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平田勝男監督「あのバックホームは奇跡なんかちゃう。努力の結晶や」涙ながらに語る『栄光のバックホーム』特別座談会

平田勝男監督「あのバックホームは奇跡なんかちゃう。努力の結晶や」涙ながらに語る『栄光のバックホーム』特別座談会
平田勝男氏 鈴木京香 松谷鷹也 秋山純監督

元阪神タイガースの横田慎太郎選手の自著「奇跡のバックホーム」と、彼が病と闘いながら生き抜いた軌跡を描いたノンフィクション「栄光のバックホーム」を原作に、彼の人生を描いた感動のヒューマンドラマ『栄光のバックホーム』が、11月28日(金)より公開される。このたび、横田慎太郎を指導した阪神タイガース二軍監督平田勝男氏との特別座談会映像が解禁となった。

感涙のノンフィクション・ストーリー

2013年、阪神タイガースにドラフト2位指名され、翌年からプロ野球界でプレーした、横田慎太郎選手。若きホープとして将来を嘱望されるも、21歳で脳腫瘍を発症。引退を余儀なくされた彼が最後の試合で魅せた“感動のラストプレー”は、野球ファンのみならず、多くの人々の心に今なお、深く刻み込まれている。その一球に込められたドラマを描いた横田選手の自著「奇跡のバックホーム」と、彼が2023年に28歳でその生涯を閉じるまで、母・まなみさんら家族と共に闘い続けた人生の軌跡を描いたノンフィクション「栄光のバックホーム」が製作総指揮を見城徹と依田巽、『20歳のソウル』の秋山純が企画・監督・プロデュース、中井由梨子が脚本を務め、「幻冬舎フィルム第一回作品」となる『栄光のバックホーム』として映画化。

主人公の横田慎太郎選手を演じるのは、元高校球児でもある新人・松谷鷹也。そして、W主演を務めるのは慎太郎の母・まなみ役を演じる名優・鈴木京香。揺らぐことのない息子への愛を強く、優しく演じる。阪神タイガースの先輩選手・北條史也役に前田拳太郎、慎太郎の想い人・小笠原千沙役に伊原六花、そして、慎太郎の姉・真子役に山崎紘菜、スポーツ紙の野球担当記者・遠藤礼役を草川拓弥と、旬な若手演技派が顔を揃えた。さらに、阪神タイガースのスカウト・田中秀太役を萩原聖人、慎太郎のトレーナー・土屋明洋役を上地雄輔、掛布雅之役を古田新太、金本知憲役を加藤雅也、大阪の大学病院の主治医・鍵山博久役を小澤征悦、鹿児島の隣人・澤居修役を平泉成、神戸の大学病院の主治医・沼田徹役を田中健、神戸のホスピスでの担当医師・門倉勉役を佐藤浩市、阪神タイガース二軍監督・平田勝男役を大森南朋、慎太郎と交流の深かった川藤幸三役を柄本明、そして、慎太郎に多大な影響を与えた元プロ野球選手の父・真之役を高橋克典という本格実力派俳優陣が演じる。

主題歌は、横田慎太郎選手の登場曲であり、闘病中の心の支えとなった、ゆずの「栄光の架橋」。阪神が18年ぶりのリーグ優勝を決めた2023年9月、甲子園球場で4万人の観客が慎太郎に向けて大合唱した不朽の名曲だ。

今回、入団時から横田慎太郎選手を指導した阪神タイガース二軍監督・平田勝男氏、横田慎太郎役の松谷鷹也氏、母・横田まなみ役の鈴木京香氏、そして秋山純監督による特別座談会映像が公開された。撮影は、阪神タイガース二軍の本拠地である日鉄鋼板 SGLスタジアム尼崎にて行われ、現場は笑いあり涙ありの温かい雰囲気に包まれた。

