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「やりたいことをやるには勇気が必要」LiLiCoと戦場カメラマン渡部陽一がトーク『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』

「やりたいことをやるには勇気が必要」LiLiCoと戦場カメラマン渡部陽一がトーク『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』© BROUHAHA LEE LIMITED 2023
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印象的な「色味」

そんな渡部が、リー・ミラーの写真集を見て印象的だと思ったことが色味だったとか。「現代のカメラは4K、8Kとスーパー高画質なんですが、現代のカメラが求めている美しさというのは、リー・ミラーさんの時代のカメラの写真、特にモノクロから現像で立てていく色合いや深みなんじゃないかと。だからもしかするとその写真集を見ることが現代のカメラマンの一番のテキストになるかもしれない」とカメラマンならではの視点で解説。

『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』© BROUHAHA LEE LIMITED 2023

さらにフィルムカメラにはこの瞬間にしか撮れないという緊張感と恐怖、そして喜びがあったと語る渡部。「ちょうど2000年になるころに、カメラはフィルムからデジタルに切り替わりました。僕も駆け出しの頃はフィルムを使っていて。1本で撮れる写真は24枚。それを一気に撮るとすぐに終わってしまう。だから戦場に格安のフィルムを約200本ほど詰めて向かいました。ただしそのまま戦場に入ると検問で不審者として扱われるので、フィルムをばらして見つからないようにしていったり…。いかに1枚1枚を大切に撮っていくのか。その姿勢はリーさんの撮り方と一緒でした。なかなか撮らないで、ここだというところで決めていく。この“一撮入魂”、これはカメラマンとして大切な心であったと気持ちがつながりました」と同じカメラマンとしての想いを力説。

LiLiCoも「その瞬間を待っても、それはもしかしたらもう過ぎてしまったのかもしれない。それが分かった時に心は痛みますよね」とその意見を受け止める。さらに渡部が「戦争報道というのは、そこに行ったから撮れるというものではありません。その国で長期間暮らす中で、偶発的にかち合わないといけないんです。そのかち合った瞬間にシャッターを切れるのか、これが戦争カメラマンのひとつの運命なんです。」とリアルな撮影現場のエピソードも披露し、会場もその言葉に真剣に耳を傾けていた。

そんな渡部だが、戦場カメラマンになると両親に伝えた時は強く反対されたという。当時はインターネットもなく、電話もなかなかつながらない時代。そこで彼が両親と交わした約束は「どんな国に行っても、毎日必ず手紙を書くこと。できる限り電話をかけること」だったそう。

そしてそれをずっと守り続けてきたという渡部は「結婚後も、妻と息子には、戦場に入ったときは必ず毎日、何度でも電話をかける。用がなくてもメールを打つ。それが私と家族との約束。つい先ほども、渋谷駅に着いたときには妻に『今から会場へ向かう』と電話して、これが終わったら『今から帰るよ』と連絡を入れます。昔はエアメールなどで連絡をとっていましたが、今は戦場からでもテレビ電話が可能。ウクライナやパレスチナからでもほぼリアルタイムで連絡がとれる。技術の進化はありがたいですね」と明かした。

LiLiCoも「すばらしいですね。どんなに小さなことでも話しておくことは大事。わたしもおなかが痛いとか、ささいなことでも夫に言うようにしています。もし次の日に何かあったら、それが手がかりになるかもしれないから。くだらないと思われても、共有しておくことが大切」と続けた。

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