「白人に襲われた」黒人俳優がヘイトクライム被害者に
俳優のジャシー・スモレットは、ハリウッドの光と影が交錯するスキャンダルの主役となった。
かつて人気ドラマ『Empire 成功の代償』(2015~2020年)でゲイの黒人ミュージシャンを演じ、LGBTQ+コミュニティの象徴的存在として称賛されたスモレット。しかし、2019年に彼が起こした“ヘイトクライム事件”は瞬く間に全米を揺るがす騒動へと発展し、日本でも一部メディアで大きく報道された。
すべては2019年1月29日の未明、シカゴの路上で「白人のトランプ支持者に襲われた」とスモレットが警察に通報したことに端を発する。「漂白剤をかけられ、首にロープを巻かれた」という衝撃的な証言は世間の同情と怒りを呼び、著名人や政治家らも続々と支援の声を上げた。
しかし捜査が進むにつれ、事件は急転直下。警察は「スモレットが元共演者の兄弟に報酬を支払い、襲撃を“演出”した」と断定したのだ。証拠として、現金の支払い記録や衣料品店での買い物映像が公開されたことで、世間の空気は一変した。
まさに急転直下!“被害者→偽証罪で有罪→無罪判決”に至る経緯
その後の法廷劇は、まさにジェットコースターの様相だった。2019年に一度は不起訴となったものの、2020年に特別検察官の再捜査で再び起訴。そして2021年12月に<偽証罪>で有罪判決を受けたスモレットは、2022年に150日間の拘留と罰金を言い渡された。
JUST IN: Actor Jussie Smollett is under arrest and in custody this morning, according to Chicago Police. He faces a felony charge of disorderly conduct for allegedly filing a false report claiming he was a victim of a hate crime in Chicago. https://t.co/Nd2ppkiatr pic.twitter.com/Z9MCHzpCEL
— CNN (@CNN) February 21, 2019
ところが2024年11月、イリノイ州最高裁が「二重処罰に当たる」として有罪判決を覆し、なんとスモレットは法的に<無罪>になったのである。とはいえ、スモレットに対する世間の目は冷たかった。ドラマ『エンパイア』からは事実上の降板となり、キャリアに急ブレーキがかかる。2023年にはリハビリ施設に入所したことも報じられた。
だがスモレットは沈黙を破り、Netflixのドキュメンタリー『ジャシー・スモレットの不可解な真実』で自身の無実を改めて主張。このドキュメンタリー番組ではスモレット自身の証言のほか、事件関係者やジャーナリストのインタビューも収録されており、視聴者の間で議論を呼んでいる。
Netflixドキュメンタリー『ジャシー・スモレットの不可解な真実』独占配信中