【著名人コメント全文】 ※順不同
永瀬正敏(俳優)
マスクの奥が真実か
それとも素顔のままが真実なのか
“疑心暗鬼”と言う心をカバーした仮面に
何度も折れた剣が突き刺さりながら進んでいく物語に
時間を忘れ、すっかり没頭していた
そしてクライマックスのあのシーン
思わず僕は息を呑んだ
主人公2人の表情が今でも忘れられない
しかし、あらためてヨウニンはすっかりスクリーンの中の住人になったんだなぁと、個人的に嬉しくなった
『ヨウニン、これからも”マルシェ!マルシェ!”だ』
東山彰良(作家)
ゆらめきに満ちた作品だ。母親と息子、兄と弟、真実と解釈。
幾層にも折り重なったそんなゆらめきが、残酷な水のゆらめきに
溶けてゆく。
一青窈(歌手)
世界中が私を疑ったとき
誰が私を信じてくれるだろう
胸の内を明かしたときに
それでもそばに立ってくれる人は
誰なのだろう
希望とは
大人になっても
子供の頃に創り上げた
自分だけの幻想と城を抱き続けることかもしれない。
それでも
真実は揺るがず
心は揺れ動き
愛のもろさを知りながら
痛みと共に生きるしかない。
この映画は肉親だからこそ悩む
血の繋がりの尊さと儚さを教えてくれる。
加藤るみ(タレント/映画コメンテーター)
シンプルに、やられた!
見事に作り込まれた画の美しさ。
ぎこちなさを保ちながら、確かな繋がりを探る兄弟の視線がそれぞれどこを向いているのか?
最後の最後まで存分に翻弄され、息を呑む、強烈な映画体験だった。
よしひろまさみち(映画ライター)
母と社会の抑圧を感じながら薄氷を歩む兄弟。
冷たく湿った美しい映像でヒリヒリ描かれた、兄弟愛の物語。
そして、当たり前に描かれるジージエのセクシュアリティと初恋に、台湾の今を感じる。
村尾泰郎(映画/音楽評論家)
緻密で、優美で、エモーショナル。映画自体がフェンシングの動きのようだ。
エドワード・ヤン、ガス・ヴァン・サント、デヴィッド・リンチ、いろんな名前が頭に浮かんだけれど、この感性はオリジナル。ナイトクラブで歌われるニール・セダカをはじめ音楽の使い方や音響にもこだわりを感じさせて、台湾映画界にネリシア・ロウという新たな才能が誕生したことを告げる鮮烈なデビュー作。
児玉美月(映画批評家)
ネリシア・ロウ監督自身の自閉症の兄との経験が地下水脈に流れる寓話的な物語のなかで、
少年同士の淡く瑞々しい恋と兄弟によるサスペンスフルな愛憎劇が綿密に絡み合う。
そこにある容赦のない残酷と痛みが持つ生々しさは、まさに心を深く突き刺してくる鋭さを放っている。
ISO(ライター)
しなる剣と剣が善と悪、真実と嘘、愛と欺瞞とともにせめぎ合う。
もしかすると彼らのエゴイスティックな激情こそが最も純粋な愛なのだろうか。
<刺心>という題名通り、この鮮烈なラストはしばらく心に深く刺さって抜けそうにない。
ビリー・バリバリー(漫画家)
「信じてくれ」と訴える兄の瞳を「信じさせてくれ」と縋るように何度も見詰める弟が探したのは、真実か、願いか。2人で成立させた命懸けの駆け引きは、歪で特別なふたつの傷を残す。
心を刺したらどんなに純真な色がするだろうか?
真っ直ぐで真紅、そんなイメージで絵を彩らせて頂きました。
『ピアス 刺心』描き下ろしイラスト:ビリー・バリバリー
佐久間友香(日本画家/イラストレーター)
兄弟、息子、そして恋人へ――捨て身の無償の愛が向けられる瞬間に、胸の内に深い痛みが走る。自己犠牲を伴う強い情念は、崇高な美を湛えながら、同時にひどく残酷でもある。
その複雑な感情の揺らぎを、ジージエは張り詰めた表情の中に見事に刻み込んでいた。救いを求めるような張り詰めた眼差しは唯一無二の迫力を持ち、観る者を否応なく惹き込む。ここまで「描きたい」という衝動を掻き立てる俳優に出会ったのは、初めての経験であった。
『ピアス 刺心』描き下ろしイラスト:佐久間友香
砂糖みかく(イラストレーター)
主人公の繊細な心情の移り変わりに目が離せない。
究極の兄弟愛の一つの形。
『ピアス 刺心』描き下ろしイラスト:砂糖みかく
『ピアス 刺心』は12月5日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開