リーアムの安定感とファン・ビンビンの健闘
そんな本作だが、当然ながら見どころはある。リーアム演じるマイクは年相応のもったりとした動きが気になるものの、重厚な存在感は健在。バス車内での“ありもの”を使ったアクションシーンは派手さこそないが、登場人物の心情の変化までも盛り込んだタイトな脚本が光る。
『アイス・ロード:リベンジ』© Amazon MGM Studios
そのバスには”ネパール風”のペイントが施されているのだが、もはや共演者と言っていいほどのキャラ立ちがあり、そのおかげか急峻な山道を駆け抜ける場面もスリル満点。アイスロードならぬ、土埃舞う山間部でのカーチェイスも楽しい。
そして準主役として大活躍するのが、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)などで知られるファン・ビンビン。アジア系ざっくりなキャラクター設定にはやや難があるものの、美しいことはもちろんアクションもこなせる俳優力はさすが。いわゆるSNS世代な10代女子との交流を含め、観客の集中力を持続させるという意味でも推進力になっている。
『アイス・ロード:リベンジ』© Amazon MGM Studios
映画が期待外れでも、リーアムはファンを裏切らない
巻き込まれ型アクションには“チームもの”としての燃える展開が欲しいところだが、乗客たちが壊れたバスをスクラップ車両の部品でトンテンカンと再ビルドしていくシーンも。サバイバル的な工夫とチームワークを描くことで、物語に一瞬の活力を与えてくれる。
ちなみに前作から引き続き脚本も手掛けたジョナサン・ヘンズリー監督は、『アルマゲドン』(1998年)の脚本家として有名な人。90~00年代に彼が脚本あるいは製作総指揮を務めた作品をざっと見ると、「ああ、なるほど」と一定の納得を与えてくれるというか、今となってはVHS末期の貴重な人材と言えなくもない。
#OnThisDay Armageddon (1998) opened in US theaters 27 years ago today (7/1/1998) pic.twitter.com/nB3fAKqYI4
— The Geek Twins (@Thegeektwins) July 2, 2025
ともあれ、『アイス・ロード:リベンジ』は前作のファンにとっては肩透かしの連続かもしれないが、それでもリーアム・ニーソンは健在ぶりを披露してくれるし、地味メイクが逆に映えるファン・ビンビンの存在感も一見の価値あり。ひとまず“アイスロード”設定は忘れて、リーアムが異国の地で戦う辺境バス・アクションとして気楽に楽しもう。
『アイス・ロード:リベンジ』はPrimeVideoで独占配信中
『アイス・ロード:リベンジ』
氷の道“アイス・ロード”の任務で弟を亡くし悲しみに暮れるアメリカ人トラック運転手マイク・マッキャンは、弟の遺言どおり遺灰をエベレストにまくためネパールを訪れる。腕利きの山岳ガイド、ダニーに急峻な“天空への道”を擁するヒマラヤ登山の案内を頼み、弟を弔う旅へ。
2人は人権活動家の教授と彼の10代の娘、そして大きな秘密を抱えた青年ヴィージェイと同じ観光バスに乗り込むが、そこで予想外の事態が起こる。バスがヴィージェイを狙う傭兵集団にハイジャックされ、旅は突如としてヒマラヤの高地を駆け抜ける危険なカーチェイスに突入。旅行客たちは、自分の目的のためには手段を選ばない無慈悲な敵との危険な戦いに追い込まれてしまう。
危機と隣り合わせの状況で彼らは団結し、自分たちの命と聖なる辺境の地を守るために危険な山道を突き進んでいく。
監督:ジョナサン・ヘンズリー
出演:リーアム・ニーソン、ファン・ビンビン、マーカス・トーマス
| 制作年: | 2025 |
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PrimeVideoで独占配信中