「DC&マーベルとは喧嘩仲間」「VSシリーズ誕生の理由は?」『プレデター:バッドランド』公開記念シリーズ総まくり
新プレデター始動! 王道2作から新たなチャレンジへ
その後、映画の方でもいくつかの続編が作られますが、新たなステージを迎えるのが2022年、日本ではディズニープラスで配信されている『プレデター:ザ・プレイ』です。
同作は、20世紀フォックスがディズニー傘下になって初のプレデターもの。1作目に立ち戻り、地球人の強者たちを狩りの対象としてプレデターが狙ってきます。しかし、物語の舞台設定は18世紀のアメリカ大陸。ネイティブ・アメリカンの若き女性戦士がプレデターの挑戦を受けます。
『プレデター:ザ・プレイ』© 2022 20th Century Studios
監督のダン・トラクテンバーグは、本作に続き2025年に長編アニメ映画という形で『プレデター:最凶頂上決戦』(※日本ではディズニープラス配信)を発表。オムニバス形式でバイキング、忍者と侍、第二次世界大戦のパイロットとプレデターが戦います。このトラクテンバーグ監督は『プレデター:バッドランド』の監督でもあり、つまり3作連続でプレデターの映画を手がけているわけですね。
さて、冒頭で<『プレデター:バッドランド』は“変化球”>と書いたのは、やはりプレデターというのはヴィランであり、地球人側の戦士・兵士と血しぶきを飛び散らせながら戦うのが、このシリーズの面白さであったわけです。しかし、今回の『プレデター:バッドランド』は若きプレデターの《デク》がさまざまな冒険の末に成長するという、ヒロイック・ファンタジー調の物語。完全にプレデターを共感できるキャラとして描いているのです。
『プレデター:バッドランド』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
この路線変更に戸惑う人もいるかもしれません。しかし、監督のトラクテンバーグは『プレデター:ザ・プレイ』『プレデター:最凶頂上決戦』において“王道”のプレデター映画路線を形にしてきたわけで、その上でプレデターというキャラの使い方の新たな可能性を本作でさぐったのでしょう。
確かにプレデターは過去の映画でも、武器を持たない人間は襲わない(ただし戦闘に巻き込まれ命を落とす者はいますが)、女戦士といえど妊娠している者は殺さない、勇ましく戦った相手に対してはリスペクトする、といった“人間味(?)”があります。他の生命体に対し容赦がない、コミュニケーションをとらない『エイリアン』たちとはそこが違うのです。
『プレデター:バッドランド』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
『プレデター:バッドランド』をさらに魅力的にしているのは、デクのパートナーとなる女性アンドロイド、ティアの存在でしょう。トラクテンバーグ監督いわく「『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』で下半身を失ったC-3POをチューバッカが背負って戦うシーンから影響を受けた」と言っていましたが(※筆者が参加したサンディエゴ・コミコンのパネルにて)、このデクとティアの掛け合いがユニークです。
『プレデター:バッドランド』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
また、『プレデター:ザ・プレイ』はクマやピューマといった捕食動物がいる世界にプレデターが現れましたが、『プレデター:バッドランド』では、その宇宙版ともいうべき様々な危険生物がいる世界での冒険譚となります。ティアが<ウェイランド・ユタニ社>製のアンドロイドという点もポイントで、この会社は『エイリアン』シリーズに出てくる、キーとなる企業です。
したがって、『プレデター:バッドランド』の延長に『エイリアンVSプレデター』の新作が来るかもしれません。ウェイランド・ユタニ社は昨年の映画『エイリアン:ロムルス』、今年配信のドラマ『エイリアン:アース』でも重要な役割を果たしていたので。
『プレデター:バッドランド』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
プレデターはアメコミ・ヒーロー映画でもある
本作でプレデターたちが“ヤウージャ族”と呼称されます。この名称はコミック版のエイリアンVSプレデターのノベライズ版から使われた設定で、多分映画の中でそう呼ばれるのは今回が初めてかと思います。
プレデターはアメコミ・ヒーローものとしても人気で、ダークホースコミックス時代にはDCとのクロスオーバーで「バットマンVSプレデター」、「スーパーマンVSプレデター」、「JLA(ジャスティス・リーグ)VSプレデター」なる作品があるし、マーベル、20世紀フォックスともディズニー傘下(同じグループ内)になってからは、「プレデターVSウルヴァリン」、「プレデターVSブラックパンサー」、「プレデターVSスパイダーマン」、「プレデター・キルズ ザ・マーベル・ユニバース」がリリースされています。マーベルになってからは「プレデターVS◯◯◯」と、プレデターの名が先になっていますね。
ちなみに筆者は今回の『プレデター:バッドランド』に、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のノリも感じました。
考えてみれば、1987年の1作目『プレデター』から数えて38年です。ゴジラも恐怖の対象だったりヒーローだったりと描き方は様々で、いまヴィランとして描く『ゴジラ-1.0』と、ヒーロー的に描くハリウッド版=モンスターバース版ゴジラが“共存”しています。
プレデターもまた原点のヴィラン路線と、今回のヒーロー路線の二刀流でいくのかもしれません。ぜひデクとティアのバディをまた観たいですね。
『プレデター:バッドランド』©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
文:杉山すぴ豊
『プレデター:バッドランド』は11月7日(金)より日米同時公開
『プレデター:バッドランド』
シリーズ初、プレデターが主人公の完全なる新章。誇り高き戦闘一族から追放され、宇宙一危険な「最悪の地(バッドランド)」に辿り着いた若き戦士・デク。次々と敵に襲われる彼の前に現れたのは、上半身しかないアンドロイド・ティア。「狩り」に協力すると陽気に申し出る彼女には、ある目的があって――。「究極の敵」を狩って真の「プレデター」になれるのか、それとも「獲物」になってしまうのか。規格外のコンビが挑む、究極のサバイバルSFアクションが今始まる!
監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:エル・ファニング
| 制作年: | 2025 |
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2025年11月7日(金)より日米同時公開