世界中で絶大な人気を誇り、7月に行った日本初のファンミーティングは全席完売し、溢れる美貌でファンを虜にしたハン・ソヒ。待望のスクリーンデビューかつ初主演を飾った韓国映画『12月の君へ』が、全国公開中だ。このたび、ハン・ソヒ演じるソルと運命的に出会う女性スアンを演じ、話題沸騰中の“韓国映画界の秘宝”ハン・ヘインの特別インタビューと、二人の愛が触れ合う本編映像が解禁となった。
ハン・ソヒ、待望のスクリーンデビュー作品
アジアを代表するインディペンデント映画祭のひとつとして名高い「第24回全州国際映画祭」の韓国コンペティション部門に正式出品され、わずか1分でチケットが完売した本作。
ドラマ「わかっていても」で大ブレイクし、数々の大ヒットドラマに出演する韓国ドラマ界の“圧倒的女神”ハン・ソヒが、スクリーンデビューを飾る本作で、ハン・ソヒ演じるソルと運命的に出会う女性スアンを演じたのは、“韓国映画界の秘宝”とも称されるハン・ヘイン。日本での公開作は少ないが、インディーズ映画を中心に、多彩で印象的な役柄を演じ、その確かな演技力が認められる実力派。本作では、ソルに心を寄せながらも若さゆえの戸惑いや葛藤によってすれ違ってしまう高校時代から、時を経て大人になった姿までを繊細に演じ分けており、ユン・スイク監督は「スアンの視線に込められた強い感情が、観客に深い印象を残す」と絶賛している。今回、ハン・ヘインへのインタビューを行い、初共演となるハン・ソヒの印象から、日本の観客へのメッセージまでを語ってもらった。
『12月の君へ』©2025 Elles Films Co., Ltd.
波のように砕けやすい脆さと、海のように深い一面を持つスアン
俳優を夢見ながら、ぶっきらぼうで率直な性格ゆえに周囲と馴染めず、高校の演劇にも一度も出演できていないスアン。まっすぐな性格で口数も多くない彼女には、思春期ならではの感情の揺れ動きを繊細に表現することが求められた。自身の演じたスアンという役についてハン・ヘインは、その二面性を語る。
「スアンは自分に訪れた名もなき感情に迷いながらも、結局は全てと向き合い受け入れる人物です。波のように砕けやすい脆さを持つ一方で、海のように深い一面も備えているからこそ、その感情と向き合うことが可能だと考えました」
スアンは短髪にパンツスタイルの高校時代から、大人になって人気俳優になり、学生時代のソルのようにロングヘアにスカートを履くことが多くなる。この見た目の大きな変化は、外部環境の変化によるものなのか、あるいは心の奥底で追い求め続けているソルに、無意識のうちに寄って行っているのか。見た目とともに、スアンの精神的な芯も変化したのだろうか。
「スアンの容姿は社会が言う女性的な姿に変わりましたが、本質は変わったことがありませんでした。スアンは元々そうした定義にとらわれない自由な人物だと考えていました。学生時代にはその定義に抵抗したくて髪を切り、俳優として活動するようになってからはその世界に溶け込むために自分の姿を飾りましたが、後には自分の姿を飾らなくても自分として存在する方法を見つけたと思っていました」
そんなスアンを演じるにあたって気をつけた点と、ハン・ヘイン自身との共通点を聞いてみた。
「キャラクターが対象化されないよう注意しました。ひとつの固定されたイメージに閉じ込めたくなかったのです。外面の変化も内面の変化も、ひとつの姿だけで語れるような人物にはしたくありませんでした。だからこそ、多彩でありながらもひとつの呼吸でつながり、変化してもその人物の根っこは揺らがない、そんな存在であってほしいと思いました。そして、そのキャラクターの気質は、私自身にもどこか似ていると感じています」
『12月の君へ』©2025 Elles Films Co., Ltd.
高校時代の感情は愛だったのか?
思春期の揺れる想いが「友情」と「恋愛」の狭間ですれ違い、自分の感情の定義に迷っていたスアン。多くの人が共感できるだろう、その曖昧な感情の扱いを、ハン・ヘインはどう捉えていたのか。
「ソルとスアンは、明らかに二人だけが理解できる部分を互いに感じ取ったのです。曖昧でありながら強烈で、果てしなく蘇り、より深まっていった愛を経験したと感じます。まるで哀悼のような愛です。学生時代の二人は未熟でしたが、二人の愛を高校生の頃の感情だけで語ることは難しいと感じます」
ソルへの想いを忘れられずにいるスアンへ、今、伝えてあげたい言葉はあるか?
「冷たい吹雪を抱きしめた君の勇気のおかげで、私は君と出会い、自分自身について多くを知ることができた。ありがとう。私たちは、ありのままの自分でいてもいいのだ」
『12月の君へ』©2025 Elles Films Co., Ltd.
ハン・ヘインが語る、初共演のハン・ソヒの魅力
初共演となったハン・ソヒとのスクリーン上での鮮やかなケミストリーはこの作品の一番の魅力と言っても過言ではない。ともに作品を作り上げる中で、撮影当時はまだ新人時代だったハン・ソヒにどのような印象を持ったのか、端的に表現してもらった。
「情熱的で、多才な魅力を持つ俳優だと感じました」
それでは、韓国で“次世代のシネアスト”として注目を集めるユン・スイク監督との仕事はどうだったか。
「監督は、非常に熱心に映画の目的地を最後まで見つけ出しました。映画という仕事と映画の中の登場人物たちを愛する気持ちが強く伝わってきて、より一層心を込めて仕事に取り組むことができました」
ユン・スイク監督が冬の海で雪が積もった白い砂浜に立ち、見知らぬ女性たちがサーフィンをしている光景を目にした瞬間から構想が始まった本作は、「雪」と「サーフィン」が印象的に登場する。激しい波が打ち寄せる極寒の海へと自ら足を踏み入れ、過酷な条件の中での撮影に、ハン・ソヒとハン・ヘインの二人は果敢に挑み、映像にリアリティを与える名シーンが完成した。本作で初めて経験したサーフィンは、今も続けているという。
「私は吹雪の撮影で初めてサーフィンに触れましたが、その時にすっかり夢中になりました。休みの日にも海に入るほどです。今でもずっとサーフィンを続けています」
突然の降雪によるスケジュール変更が頻繁に発生するほど大変だった撮影の思い出も教えてくれた。
「現場では全員が集中してその場面を作り上げるというエネルギーが重要でした。波の音で聞き取りにくい互いの合図を聞き取るため、手振りや身振りで意思疎通を図ったことや、カットサインが出た後、キャスト、スタッフみんなで抱き合い体温を分かち合ったことが記憶に残っています。本当に寒かったけれど、あのエネルギーのおかげで、どの現場よりも熱かった思い出として残っています」
最後に、日本の観客へメッセージをお願いした。
「日本の観客の皆様にお会いできて、とても胸が高鳴っています。美しい自然と音楽、そしてソルとスアンの物語が、雪結晶のように皆様の心に届きますように。ありがとうございます」
高校時代に“友情”と“恋愛”の狭間で揺れ動きすれ違ってしまったソルとスアンが大人になって再会し、想いを伝え合う本編映像が公開された。二人が雪の中でじゃれ合うシーンから始まるこの映像は、寒さに凍え移動した山小屋の中で、一つの毛布に身を寄せ合い、当時伝えられなかった想いを伝えるロマンチックな映像になっている。
『12月の君へ』は全国公開中