を理解しきれないままも、静かに受け入れ、穏やかな結婚生活を続けていた。しかしある日、A子は不慮の事故で命を落としてしまう。深い喪失感に耐えられないトニーは、彼女の残した大量の服を前に、A子の代替を求めるようになる。そして、A子によく似た女性・B子をアシスタントとして雇い、彼女にその服を着てもらうことで、妻の死に慣れようとするのだが……。
予告編は、「部屋いっぱいの服を残して 彼女は死んだ」という印象的なメッセージとともに、坂本龍一が手がけた密やかなピアノの旋律に乗せて映像は幕を開ける。
ずっと孤独に生きてきたトニー滝谷は、偶然出会った女性・A子と結婚。しかし、交通事故によって彼女は帰らぬ人となってしまう。彼女の死を受け入れられないトニーは、A子にそっくりな女性・B子を仕事のアシスタントとして雇い、A子が生前着ていた衣服を身にまとってほしいと頼むのだが……。静謐で美しい映像と坂本龍一の音楽が織りなす、喪失と孤独の物語。その世界観の一端が垣間見える予告編となっている。
『トニ-滝谷 4Kリマスター版』©CONTENTS POTENTIAL Inc.
『トニー滝谷 4Kリマスター版』は3月27日(金)より角川シネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国公開