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過激に、拝金主義な世界を笑い飛ばす!冴えないモデル×インフルエンサーカップルの悲惨すぎる豪華クルーズ船の旅を描く『逆転のトライアングル』【カンヌ映画祭レポート】

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ライター:#まつかわゆま
過激に、拝金主義な世界を笑い飛ばす!冴えないモデル×インフルエンサーカップルの悲惨すぎる豪華クルーズ船の旅を描く『逆転のトライアングル』【カンヌ映画祭レポート】
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『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017年)で初コンペでカンヌ映画祭の最高賞パルム・ドールを獲得したリューベン・オストルンドがコンペに帰ってきた。『フレンチアルプスで起こったこと』(2014年)からの持ち味であるブラック・ユーモアに磨きをかけて、『ザ・スクエア』より過激に、拝金主義な世界を笑い飛ばす。

この作品は腕組みしてしかめっ面しながら見る作品じゃないんだ

『逆転のトライアングル』リューベン・オストルンド監督(撮影:筆者)

「8年前に結婚したんだけれど、そのころ彼女とハイファッション界とセレブリティとデモクラシーと消費社会の関係についてよく話していたんだ。社会的な階層とファッションの関係といってもいいかな。大金持ちたち、セレブリティたちは毎シーズン事にハイブランドのファッションを消費していくことにステイタスを感じてる。それをモチーフにしたら、と思いついたわけさ」

三部構成をつなぐ主役はスーパーモデルのカップル。といっても男性モデルのカールの方は今ひとつ冴えない。売れっ子モデルの彼女ヤヤが世界を飛び回りインフルエンサーとしてネットでも稼ぎまくるのを横にオーディションを受ける日々。彼女の出るショーを見に行っても最前列から追い出されてしまう有様の稼ぎの差があるカップル。そんな二人が豪華クルーズ船の旅にでる。インフルエンサーのヤヤが日々のラグジュアリーな船旅をインスタにあげることを条件の招待旅行だ。しかし、その旅は最悪な結果を迎え、生存者たちは島に流れ着く……。

 

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「カンヌのお客さんは最高だね。ベルリン・スペイン・ストックホルムと映画祭を回ったけれどカンヌほど受けたところはなかったよ。拍手は出るわ、笑うだけじゃなくて歓声を上げるわ、受けていたね。この作品は腕組みしてしかめっ面しながら見る作品じゃないんだ」
と監督。

ウディ・ハレルソン最後のテイクになるとゴングを叩くんだよ。これで最後だ思いっきりいけぇぇぇっって

『逆転のトライアングル』(左から)シャリビ・ディーン・クリック、ウディ・ハレルソン(撮影:筆者)

原題の『トライアングル・オブ・サッドネス』とは眉間のしわのこと。しかめっつらをするときにできる三角形のしわである。

嘔吐と糞尿まみれになる豪華クルーズ船の成金船客たちの描写に拍手喝采する人もいればトライアングル・オブ・サッドネスを作る人もいて賛否が分かれる評価を受けているところだ。

オストルンドの過激さを面白がっているのがクルーズ船の船長役ウディ・ハレルソン。嵐の中泥酔したロシア人成金と船長室にこもり、二人で資本主義世界に罵詈雑言を吐き散らす。

「オストランドはマエストロだね。皮肉が効いていて、観客に考えさせるが、笑いもあり、そのバランスが絶妙なんだ。船長室の言い合いはほとんど即興で、ふたりで言いたいことを言い合った。“コミュニストくたばれ、俺はマルキストだ”とか、“ソーシャリストだぞ”とか、他の映画では絶対言わない台詞をね」
と、ウディ。

「ウディを始めとしてベテランから新人までレベルの高い、テンションの高い芝居を見せてくれた。テイクを繰り返すほどテンションがあがっていくんだ。20テイクとかやって、よしっあと5テイクやるぞといってからカウントダウンをする。そして最後のテイクになるとゴングを叩くんだよ。これで最後だ思いっきりいけぇぇぇっって感じでね。そしてそおっと“アクション”と声をかけるんだ(笑)」
と笑う監督にウディは
「エキサイティングな現場だったよ。ユニークでエネジーあふれる撮影だった。ゴングを叩くんだぜ、ほんとに(笑)」
と、こんなオストルンド監督だが
「好きな監督はロイ・アンダーソン。シンプルなシチュエーションでヒューマニスティックな温かいコメディがね、いいじゃないか」
だそう。作る作品とのギャップがはなはだしい、ではないか。それが、面白い。

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