韓国映画史上「歴代最高のベッドシーン」と激賞され、19歳未満鑑賞禁止にもかかわらず観客動員数100万人を突破した『秘顔-ひがん-』が2025年6月20日(金)より絶賛公開中。パク・ジヒョンの破格の演技に虜になった人も続出です。
韓国映画界は長年、タブーに挑戦し続ける作品を数多く生み出してきました。過激なバイオレンス、エロティックな描写、そして社会的タブーに踏み込む表現力で、世界中の映画ファンを驚かせ続けています。そんな韓国映画の中から、過激な描写で話題となった「劇薬」作品5選をご紹介します。
愛と狂気の境界線、復讐の果てに何があるのか
『オールド・ボーイ』
公開年:2003年
監督:パク・チャヌク
出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ ほか
【あらすじ】
理由もわからないまま15年間監禁されていた男オ・デスが、突然解放される。復讐を誓った彼は、自分を監禁した犯人を探し始めるが、その過程で驚愕の真実と対面することになる。謎解きの先には復讐の連鎖が生み出す衝撃の結末が――。
【おすすめポイント】
第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した韓国映画の金字塔であり、「劇薬」映画の代表格です。チェ・ミンシクの圧倒的な演技力と、パク・チャヌク監督の美しくも残酷な映像美が印象的。特に有名なハンマーを使った廊下でのアクションシーンは、韓国映画史上最も印象的なバイオレンスシーンの一つとして語り継がれています。しかし真の衝撃は、ラストで明かされる復讐の真相。タブーに踏み込んだ脚本は、観客に強烈な後味を残し、世界中で物議を醸しました。芸術性と過激さを両立させた、韓国映画の可能性を世界に示した記念すべき作品です。
『悪魔を見た』
公開年:2010年
監督:キム・ジウン
出演:イ・ビョンホン、チェ・ミンシク ほか
【あらすじ】
連続殺人鬼に恋人を殺された国家情報員捜査官スヒョン。彼は犯人を捕らえるが、殺さずに解放し、再び追跡するという残酷な「猫とネズミ」のゲームを開始する。復讐のために悪魔と化した男の物語。
【おすすめポイント】
韓国映画でも類を見ない残酷で容赦ない暴力描写が話題となり、多くの国で上映制限を受けました。イ・ビョンホンとチェ・ミンシクの鬼気迫る演技合戦は圧巻で、特にチェ・ミンシクが演じる連続殺人鬼の狂気は観る者を恐怖させます。本作の真の恐ろしさは、復讐を求める主人公が次第に悪魔と化していく過程にあります。「怪物と戦う者は、自分も怪物にならないよう気をつけなければならない」というニーチェの言葉を体現したような物語展開は、観客に深い衝撃を与えます。過激な暴力描写の向こうに、人間の本質的な闇を描いた哲学的な作品でもあります。
『オオカミ狩り』
公開年:2022年
監督:キム・ホンソン
出演:ソ・イングク、チャン・ドンユン、ソン・ドンイル ほか
【あらすじ】
フィリピンで逮捕された凶悪犯たちと護送の警察を乗せた貨物船が舞台。太平洋上で犯罪者たちの反乱が発生し、さらに謎の“怪人”アルファが目覚めたとき、海上の監獄は武器を手にした犯罪者たちと警察が殺し合う地獄絵図と化していく……。
【おすすめポイント】
「出血大サービス」が過ぎる圧倒的な血のりの量と妥協のない残酷描写で観客を圧倒する衝撃のバイオレンス・アクション。チェ・グィファが演じる“怪人”アルファの殺戮シーンは、まさに圧倒的。R18+指定で本国公開され、興行収入ランキング初登場第1位を記録した話題作です。予想を裏切る展開と圧倒的な血のりの量で、ジャンル映画ファンを熱狂させました。
『LIES/嘘』
公開年:1999年
監督:チャン・ソヌ
出演:キム・テヨン、イ・サンヒョン、チョン・ヘジン ほか
【あらすじ】
18歳の女子高生と38歳の彫刻家の危険な関係を描いた作品。二人は次第にSMプレイにのめり込んでいき、肉体的・精神的な痛みを通して愛を確認しようとする。しかし、その行為は二人を破滅へと導き――。
【おすすめポイント】
韓国映画史上最も物議を醸したエロティック作品としても知られる本作。過激な性的描写とSMプレイの映像は、当時の映画界に衝撃を与え、芸術か猥褻かという議論を巻き起こしました。痛みを伴う行為の描写は、観る者に強烈な印象を残しますが、本作の真の主題は現代社会における愛の形の歪みと、痛みを通してしか愛を確認できない人間の悲しさにあります。過激な描写の向こうに、深い人間心理の探求が込められています。
『お嬢さん』
公開年:2016年
監督:パク・チャヌク
出演:キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ ほか
【あらすじ】
日本統治時代の朝鮮半島を舞台に、詐欺師の少女スッキと日本人令嬢・秀子の関係を描く。しかし、この関係には複数の騙し合いが仕組まれており、予想を裏切る展開が次々と明らかに。愛と裏切りが交錯する官能的なサスペンス。
【おすすめポイント】
『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督が手がけた官能的サスペンスで、女性同士の愛を美しく、そして官能的に描きます。レズビアンの関係を扱った過激な濡れ場シーンは、芸術的な美しさと生々しいエロティシズムを両立させており、世界中で話題となりました。特にキム・ミニとキム・テリの体当たりの演技は、韓国映画における女性の性的表現の新たな地平を開きました。しかし本作の真の魅力は、3部構成で明かされる巧妙な騙し合いの構造にあります。観客が騙されることを前提とした脚本は、最後まで予想がつかない展開を生み出し、官能的な映像美と知的なサスペンスを見事に融合させた傑作として高く評価されています。
それぞれ異なる形で「過激さ」を追求し、韓国映画の表現力の幅広さを示した5作品でした。バイオレンス、エロティシズム、社会的タブーへの挑戦など、「劇薬」な部分に目が引かれがちです、単なる過激さだけでなく、その向こうにある人間の本質や社会の闇を描く鋭い視線を感じてみるのはいかがでしょうか。。ただし、いずれも成人向けの内容となっているため、鑑賞の際は十分にご注意ください。