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天才ミュージシャンを突然死させた「合法」鎮痛剤とは?衰えぬ存在感をオスカー受賞作『パープル・レイン』で

天才ミュージシャンを突然死させた「合法」鎮痛剤とは?衰えぬ存在感をオスカー受賞作『パープル・レイン』で
『プリンス/パープル・レイン』© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
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世界で深刻化する「麻薬性鎮痛剤」の恐怖

薬物とアーティストは主にネガティブな意味で、切っても切り離せない関係だ。違法薬物が原因で命を落としたミュージシャンは少なくなく、その大半が“うっかり”による場合(過剰摂取やアルコールとの併用)が多い。70~90年代にかけて多くのミュージシャンが薬物によって命を落とした。

00年代以降は市販の咳止めシロップをソーダ類とカクテルした「リーン」が主にラッパーの間で蔓延し、鎮痛成分であるコデインの過剰摂取によって20代前後の人気アーティストたちが次々と命を落とした。コデインは麻薬性鎮痛薬「オピオイド」の一種で、2010年代以降に大きな問題となっているのが合法の処方薬として流通したオピオイドだ。

オピオイドの中でもとくにアメリカ国内で濫用が深刻化しているのが「フェンタニル」で、通常は疼痛を伴う病気にモルヒネなどと同様に使用されている。しかしその効力は数十~100倍と言われていて、鎮痛剤として服用しているうちに中毒になってしまう患者が続出した。

次第に低所得層の肉体労働者やホームレスのあいだで安価なドラッグとして蔓延し、違法薬物よりも入手しやすいことから需要が爆発。ごく普通の高校生がたった2錠で命を落とすなど、悲劇的な“事故”が国内で頻発することに。2022年にはアメリカの14~18歳の若者が毎週平均22人も過剰摂取で死亡したという報告もあった。

そしてフェンタニルは、音楽の力で世界に“愛”を伝導した唯一無二の天才アーティストの命をも奪うことに……。

『プリンス/パープル・レイン』© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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