名匠をも唸らせたコメディ脚本家の存在
フリアーズ監督といえば、『あなたを抱きしめるまで』(2013年)や『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(2016年)などといった実話を基にしたヒューマンドラマを多く手掛けてきた名匠だ。中でも『あなたを抱きしめるまで』は、50年近くも前に生き別れた息子との再会を願う女性の奇跡の実話を映画化した感動ドラマではあるが、皮肉の利いたユーモアたっぷりの掛け合いなどコメディ要素でも評価されている。
第70回ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞した『あなたを抱きしめるまで』の脚本を手掛けたのが、『ロスト・キング 500年越しの運命』でも脚本を担当しているスティーヴ・クーガンとジェフ・ポープ。フリアーズ監督が「2人が組んだら最強だ」と絶賛するほどのコンビで、主演のサリー・ホーキンスも「彼らの脚本には軽やかさがある。そのライトなトーンはすばらしいと思う」と語っている。
「脚本家兼俳優」スティーヴ・クーガンとは?
実話を基にしたドラマとコメディ要素を融合させているのが、本作の大きな魅力の一つ。その理由について、監督は「スティーヴの脚本だから必然的だよね。コメディ要素は外せない。『あなたを抱きしめる日まで』も同じだった。たとえ悲劇であってもジョークは欠かせない」と、捻りを加えた作品であることを明かしている。
映画ファンならばご存知の通り、スティーヴ・クーガンは『あなたを抱きしめる日まで』『ナイトミュージアム』などへの出演で知られるイギリスを代表する俳優で、本作ではサリーの夫ジョン役で出演もしている。そんなスティーヴは、本作の脚本の狙いについて「僕たちはドラマを描きつつも、共感を得やすいようにコメディ要素も取り入れるんだ。幅広い客層に届くように、示唆に富む物語を知的に伝えることを目指している。そこにユーモアを用いれば退屈ではなくなるだろう?」と語っている。
『ロスト・キング 500年越しの運命』は2023年9月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
『ロスト・キング 500年越しの運命』
フィリッパ・ラングレーは職場で上司に理不尽な評価を受けるも、別居中の夫からは生活費の為に仕事を続けるよう促され、苦悩の日々を過ごしていた。ある日、息子の付き添いでシェイクスピアの「リチャード三世」を観劇したことで、彼女の人生は一変。悪名高き王・リチャード三世も自分と同じように不当な扱いを受けてきたのではないかと疑問を抱いたフィリッパは、彼の真の姿を探し求め、歴史研究に没頭していく――。
監督:スティーヴン・フリアーズ 『ヴィクトリア女王 最期の秘密』、『あなたを抱きしめる日まで』、『クィーン』
脚本:スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ 『あなたを抱きしめる日まで』
出演:サリー・ホーキンス、スティーヴ・クーガン、ハリー・ロイド、マーク・アディ
制作年: | 2022 |
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2023年9月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー