ロシアの仮想通貨投資家ロマン・ノヴァク(38)と妻アンナは、2025年10月にドバイで失踪し、11月に砂漠でコンクリートに覆われた遺体として発見された。複数の国際メディアは、夫妻が誘拐され拷問を受け「お互いの死を見せられながら」殺害されたという衝撃的な経緯を報じている。
残虐な犯行の経緯
夫妻は「投資家との面会」という口実で、ドバイのハッタ地区の別荘に呼び出された。犯人らは夫妻を向かい合わせに座らせ、互いの拷問と刺殺を見せつけたという。
2人の遺体は厚いビニール袋に詰められて工業用溶剤をかけられた後、コンクリートを流し込まれて砂漠に埋められていた。犯人らはノヴァクの仮想通貨資産(推定総額約5億ドル)へのアクセスを要求したもののウォレットが空だったと報じられているが、同時に資産が主犯格の口座に移された可能性も報じられている。
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逮捕された容疑者たちの素性
この事件に関して、ロシア人2名とカザフスタン人1名(別報ではロシア人3名)が殺人容疑で拘留され、さらに複数の共犯者が逮捕された。主犯格とされているのは元警察官のコンスタンティン・シャフト(53)。共犯者のユーリ・シャリポフ、ウラジミール・ダレキンは罪を認めたが、シャフトは無実を主張している。
彼らはナイフや私物を首長国内で廃棄し、工業用溶剤によって遺体のDNA破壊を試みたが、当局は遺体を特定。夫妻の携帯電話はオマーンや南アフリカまで追跡されたが、10月4日に信号が途絶えていた。
被害者は仮想通貨詐欺師だった
ノヴァクは2020年にロシアで730万ルーブルの詐欺罪で有罪判決、懲役6年を受けたが早期釈放。その後、UAEに移住し“高速送金可能”と謳う仮想通貨アプリを立ち上げ、ロシア・中国・中東の投資家から約5億ドルを集めたが突然閉鎖され、投資家に損失を与えた。彼はテレグラム創業者パベル・デュロフらエリート層との関係を誇示していたという。
この事件は。ロシアの仮想通貨業界における不透明な資金流入と詐欺の蔓延を象徴するものと受け止められている。投資家を欺いた末に残虐な方法で命を奪われるという、仮想通貨業界における巨額資金の暗黒面を浮き彫りにしたとも言えるだろう。
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