『ターミネーター 4Kレストア版』劇場公開
アーノルド・シュワルツェネッガー主演、ジェームズ・キャメロン監督によるSFアクションの金字塔『ターミネーター』(1984年)が、4Kレストア版で劇場に帰ってきた。映像と音響を一新し、現代のスクリーンで再びその存在感を放つ。
『ターミネーター 4Kレストア版』© 1984 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
この40周年記念レストア版は、35mmオリジナルネガから4Kフィルムスキャンを行い、ジェームズ・キャメロン監督が最終的な音と映像を自ら監修するという、まさに「ターミネーター愛」に満ちた渾身のプロジェクト。当時の映像が持つフィルムの質感はそのままに、最新の技術で蘇った圧倒的な映像美と、よりクリアで臨場感あふれるサウンドを実現している。
『ターミネーター 4Kレストア版』© 1984 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
憎悪と分断の現代社会へ ~シュワからのメッセージ~
ハリウッドスターであり元カリフォルニア州知事としても知られるシュワルツェネッガーは近年、自身の家族史や社会的課題に関する発言を重ねている。父親がナチス党員だったことを公に認め、世界中に蔓延るヘイトクライム、反ユダヤ主義に警鐘を鳴らしてきた彼はいま、パレスチナ問題にも言及している。
Netflix『アーノルド』独占配信中
シュワの父グスタフはオーストリア出身で、1938年にナチス突撃隊(SA)に入隊。第二次世界大戦中はドイツ軍の軍警察として従軍したという。シュワ自身この事実を認めていて、過酷な戦争で心を病んだ父がアルコール依存に陥り、家庭内暴力に苦しんだことを振り返っている。
Netflix『アーノルド』独占配信中
Netflixで独占配信中のドキュメンタリー『アーノルド』では自身のキャリアだけでなく、父の過去や兄メイナードの死(飲酒運転による事故)など、家族についても言及。シュワは自身の人格形成において父の影響が大きかったと述べていて、兄の飲酒問題にかんしても家庭内暴力が影響しているのではないかと語っている。
アウシュビッツ訪問と反ヘイトの姿勢
2022年、シュワはポーランドのアウシュビッツ強制収容所を訪問し、ホロコーストの記憶を継承する重要性を訴えた。その後も大学講演や動画配信を通じて、「憎しみは破壊をもたらす」とするメッセージを発信している。
そして2024年には、パレスチナ人への共感を示す発言がSNS上で注目された。有名掲示板サービス上では「パレスチナ人の苦しみに寄り添う姿勢」と評価するユーザーが多かったが、過去にはイスラエル寄りの言動もあったことを考えると、これらは政治的声明というよりも人道的立場からの発言と言えるだろう。
Netflix『アーノルド』独占配信中
過去を語ることで未来を選び取ってきたシュワルツェネッガー。父の歴史と自身の経験を通じて、憎しみや偏見に向き合う姿勢を示してきた彼の言葉は批判の対象にもなってきたが、苦しい記憶をつなぐことが次世代への問いかけになるはずだ。
『ターミネーター 4Kレストア版』は9月26日(金)より全国順次公開
『ターミネーター 4Kレストア版』
未来で繰り広げられている、人類 vs 機械の果てしない闘い。人工知能スカイネットは人類のリーダーであるジョン・コナーを歴史から消すべく、1984 年のロサンゼルスへ冷徹無比の殺人機ターミネーターを送り込む。目的は、いずれジョンを産むことになるサラ・コナーの抹殺。そんなある日、平凡な女子学生であるサラの前に殺人サイボーグ「ターミネーター」が姿を見せる。しかしその時、彼女を守るために 1 人の男が現れる。男の名はカイル・リース。ジョン・コナーの命を受け、未来からやって来た戦士だった。
監督:ジェームズ・キャメロン
製作:ゲイル・アン・ハード
製作総指揮:ジョン・デイリー、デレク・ギブソン
脚本:ジェームズ・キャメロン、ゲイル・アン・ハード、ウィリアム・ウィッシャー
撮影:アダム・グリーンバーグ
美術:スタン・ウィンストン
編集:ジョージ・コステロ
音楽:ブラッド・フィーデル
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、マイケル・ビーン、リンダ・ハミルトン、ポール・ウィンフィールド ほか
| 制作年: | 1984 |
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2025年9月26日(金)より全国順次公開