「細菌への耐性なく急死」「若き女優の遺作に」世界の映画祭で絶賛された『逆転のトライアングル』TV放送

「細菌への耐性なく急死」「若き女優の遺作に」世界の映画祭で絶賛された『逆転のトライアングル』TV放送
『逆転のトライアングル』Fredrik Wenzel © Plattform Produktion
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欲望とウンゲロまみれのドロドロ人間ドラマ

豪華クルーズ船という“特殊”な状況下で繰り広げられる、様々な人間のグロテスクな内面がドバドバと噴出する本作。見目麗しい仮面カップル、大富豪の乗客たち、チップのためなら無茶ぶりにも応える奴隷のような乗員……。そんな無茶苦茶な状況もあって船は荒れた海によってウンゲロ大洪水のカオスに陥り、海賊の急襲になすすべもなく難破してしまう。

『逆転のトライアングル』Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

金にもの言わせる富豪も、孤島に打ち上げられてはただの人。タイトル通りヒエラルキーは“逆転”し、たくましい清掃員のおばちゃんが覇権を握る。イケメンのカールをはべらせ、食料を独占。生きるか死ぬかの状況では誰も文句は言えなかったが、ある“発見”によって物語は急展開を迎える。

『逆転のトライアングル』Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

そんな本作で注目すべきは、やはり若きカップルを演じたチャールビ・ディーンとハリス・ディキンソン。若い世代の“あるある”的共感を請け負い、あまりにもキラキラした存在感とギスギスした気まずさで観客の興味をぐいぐい引っ張っていく。その後のディキンソンの活躍は言わずもがなだが、じつはディーンは2022年に32歳の若さで亡くなっている。

『逆転のトライアングル』Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

チャールビ・ディーンはなぜ32歳の若さで急死したのか?

南アフリカ出身のディーンはモデルから俳優に転身し、2010年代から映画/ドラマに進出。アメコミドラマ『ブラックライトニング』でその姿に見覚えのある人も多いだろう。『逆転のトライアングル』の高評価と大ヒットが彼女の本格ブレイクの足がかりになるだろうと誰もが予想しただけに、突然の死は衝撃的だった。

『逆転のトライアングル』Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

本作の撮影終了から2年後の2022年、カンヌ映画祭でのプレミア上映の数ヶ月後に亡くなったディーン。死因は細菌性敗血症(カプノサイトファーガ感染症によるもの)と報じられていて、彼女はモデル時代に大事故に遭い膵臓を摘出していたため、細菌への抵抗力が著しく低下していたのではないかとのことだ。

未来のある若者が病によって命を落としたことは非常に残念だが、彼女の遺作となった『逆転のトライアングル』をCS放送の機会にぜひ鑑賞しよう。

『逆転のトライアングル』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2025年2月放送

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