レオス・カラックス最大の衝撃作、背徳的で虚無的なハーマン・メルヴィルの問題作「ピエール」を映画化した『ポーラX』4Kレストア版が、2月21日(土)より公開中だ。このたび、本編特別映像が解禁となった。
レオス・カラックス最大の衝撃作
19世紀半ばのアメリカ小説、ハーマン・メルヴィルの「ピエール」(1852)は、発表当時あまりに背徳的で虚無的な内容のため「メルヴィル発狂す」と報じた新聞まであった特異な怪物的作品だった。レオス・カラックスは、小説の仏題「Pierre ou les ambiguité」(ピエール、あるいは曖昧なるもの)の頭文字Polaに謎のXをつけた『ポーラX』として映画化。現代のパリに設定を変え、二人の絶望の深み、そしてその果てにあるあらゆる愛憎あらゆるしがらみからの超越を、壮絶なロマンティシズムの物語として描いた。
裕福で満ち足りた田園生活を送るピエール(ギョーム・ドパルデュー)と母マリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)。そこへ「姉」と称して闇の世界から現われたボスニア難民イザベル(カテリーナ・ゴルベワ)の抗しがたい魅力に引き寄せられたピエールは、母も婚約者も家督も全て捨てて彼女とパリに出る。イザベルは本当の姉なのか。闇が深まるほど疑惑も深まる。運命に翻弄され、絶望へと吸い込まれていく二人をカラックスは仮借ない視線で見つめていく。
主演のギョーム・ドパルデュー(1971-2008、ジェラール・ドパルデューの息子)とカテリーナ・ゴルベワ(1966-2011、レオス・カラックスの妻)が困難な役柄を体当たりで演じ、ピエールが姉と呼ぶ母をカトリーヌ・ドヌーヴ(1943-)が演じ前半と後半で極端な変化を見せる。
本編特別映像では、ピエールと母マリーの優雅な暮らしぶりと、母を「姉さん」と呼ぶ親子の親密な関係性が描かれている。バイクで帰ってきたピエールは、庭でお茶を飲みくつろぐマリーの元へ。「今日はとてもきれいね愛のせい?愛してるわ」「もし僕が醜かったら?」美も富も手にする親子は煙草をくゆらせながら言葉を交わす。
ギョーム・ドパルデューの端正な顔立ち、当時50代だったフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴの気高い美しさ、エレガントな家族の眩しい日常の一場面となっている。
『ポーラX』4Kレストア版はユーロスペースほか全国にて劇場公開中