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理想的オタク道「ダメなほうのアンダーソン監督」と呼ばれても!『モンスターハンター』『バイオハザード』『モータル・コンバット』

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ライター:#多田遠志
理想的オタク道「ダメなほうのアンダーソン監督」と呼ばれても!『モンスターハンター』『バイオハザード』『モータル・コンバット』
『モンスターハンター』© Constantin Film Verleih GmbH
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「ダメなほう」と揶揄されようと、理想を体現したオタク監督

『エイリアンVS.プレデター』(2004年)という、それぞれ個々に熱狂的ファンがいるキャラクターの夢の対決的映画も手がけているアンダーソンだが、なかなか辛辣な意見が見受けられる作品になってしまっている。それでも「(『エイリアン』1、2を撮ったリドリー・スコット、ジェームズ・キャメロンについて)彼らは僕にとって神のような存在で、そこに並べるなんて思わない。でも、今まで描かれていなかったエイリアンやプレデターを描いてみたいんだ」と実に謙虚なコメントをしている。

エイリアンVS.プレデター (字幕版)

製作過程で強固に突っ張ったり我を通したりすることをあまりせず、撮るべきコンテンツを描く、映画素材のカジュアルさ、作家性の希薄さ。このあたりがアンダーソンをして、もしかしたら食い足りないと思われ、彼のことを「ダメなほうのアンダーソン」と悪し様に言う人々もいるのかもしれない。

しかし、そういう監督だから使いやすくて、企画の声がかかる。そこで何本も撮れる。そして気づいたら『バイオ』のラスト作のように好き放題やっている。それに妻を主演にした企画も通せる。これも十分にマニア的な監督のありようとも言えるだろうし、またもう1段押し進めれば、それこそがアンダーソンの作家性というものかもしれない。

デス・レース(字幕版)

折に触れて思うことだが、監督、役者等の「幸せ」とは何なのかということを考えてしまう。超一流の作品を撮っても、自分のビジョンを強固に押し通した結果、周囲に人がいなくなったり、スケジュールやパパラッチに追われ、ろくに自分の時間も過ごすこともできない……。

だが、仕事もプライベートも趣味も、どちらも楽しんでいる、ないしはキャリア的には超一流ではないにしても、本格的な趣味など別の顔を持っていることで有名なスターも多くいる。多趣味で知られたテリー・サヴァラスやドナルド・サザーランドなど、枚挙に暇がない。日本でも思い当たる人がいるだろう。

W・S・アンダーソン作品は肩肘張らない「いつもの馴染みの味」

本人が言うとおり、彼はキャメロンやリドスコほど偉大な監督ではないのかもしれない。しかし、それを認めているあたり、またミラとの関係等から判断するに、彼は絶対“いい奴”に違いないし、友人にしたいタイプだと思う。好きな映画に携われ、そこで出会った妻を愛し、またその妻を主役に映画を撮る……。ある意味オタク的には理想の生き方と言えるのではないだろうか。

我々はいつも上等な物だけを食べているわけではないし、町中華やポテチも食べたりする。いつもそこにある馴染みの味、ジャンクな味だって必要なものである。映画でも同じことだ。肩肘張ったフルコースではなく、肩の凝らない“いつもの”料理。アンダーソンはそんな存在に似てはいまいか。

 

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考えるに、アンダーソンのビジョンはまだスクリーンにかかった作品では表現しきれていないのかもしれない。なぜかというと、彼はいつも「ディレクターズカット版もリリースしたい」というのが常である。おそらく製作過程での削除シーンが存在するということなのだろうが、編集でカットされてしまったシーンに、まだお宝があるのかもしれない、そう思わせるのだ。

カート・ラッセルが殺人兵器としての洗脳から脱した兵士を演じたSFアクション『ソルジャー』(1998年 ※アンダーソンのビジョンを実現するには少し時代が早すぎる映画だった)、宇宙船ホラーに『ヘル・レイザー』(1987年)などの魔界召喚ホラー要素を入れた埋もれた名作『イベント・ホライゾン』(1997年 ※こちらも元々より30分ほど短くなっている)など、実は意欲作も多く撮っているアンダーソン。『イベント~』に至っては、同じく宇宙船を舞台にしたSFホラーゲーム「デッドスペース」に多大な影響を与えているほどだ。個人的には、アンダーソンは「いつか何かやってくれそうな映画監督」だと思っている。

イベント・ホライゾン (字幕版)

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映画『モンスターハンター』

アルテミス率いる特殊部隊が砂漠を偵察中、突如、強烈な砂嵐に襲われた。隊員たちは一瞬にして嵐に飲み込まれ、アルテミスは激しい突風と稲光の中で気を失ってしまう。気付くとそこは、近代兵器が通用しない巨大モンスターが跋扈する異世界。そしてモンスターの狩猟を生業とするハンターが現れる。

監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン

出演者:ミラ・ジョヴォヴィッチ
    トニー・ジャー
    ティップ・“T.I”・ハリス

制作年: 2020