映像は、本作の秋山監督、松谷鷹也氏、鈴木京香氏がそれぞれ挨拶した後、平田阪神タイガース二軍監督は「ファーム監督の大森南朋です」と映画のキャスティングに準えたジョークを飛ばしその場を沸かせた後、「平田勝男です。(僕の役を演じてるのは)大森南朋さんですもんね」とにんまり。秋山が平田について「本当に温かくて、怖くて、熱くて優しい監督。横田選手が入団された時からすべて教えられた方」と紹介。横田選手との出会いについて、平田は「鹿児島実業から入ってきて、僕も長崎出身だから訛りも似てた。最初は緊張しすぎて挨拶もできないぐらい純粋な子でね。だけど野球が大好きで、練習を誰よりも頑張っていた」さらに「体つきも松谷さんと似ていて、まさに大型外野手。足も速くて肩も強かった。バッティングをやらせると、ガンガン柵越えしてましたので、将来はタイガースの中心選手になる逸材と確信していた」と当時を振り返る。

平田は、横田選手の人柄について「みんなから愛される男だった」と即答。「野球馬鹿というか、本当に野球が大好きで。先輩から食事に誘われた時に『監督が練習しろと言ってる』と言って、断ってもいいですか?」と真面目な顔をして聞いてくるんですよ。だから、『うん、いいぞ。その代わり、部屋で腹筋とか背筋やるのか?』って聞くと、『やります!』って。それぐらい野球に対する情熱があったからこそ、こうやって皆から愛されたんだと思います」と愛されキャラだった横田さんのエピソードを披露。それを聞いた鈴木が「すごく頑張り屋さんだったんですね」と話すと、平田は「トスを上げるのがお上手でしたね」と、劇中の鈴木のトスを称賛し、野球に携わる監督ならではの感想を語った。

病気発覚の瞬間も振り返り、「キャンプ中にフライを落としたり空振りばっかりしたりおかしいと思って検査を勧めたら、ちょうど金本知憲監督の元レギュラーを掴みかけている時で本人は行きたくないと。それでも絶対行ってこいと言ったら、翌日『脳腫瘍と診断されました』と。本当に限界だったと思うけど、それだけ我慢強かった」と当時の様子を語った。

病気が寛解して、育成選手として背番号124番で戻ってきてからも孤独なトレーニングが続いた横田選手。「そこはもう映画の通りですよ」と平田は話す。続けて、「もう見えてないんですよ。だから、必死になってボールを探すんです」と明かし、「バッティングでも、皆は当てさせようとして軽く投げるんですけど、僕は空振りしても、普通の選手と同じように投げました」と涙をこらえきれず、「思い出すとダメだね」と苦笑いする場面も。集中して話に耳を傾けていた松谷も両頬を濡らしていた。

そんな平田の言葉を受けた秋山が「彼の頑張りは、とんでもないことだと思うので、1人でも多くの人に知ってほしいというのが僕らの願いです」と作品に込めた思いを明かすと、平田は「この映画を見て、横田という人間の生き様もそうですが、お母さんや周りで支えた人たちの愛情を感じてほしい、こういう時代にすごくいいタイミングで素晴らしい映画ができたなと僕は思うんです」と作品を称賛。

さらに、横田選手の引退試合の際、平田監督が横田選手に「センターに入れ」と言ったことを秋山が明かすと、平田は「『どこを守りたいんや』って聞いたら、気を遣って『ライト』って言ったんです。センターはボールが見えなかったら迷惑かけると思ったんでしょうね。『ライトを守らせてください』って言うから、『バカたれ!お前はセンターやろ!』って。そこから2、3日しかなかったけど、『センターで練習しとけ。センター以外のポジションはせんでいい!』と言った」と裏側を明かした。

実は、球団とは、「ボールが見えないから、9回の2アウト、あと1人の時に出すという話だった」そうだが、平田は「9回の1イニング守らせます」と主張し、球団もOKしたそう。しかし、「8回、2対1で勝ってて、2アウト2塁になったんです。僕は横田が打つ姿や守ってる姿も好きなんですけど、自分のポジションまで全力疾走で走ってる姿を若い選手たちに見せたいと思って。「ヨコ、ちょっとキャッチボールしろ」と。9回に皆でポジションにつくより、横田が1人で行った方が目に焼き付くやろと思って。ヨコはびっくりしてましたよ。ヨコが走っていく姿は今でも思い出します」と、あの日に思いを馳せていた。

続けて横田選手の“奇跡のバックホーム”について、平田監督は強い口調でこう語った。「『奇跡のバックホーム』が横田の本のタイトルになってますが、あれは奇跡じゃないんです。彼は毎日練習してましたから、これこそ彼の努力の結晶なんです。奇跡でもなんでもない。バックホームの前に、左中間に飛んだボールを、カットマンにバチっと投げたんです。しっかり投げられるし、ボールが見えてるんかと思って。2対2に追いつかれた後に、センター前に打たれて、それをヨコがとって、ノーバウンドのバックホームですよ。未だに、あの時いた選手たちの目に焼き付いてます。ベンチの前に出て、全員号泣ですよ」と、あのバックホームは横田選手の努力の証だと熱弁。「9回には横田慎太郎のところには打球が飛んでこなかったので、今考えると、いろんな運が凝縮された1イニングでした」と振り返った。さらに鈴木は、「入団時の色紙の“日々成長”という言葉を甲子園歴史館で見て、私たちにとっても大事な言葉だから自分もその言葉を胸に仕事をしようと思った」と目を潤ませ、横田選手の生き方が今も多くの人に影響を与え続けていることを実感。

2023年の阪神優勝を振り返り、平田監督は「横田が勝たせてくれた優勝」と語る。「亡くなったことを7月のオールスター休みの時に聞いて、涙が止まりませんでしたけど、その年に優勝できて、日本一になって。皆で横田のユニホームを掲げて。あんなことないよね…。横田が勝たせてくれた優勝じゃないですかね」と思い出し、涙がこらえきれなくなる場面も。

その言葉を受けて秋山監督は「岩崎さんがマウンドに上がる時の甲子園の空気はすごかったです」と振り返ると、平田監督も「「栄光の架橋」は、僕らは涙が止まりませんでした」と思い返し、「チーム全体が慎太郎に届けと思ってたからだと思います。日本シリーズでも横田のユニホームを飾ってくれてましたから」と裏話を明かした。

秋山が「鈴木京香さんは、あのシーンをテレビで見てたそうなんです」と明かすと、鈴木さんは「そうなんです。だから、秋山監督から『母親役をやっていただけないか』とお話をいただいた時に、あまり健康状態に自信がない時だったので、できないかもしれないと思いながらも、あのシーンを見ていたものですから、監督にお会いしてお話を伺ってるうちに、『私の体調も万全じゃないんだけれど、ぜひやらせていただきます』とお返事したんです。やらせていただかなきゃいけないと思うぐらい胸を打つシーンでした」と本作への出演秘話を明かした。

その言葉を受けて平田監督は「ファンの方たちも横田のことを忘れてませんでしたし、2023年の優勝は慎太郎が僕らにくれたご褒美じゃないけど、見守ってますよってね、ちょっと九州弁が効いたようななまりで言ってくれてるようでした。こういう映画を作っていただいて、僕らは改めて野球できる幸せをかみしめなきゃいけない」と思いを語った。

秋山は「生きる勇気を持ってもらいたいという僕らの祈りを込めて作った作品なので」と作品への熱い思いを語り、平田監督が「皆さん悩みがあると思うので、その時は前向きに頑張ってる姿を描いた、この映画をぜひ見ていただきたいですね。慎太郎も喜びますよ」と期待を込めて本作を応援していた。

©2025「栄光のバックホーム」製作委員会

『栄光のバックホーム』は11月28日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

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