女が見初めなければ出会わなかった、“人生に絶望”した二人の男 萩原聖人×深水元基×黒谷友香『月の犬』

女が見初めなければ出会わなかった、“人生に絶望”した二人の男 萩原聖人×深水元基×黒谷友香『月の犬』
『月の犬』©PYRODIVE

“ジャパニーズ・ノワール”と呼ぶべき、「生きることへの絶望」を描く映画『月の犬』が、4月24日(金)より公開される。このたび、ポスタービジュアルが解禁となり、監督・脚本・編集の横井健司よりコメントが到着した。

生きることに絶望した大人たちの挽歌

反社会で生きてきたが、連れ添った妻の病気に気づかず亡くしたことを悔やみ、極道の世界を離れ、知らない街に流れ着く男・東島。その男に南と同じ匂いを感じ、仕事に誘う沙織。東島に触発され、「その先が見たい」と日常の淡々とした繰り返しを変えようとする南。「月にいる犬が吠えている」と言う一人の少年との出会いで、生きることに絶望した大人たちそれぞれの日常が連鎖的に変わっていく…。

背中には刺青がびっしり入っているものの、その、妻を亡くした悲しみと、少年への対応から、優しさを滲ませる東島を繊細に演じるのは、数々の映画賞を受賞してきた実力派の萩原聖人。東島に影響を受ける南は、深水元基、二人を結びつける沙織は、黒谷友香が演じる。そのほか、東島を動かす少年・将吾役で渋谷そらじ、東島の元部下役でやべきょうすけ、東島の妻・柚木役で中村映里子、沙織が雇うホステス役で大後寿々花、柚木の母役で原日出子、南のボス役で寺島進が脇を固める。監督は、『観察 永遠に君を見つめて』で「第1回田辺・弁慶映画祭」映検審査員賞を受賞した横井健司。

初期の頃のVシネマにあった潤沢な予算がないながらもスタッフ、キャストの熱意でそれを超えるものを生み出していたあの頃のような作品を作りたいとエグゼグティブプロデューサーの藤澤謙からの申し出を受け、ゼロベースからスタート。本来の台本作りとは異なり、物語を語るのではなく東島龍という人物の心のありようが物語を紡いでいく形をとりました。彼の辿る軌跡を追っていく事で必然的に物語が生まれてくるようにしました。

抗いようのない喪失感を抱えたひとりの男を、その佇まいや生きながらえることを切望しないその眼差しで見事に演じきった萩原聖人さんは東島龍そのものでした。

昂らない魂を持て余して生きながらえるよりも、死と隣り合わせの恍惚感を求めて生き急ぐ南辰也を深水元基さんは静と動をうまく取り込んで演じてくれました。

抗っても現実は何も変わりはしないことを知っている名波沙織。それでも生き続けることを選択する。そんな彼女の強さを体現してくれた黒谷友香さんには感謝しかありません。

こんな映画が見たいというひとりの男の思いが『月の犬』を作り上げました。ひとりの熱意でもそれが伝わればこうして作品となり、その思いを届けることができる。こんなに嬉しいことはありません。是非とも劇場でご覧ください。
(横井健司/監督・脚本・編集)

『月の犬』は4月24日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国公開

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