「ユーチューバーの監督デビュー作」という先入観を覆すホラー映画『シェルビー・オークス』が描く“恐怖”の正体
『シェルビー・オークス』ついに日本上陸
いまホラー映画を撮るうえで“ファウンド・フッテージもの”がレアなのか、それとも逆に新鮮ということになるのかは分からない。が、かなりドキュメンタリックな演出で始まる『シェルビー・オークス』が、みっちり前情報を入れて鑑賞しても驚きを与えてくれる作品であることは間違いない。
『シェルビー・オークス』 © 2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved
オハイオ州の廃墟と化した町シェルビー・オークスで、人気ホラー実況チャンネル「パラノーマル・パラノイド」のMCライリー・ブレナンが忽然と姿を消した。事件は未解決のまま12年後、妹の行方を追う姉ミアのもとに失踪の瞬間を映した一本のビデオテープが届く。
映像を手掛かりに事件の真相を探るミア。現場に残った奇妙な刻印、幼少期の悪夢、呪われた町の歴史、言い伝え……、すべての謎が紐解かれた時、辿り着いたのはあまりにも恐ろしい事実だった――。
『シェルビー・オークス』 © 2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved
動画配信、信仰、母と子、そして……
『シェルビー・オークス』の監督クリス・スタックマンは、映画評論系YouTuberとして200万人以上のフォロワーを抱える人物。本作製作時のクラウドファンディングでは2億円以上もの資金を集めたというからスゴい。そんな人物が手がけた本作は、意外にも地味シブに始まる。しかし映画ファンならば、そのじっくりとしたモキュメンタリー風の導入部こそ楽しく、むしろ期待を煽られるだろう。
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A24がYouTube出身のフィリッポウ兄弟と組んだ『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』を思い出させつつ、NEONが目をつけたスタックマン監督は評論家でもあるだけに、より視聴者側、映画ファン側に立っているのだろうか。アリ・アスターの『ヘレディタリー/継承』(2018年)を引き合いに出されるのは避けられないプロットながら、かつてのスタックマン監督が宗教的に抑圧された子どもであったこと、そして様々な宗教を研究していたというマイク・フラナガンが製作総指揮を務めていることなどが、色んな意味での“納得感”にもつながる。
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