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そうだったのか!『リーサル・ウェポン』と『ダイ・ハード』の深~い関係とは!? 不朽の刑事映画を副音声で徹底解説

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ライター:#多田遠志
そうだったのか!『リーサル・ウェポン』と『ダイ・ハード』の深~い関係とは!? 不朽の刑事映画を副音声で徹底解説
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副音声で深堀り『リーサル・ウェポン』

CS映画専門チャンネル ムービープラスで2022年3月21日(月)放送、名作映画の見どころやウラ話などをディープに語る「副音声でムービー・トーク」のお題は、『リーサル・ウェポン』(1987年)。ご存知、刑事アクションの金字塔にして、メル・ギブソンの出世作である。実は今までの副音声企画では、アクション映画のシーン等々で、折に触れ「『リーサル~』では……」と何度も例えに挙げていた。それくらい、80年代アクション映画、および“バディもの”の流れを作った重要作品なのである。

『リーサル・ウェポン』ブルーレイ
2,619円(税込)/DVD特別版 1,572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

今回の「副音声でムービー・トーク」では、製作時検討されていたキャスティング案など、お馴染みの話題も。主演のメル・ギブソンは『リーサル~』の頃「もっともセクシーな男優」と呼ばれ、勢いがあった。『ザ・フライ』(1986年)『アンタッチャブル』(1987年)への主演オファーを『リーサル~』のために断ったり、後に『Xーメン』(2000年)のウルヴァリンや、『007/ゴールデンアイ』(1995年)のジェームズ・ボンド役の候補になったりと、かなりイケていたことがわかる。他にも、ゲイリー・ビューシイ、アル・レオンなど、作中で強烈な印象を残す80年代の仇花的な悪役たちについても話題は尽きない。

『リーサル・ウェポン』© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

もちろん番組では、アクション映画には欠かせない銃器についても詳細に語られる。特に『リーサル~』は主役2人が選択する拳銃やその装弾数、敵への対処術が正反対と言っていいほどの違いがあり、その戦闘哲学がキャラ付けになっている。そんなエポックメイキング的な作品であるため副音声も大いに盛り上がった。作中で登場する狙撃ライフルPSG-1や、クライマックスで大活躍するサブマシンガンMP5はドイツ製。実は、これらの銃の開発には『ミュンヘン』(2005年)でも描かれたミュンヘン五輪のテロ事件が深く関係している。『リーサル~』や『男たちの挽歌』(1986年)で有名になったベレッタM92もイタリア産で、米国産とに拘らず高性能であれば外国製品でも使うという合理的な現場の思想から装備が現代化していった、そんな当時の空気も示している作品だ。

ベトナム戦争後のダークな物語からファミリー路線への変更

また『リーサル~』は格闘シーンも、それまでなかった本格的なものを目指していた(クライマックスの7分間にわたる格闘シーンは、3日3晩かけて撮影された)。そのため様々な格闘技を取り入れ、独自の実戦的な格闘シーンを作り上げている。その中で、後に日本でも有名になるブラジリアン柔術のグレイシー一族が関与していたことも語られる。

シェーン・ブラックが担当した『リーサル~』の脚本原案は、よりダークな物語で、展開するアクションも警察のヘリがミサイルで打ち落とされたり、敵を拷問したり格闘シーンにも目潰しが含まれ、狙ってくるスナイパーも銃でなくロケットランチャーで木っ端微塵……と、かなりハードなものだった。さらに主人公2人はベトナム帰還兵の色が強く、戦場での過酷な体験からフラッシュバックに苦しんでいる。

『リーサル・ウェポン』© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

考えようによっては、このあたりでやっとベトナム関連がエンタメ化できるようになったということだろう。これを監督のリチャード・ドナーが「ファミリーものにするんじゃ!」と脚本を大幅に書き直させて今の形になった訳だが、随所に残るハードなアクションは元脚本の痕跡を感じさせる。このシェーン・ブラックのダーク志向はブルース・ウィリス主演、トニー・スコット監督作『ラスト・ボーイスカウト』(1991年)に引き継がれることになる。

ブルース・ウィリスといえば、彼の大出世作である『ダイ・ハード』(1988年)は、同時期の作品である『リーサル~』との関係が濃厚だ。メルギブの用いたベレッタ92Fは当時まだプロップガンがあまり出回っていなかったため、『ダイ・ハード』でも使い回されている。それどころか、元々は『リーサル~』の続編として企画されていた脚本が『ダイ・ハード』シリーズの一本になっているのだ。

『リーサル・ウェポン』© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

TVドラマ版が製作されるなど、その後も様々な動きのあった『リーサル・ウェポン』。つい最近も5作目の製作にオリジナルキャストが意欲を見せている、というニュースがあったりした。その伝説の始まりの作品としても、ぜひ今回の「副音声でムービー・トーク!」をチェックしてほしい。

『リーサル・ウェポン』© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

文:多田遠志

<副音声でムービー・トーク!『リーサル・ウェポン』>はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2022年3月21日(月)21時より放送

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